フルメ【コメダ珈琲 四ツ橋店】(2回目)
私はコメダ珈琲が好きだ。
なぜ好きかと考えてみると、幼少期によく連れて行ってもらったキャンプやスキーが間違いなく影響している。
泊まる時はいつもロッジ。
ひとつひとつに表情があり、温かみのある木々、紛れもなく木にも命があると感じさせてくれる。
コメダ珈琲の店内の雰囲気はまさしくそれ。
都会の喧騒に紛れながらも、強く逞しく佇むコメダ珈琲。
そんなコメダ珈琲にて、前回はエビカツパンだったが、だいぶボリューミーだったため今回は軽くとアイスコーヒーとチリドックを注文。
値段を見るとチェーン店のホットドッグにしては少々お高め。
「ドトール行こうや」
と私財を服のみに全振りしていた私の中の20代の私が肩を叩く。
「いや、もう注文したし無理」
と現私。
「いや、まだ作ってへんやろ、すいません待ち合わせ場所間違えて店入っちゃいました、申し訳ないですって言ったらいけるやろ」
と20代の私。
それに対し、瞬時に5種類くらいの返しを思いついた現私であるが「ええやん、食べたことないし食べてみようや、絶対おいしいよ」と菩薩の返し。
相手にイラッとさせるでもなく、妥協とも感じさせず、それでいて期待も膨らませる、最高に思いやりのある返し。
そう、私は道徳王かつ配慮王でもあるのだ。
『いや、ここで1000円払うならバンダナ1枚買いたいわ〜、チッ」
と、服が好きすぎて服に関する金銭感覚がバクり、その場の空気度外視の言葉を容易に吐く20代の頃の私。
「あはは、たまにはええやん」
と配慮王。
そうこうしている間に着丼。
写真を撮る前に豆を即食いしているところと、ミルクとシロップを全入れしているところは、流石男の子といったところだろうか。
切った袋のしまい方で私の几帳面具合もお分かり頂けるだろう。
シンプルな見た目が逆に食欲をそそる。
実食。
パンがもちふわ。
パリッとジューシーなソーセージ、それを下で支え、アクセントも担うコールスロー、噛めば噛むほどに溢れ出る旨味と辛味、それら全てを包み込む大聖母さながらのパン。
素晴らしい。
長い年月をかけ、歴代担当者が何度も試作に試作を重ね、会議を重ね、ようやっと生み出した黄金比に他ならない。
一日も鍛錬を怠ることなく、それを数ヶ月、いや、数年続けてようやく辿り着ける境地。
辛味の余韻が残る口に、もはや甘味はデザートの域に到達したアイスコーヒーを流し込む。
大変良いお仕事でした。
そして私の中の20代の私は言う。
「ドトールと何がちゃうねん」
ちなみに瞬時に思いついた5種類の返しですが
・ほなお前だけ行けや
・もうええてきもいな
・声デカいって
・お前だけ何も頼まんとかナシやからな
・表へ出ろ古田敬一だ覚えておけ今から貴様を屠る者の名だ
でした。