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お客さんには何一つ決めさせるな
誤解を恐れずにはっきり言わせていただくと、お客さんには何一つ決めさせてはいけません。
全て自分が決めてください。
お客さんに決めさせて、良い結果になることはほぼありません。
なぜ僕はそう考えるのか。
当たり前と言えば当たり前なのですが、自社の領域においては自分が一番詳しいですよね。
逆にお客さんは素人ですよね。
仮に何かのイベントを主催するとしましょう。
そのイベントの総プロデューサー、総責任者は自分です。
どのような観客が来るのか、来るお客さんの属性、性別、趣味趣向、考え、一番理解しているのは自分です。
そのイベントに出店するスポンサー(お客さん)はそういった内容にあなたより詳しいでしょうか?
多分、詳しくないと思います。
そのような時、どのようなイベントを実行するかをスポンサーに決めさせると、どうなるでしょうか?
もちろん、スポンサー側が完璧に企画を練り、全てを遂行させられる時もあるかもしれません。
ただ、一般的には散々な結果になります。
そうなると、来ている観客、スポンサー、そして総責任者の自分、全員が不幸になります。
そしてその矢は会社不評に向き、今後の取引が発生することはありません。
全ての責任は総責任者の自分です。
ただ、こうなるのも理解はできます。
だってスポンサーはお金を払っているお客さんだから。
お客さんの意見を聞き、したいことを聞き、色々な要望を聞き、全てを叶えてあげようとする自分の考えもわかります。
でも、全ての人を幸せにしたいのであれば、スポンサーの意見を聞いても、自分が自分の考えで自分が一番いいと思うものを自分で決めないといけません。
それに対して相手から難色を示されても譲ってはいけません。
ギリギリのラインまで摺り合わせ、摺り合わせ、最終的には自分が決めないといけません。
なぜかと言うと、素人は基本的に足し算思考しかできない生き物だと僕は考えているからです。
Web制作の話に例えましょう。
お客さんにラフA案、B案、C案を見せ、『どれがイメージに近いですか?』と聞くと、『Aのここと〜、Bのここと〜、Cのここを足した感じで〜』となります。
これ、超あるあるです。
超足し算思考です。
でも待ってください、本質って何でしょうか?本当に物事って足し算で進めるべきなんでしょうか?僕は違うと思います。
徹底的に引くことでしょう。
引き算思考で物事を考え、決め、進めることだと思います。
お客さんの足し算思考に付き合い、物事が上手くいった覚え、僕にはありません。
お客さんに何一つ決めさせるなというのはここです。
足し算思考で意思決定をしていくとバックオフィスのメンバーも全員疲弊します。
そして納期は遅れ、お客さんは自分が何を目指しているかもわからなくなり、ディレクターも収集がつけられず。
そして泥沼案件へと進んでいきます。
僕は注文住宅で家を買いました。
注文住宅の打ち合わせを進める中で、素人の足し算思考の恐ろしさを身をもって体験しました。
僕は素人です。住宅のこと、間取りのこと、外壁のこと、何もわかりません。当然妻もわかりません。
どうなるか?
あれもしたい〜これもしたい〜もっとしたいもっともっとしたい〜。
いや、ほんと、冗談ではなく、この状態です。
真剣に笑えない。
僕に全ての要望を叶えられる時間とお金、そして土地があるのであれば別にいいのかもしれません。
でも、どう考えてもないですよね。
世の中は全て制約条件の中での遂行が原則です。
仮に住宅屋さんが僕たち素人の意見をふんふんと聞いていたら、何年経っても家は完成しません。
完成したとしても意味わからない家が完成するんじゃないかなと思います。
僕がお願いした住宅屋さんはよかったです。
まず、完成までの打ち合わせ回数を明確に示してくれました。
そして打ち合わせが1回増える毎に3万円発生することを最初に言ってくれました。
僕はビビりました。
でも住宅屋さんは『大丈夫ですよ、皆この回数で終わっていますから』と言ってくれました。
なので、僕は『皆ができてるなら自分もできるし、何よりも打ち合わせは意思決定をどんどんしていかないと』と思えることができました。
打ち合わせでも住宅屋さんは『ここはこれでいきましょ、ここはこれが一番いいです、ここはこれが僕の好みなのでこれでいきましょ』と素人に決めさせることなく、上手くリードしてくれました。
結果、僕は多少なりともアップセルをされたと思います。
でも、僕にネガティブな感情は全くありません。
むしろ、アップセルされておいて、『ありがとうございます』です。
素晴らしいお金の循環。そして低コストの営業。
コストをかけずお金をもらい、その上でお客さんにも感謝してもらう。
素晴らしい営業の仕方ではないでしょうか。
僕は自分が注文住宅を買ったこと、そしてWeb制作のディレクション業務、他にもイベント主催や日々のマネジャー業務を通じ、いかにお客さん(相手、素人)に決めさせることが愚かなことかと気付きました。
そして最近読んだこの本に、『支配』というキーワードが何度も出てきます。
営業マン、ディレクターは一連の流れ、場を支配しろ、と。
今まで考えていたことがどんどん固まっていき、最近読んだの営業関連の本の中で最も良書でした。
お客さんが自社、自分にお金を払う価値はなんなのか?
相手はなぜ自分にお金を払っているのか?
なぜ自分は相手にお金を払うのか?
僕はお金をもらう価値とは、相手の考える時間を限りなく減らすことだと考えています。
そして意思決定を相手にさせないこと。
お金をもらう側がプロの目線、意見で良きアドバイス、良きリードで物事を進め、そして最高の意思決定をおこなう。
常に意見は聞き、相手に寄り添うが、相手が欲しいというものをそのまま作らない。相手がしたいということをそのまましない。
時には絶対的にNOを突きつけるのも大事。
それがお客さんへの誠意、お客さんのお客さんへの誠意、そしてお金をもらう側の価値だと今の僕は考えています。
そう考えると、今後大事になるものは自分の考え、自分なりの自分論、常に自分で意思決定する強い意志です。
逆にこれがないと何もできません。
これがない営業マンやディレクターは常にお客さんに振り回され、過重労働、疲弊と続き、結果会社と世の中に迷惑をかけます。
自分論がない人はもう今後生き残れないでしょう。
そして日本の教育の最大の問題点、それは自分の意見について考えさせる習慣や日々がないこと。
幼少期から常に自分で考え、決め、責任を取らないといけない世界で育った子供は大人になっても強くなると考えています。
教育については、またいつか自分の考えを書きたいと思います。
お客さんのことを本当に考えるなら、お客さんには何一つ決めさせるな。
自分がリードし、自分が決めろ。
そのために常に勉強勉強勉強、経験経験経験、全ての物事から学べ。
それがプロってもんだろう!
おちまい。