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Whoosh! / DEEP PURPLE

 ヘンなタイトルのアルバムであr。(現在のところ)DEEP PUPLE最後のアルバムということになっている彼らのニューアルバムだ。

 往年のフラッシーな曲調はもちろん望むべくもないが、聞いてみるとこれが意外なほどパワフルで聴きごたえがある。イアン・ギランなんかもう声が出ないんじゃないかと思っていたが、アルバムでは無理のないレンジで無理のない発声をしている。そのおかげで聞いていて苦しくない。本当に自然にハードロックの範疇のヴォーカルを聞かせてくれる。

 ミドルテンポでしっかり聞かせる曲が多いが、スティーブ・モーズの引き出しは思ったよりずっと多く、バリエーション豊かな楽曲を繰り出してくる。決してテクニックが前面にフィーチャされているわけではないが、要所要所でニヤリとさせられる小技の多いプレイもギターミュージック好きには楽しめる要素だ。もちろん、曲の完成度が高いのはギタリストだけの手柄ではない。バンドが渾然一体となってサウンドを完成させている様は、さすがDEEP PURPLEという気にさせてくれる。

 ドン・エイリーのキーボードもDEEP PURPLEらしいハモンドの音を響かせてくれるし、全然違和感がない。本当にDEEP PUPRLEという音楽だ。

 2ndアルバムに収められていたインスト曲"And The Address"をセルフカヴァーしているのも興味深い。なぜラストアルバムでこの曲をプレイしようと思ったのか、ファンなら気になるところだ。

 メンバーがいかに年齢を重ねようとも、彼らなりの円熟の音楽を聞かせてくれるのはDEEP PURPLEファンとしては嬉しいところ。決して年寄りの冷や水ではなく、今この時代のDEEP PURPLEだからこそ聞くことができる音楽として完成されている。

 正直、これでバンドの最後とは思えない。個人的には、数年したらラストアルバム宣言なんか忘れて、もう1枚ぐらい新譜を出すんじゃないかと思っている。きっとそうだよね?


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