イラン旅行記⑪~ヤズド後半、ゾロアスター教の聖地へ
お久しぶりです。
投稿期間が開いている間にイランとイスラエルの戦争まで始まってしまいましたね。戦争はとりあえず脇に置いて、素晴らしい文化遺産のあるイラン旅行を終わりまであと少し紹介したいと思います。
前回、ゾロアスター教の中心地ヤズドに残る「沈黙の塔」を紹介しました。この記事ではその後に巡ったゾロアスター教の寺院と聖地を紹介したいと思います。
①ゾロアスター教寺院
沈黙の塔を後にして再びタクシーで市街地に戻り、ゾロアスター教の拝火神殿へと向かいました。ゾロアスター教はイスラーム教徒によって7世紀にササン朝ペルシアが滅ぼされた後に、少数派になっていきました。現在のイランでも公開されているゾロアスター教の寺院はここ以外ないと思います。それくらいゾロアスター教徒はイランでごく少数派です。寺院も小さくてこじんまりとしていました。
ゾロアスター教は光(善)の象徴として火を尊ぶため、拝火教とも呼ばれています。ゾロアスターが灯した火とされて、ガラスの向こう側に設置されています。
創始者のゾロアスターの人物像はよくわかっていません。ですが、一応創始者が分かる最古の宗教だそうです。
② チャクチャク
寺院を見学した後我々が向かったのがゾロアスター教最大の聖地「チャクチャク」です。ヤズドの市街地から1時間以上離れているのでタクシーをハイヤーして向かいました。
周りは何もない荒野を駆けこと1時間ちょっとでつきます。タクシーの運転手がとてもやさしくて乗車中にナンを分け与えてくれました。
なぜこんな辺鄙なところにゾロアスター教の聖地があるのかというと、そこには物語があります。
7世紀半ば、ササン朝最後の王ヤズダギルド3世はイスラーム勢力に大敗し、首都のクテシフォンを攻略されてしまいました。イスラーム勢力から逃れたササン朝の王女が追手から逃れて、岩山へとたどり着き、窮地に追い込まれた王女がアフラ=マズダに祈ると、山が割れて王女は洞窟の中へと入っていき姿を消したと言われています。その場所がチャクチャクです。
その後、岩山で迷子になった羊飼いがこの洞窟にたどり着き、滴り落ちる水を飲み、眠りに落ちると、王女が夢に出てきて巡礼者のために祭壇を立てることを命じたという伝説が残されています。洞窟の中でしたたり落ちる水は王女の涙であるともいわれ、「チャクチャク」という名前は水が滴り落ちる音からつけられました。今でも洞窟の岩肌から水が滴り落ちています。
6月に年に1回のお祭りがあり、その時にはイランだけでなくインドやパキスタンなどからもゾロアスター教徒が巡礼に来るそうです。イランの隣のインドは、ササン朝滅亡後にゾロアスター教徒が逃れていったこともあり、現在最もゾロアスター教徒が多い国でもあります。
その後、ヤズドに戻ってからイスファハーン行きのバスに乗る予定でしたが、タクシーの運転手が気を利かせてイスファハーンにより近いアルダカーンのバスターミナルまで送ってくれました。英語はあまり通じなかったけどとても親切な方でした。
以上、ヤズドの旅でした。次回は古都イスファハーン編となります。