香港国際ジュエリーショーで見たスゴイ宝石TOP3
カラッツ(KARATZ)代表の小山(おやま)です。香港国際ジュエリーショーは、香港の「コンベンションセンター」というところで毎年開催される展示会です。アジアのみならず世界の宝石商にとって非常に大きな意味を持つジュエリーショーです。
東京で行われるジュエリーショーと比べると、その会場の広大さと、何より高額商品のラインナップが充実していることが特徴です。
最近(このnoteを書いているのは2019年の年末です)は香港の情勢も不安定ですが、今回は2018年の6月に行った際の記録を中心に、香港で見た「スゴイ宝石」をご紹介しようと思います。
8,000ctの巨大ブルートパーズ
当時3万イイねがついたこちらの投稿。しめて8,000ct(1.6kg)のブルートパーズです。
このブルートパーズをもし仮にネックレスに加工しようとすると、石を支えるために少なくとも2kgのK18チェーンが必要になります。石も含めると全部で3.6kgなので、首につけるにはかなりの強靭な筋肉が必要になります。もちろん、実際にはオブジェとして飾られることを想定されています。
ブルートパーズ自体はポピュラーな宝石ですので、見たことある、聞いたことある、という方も多いかと思います。ただここまで大きなブルートパーズは大変希少性が高く、実際このサイズは私も初めて実物を触りました。
なおこれくらい希少な宝石となると、その分価格も跳ね上がり、日本だとまず買い手がつきません。そのため国内に持ち込まれることはほとんど無く、香港にわざわざ来る意味を噛み締められる宝石でもあります。
世界初登場の宝石「サナンスカン」
パキスタンの宝石商が持ってきていた「サナンスカン」という宝石です。2015年に発掘されたばかりの宝石で、翡翠やネフライトに見た目が似ている宝石です。
触ってみるとこのサナンスカンは少しザラザラしており、少なくとも翡翠やネフライトとは異なることが分かります。
2018年当時は、この新種のサナンスカンのバングルは25万円で、翡翠の同サイズのバングルは50万円でした。
つまり翡翠の1/2の価値しか無かったのですが、今後ティファニーやカルティエなどのハイジュエリーブランドが取扱いを開始することがあれば、パライバトルマリンやタンザナイトのように大きく価値が変わるということは十分にありえます。
なお、上の写真は左がサナンスカン、右が翡翠です。こうして見ると本当に似てますよね。
格子拡散処理サファイア
最後に注意喚起の意味も込めて1つご紹介します。
インド人の宝石商が紹介してくれた、最新型の「格子拡散処理サファイア」です。
「格子拡散処理」とは色の改変を目的とする人工処理の一つです。原理的には「熱処理と同時に宝石の原子の格子内に特定の元素を浸透させる」というかなりハイテクな操作を行っています。この「格子拡散処理」を使うと、ごく平均的なカラーのサファイアを、極上のロイヤルブルーの色合いに仕立て上げることができるのです。
上にあるのがその実際の写真。恐らく本物でこの色味でこの大きさであれば300万円は下りません。しかしながら実はせいぜい1万円の価値しか無いので注意が必要です。
ただし「注意」といってもかなり難易度が高いのが実情です。通常の拡散処理であればファセット稜線にある色溜まりがあったりするので、それで人工であることに気づけることがあります。
しかしながら今回の最新の「格子拡散処理サファイア」にはそういった色溜まりが無く、全体として非常に天然のサファイアに似た色味を再現できていました。ルーペとライトで詳細に見ても、かなり分かりにくかったということをご報告します。
香港国際ジュエリーショーに行きたい人は
香港国際ジュエリーショーは業者向けの展示会なのですが、最近では名刺があれば誰でも入場できるようになっています。ちゃんと日本語ではなく英語の名刺を持って行きましょう。また名刺には日本の住所をちゃんと明記しておくことがポイントです。
日本市場は世界全体の宝石市場で言えば小さな割合しかありませんが、虚偽や詐欺が少ないという信頼感は未だ根強いです。日本の住所が書いてある名刺を保持していることは、それだけでスムーズなやり取りに通じます。先人たちに感謝して、また香港を訪れたいと思っています。
香港の混乱が早く収まり、もとの平穏な日々と活発な商取引が戻ることを、心より願っています。
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