第2回 独断的詩観賞ノススメ 中原中也「六月の雨」
皆さま、ご無沙汰しております。けいちゃんです。
定期的に投稿をしようと思っていたのですが、生来の怠け癖が出てしまい、前回の投稿から4か月近く空いてしまいました。。。
何とか続けて投稿していくので、読んでくださる皆さん、末永くよろしくお願い致します(-_-)
さて、第2回目に鑑賞する詩についてですが、迷った挙句やっぱり中原中也の作品にしました(笑)
その作品は「六月の雨」(詩集『在りし日の歌』)です。(今日から7月ですが。。。)
この詩を知ったのはめちゃくちゃ最近です。たまたま中也の詩集を眺めていると、この詩が目に入り、ちょうど6月で雨の降っている日でしたので、何か縁を感じました。
新たな詩との出会いは、嬉しいものです。
早速ですが、まずは詩をご覧ください。
↓
さて、皆さんはどのような思いをこの詩から抱かれたでしょうか?
簡単に言葉の説明を補足しておきます。
菖蒲:
水べに群生する多年草。葉はつるぎの形をしていて、邪気をはらうと いわれ、五月五日の端午の節句には、軒にさしたり、ふろに入れたりする。
櫺子(れんじ):
窓や欄間に、ほそい木材を一定の間隔で平行にとりつけたもの。
※例解新国語辞典 第七版 より
文章ではちょっと伝わりにくいので、画像もどうぞ。
一つ豆知識ですが、菖蒲(ショウブ)とアヤメは漢字で書くとどっちも〈菖蒲〉ですが、分類学上はぜんぜん違うものだそうです(今回僕も初めて知りました)。
「六月の雨」の初出は、『文学界』という文芸誌の昭和11年6月号とされています。そして、制作自体はこの年の4月頃とされています。
(年表作家読本 中原中也 青木健編著 河出書房新社 より)
中原中也は、昭和12年に30歳と若さでこの世を去ってしまいます。つまり、この「六月の雨」は晩年に書かれた詩の一つとなります。
そのことを踏まえて考えると分かってくる箇所があります。
例えば、3段落目の〈あどけない子〉というのは、中也と妻の孝子との間の長男である中原文也です。
文也はこの年の11月10日に1歳半という若さで夭折してしまいます。その後の中也は神経薄弱に陥ったとも言われています。この話はまたいづれ詳しくしたいと思います。
とにかく、今回の「六月の雨」の時点では、文也も生きており、中也の人生の中でも非常に安定した時期だったと言われています。
それにしては、この詩の中身は陰鬱とした印象を抱くことを隠し切れませんね。
その陰鬱さが中也の詩の良いところだと思いますが(笑)
しかし、ただ陰鬱と終わるのではなく、何か希望も感じる詩のように思います。
最後の3、4段落の部分は、声に出して読んでみると何か心がうきうきしてくるのです。
お太鼓叩いて 笛吹いて
というように、とても楽しそうで平穏な日常を思い浮かばせます。中也の愛する息子、文也が心穏やかに遊んでいるようすが目に浮かびます。
それと対照的に、最初の1、2段落は少し暗いイメージを抱かせます。初っ端から
またひとしきり 午前の雨が
とあるように、ここ連日ずっと雨が降っていて、すっきりしない天気に対して少し嫌気のさしている中也が想像できます。
1行飛ばして、
眼(まなこ)うるめる 面長き女(ひと)
とあります。この〈面長き女〉は、かつての中也の恋人である長谷川泰子(※)かと思われるのですが、よくよく考えるとちょっと違う気もするのです。
※中也は10代後半から少しの間、京都に住んでおり、その際に女優の卵であ
った長谷川泰子と出会います。泰子と一時期同棲をして良い感じになるの
ですが、ある日、中也の友人であった小林秀雄(評論家)に泰子を取られて
しまうという大事件が起きてしまいます。
この辺りの話もまた別の機会に詳しく書きたいと思います。
この詩が書かれたのは、昭和11年4月とされていると先ほど書きました。中也と泰子の関係はその10年以上も前のことです。
昭和11年というと、中也が亡くなる前年ですが、中也の人生の中では極めて安定した平穏な時期だったと言われます。(実際、大好きだった酒も止めていたそうですし)
そのような時期に、わざわざ泰子のことを引っ張り出してきて、しかも息子の文也が出てくる詩に出すかな?と思ってしまうのです。
そのように考えると、作品中の〈面長き女〉は誰なのでしょうね?
そもそも〈あどけない子〉が息子の文也かどうかも意見が分かれているそうですが、これはほぼ確実に文也のことだと思うのです(根拠はありませんが(笑))。
前回の記事と同じくすっきりしない形ですが、ここらへんで末筆としたいと思います。
皆さん、ここまでダラダラとした文章を読んで下さりありがとうございました。
今回の記事について何か思うこと、ご意見等あればコメントくれると嬉しいです!!
よし、今度からは定期的に書くぞ!
ではまた!!
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