POWER UP / AC/DC
もうタイトルが凄いのである。『POWER UP』って、ゲームか何かみたいでストレートすぎる。こんなベタなアルバムタイトルはAC/DCにしかつけ得ないんじゃないだろうかとすら思えてくる。
前作『ROCK OR BUST』から6年ぶりのアルバムだが、前作と同じメンバーで録音されている。ギターのマルコム・ヤングは、残念ながら前作からこのアルバムのリリースの間に亡くなってしまったが、でもしっかりとAC/DCの音が聞けるのは嬉しいところ。
それにしても、デビューから50年近く経っても、社交辞令やただの褒め言葉ではなく、本当に昔のサウンドを保っているのがAC/DCのすごいところ。もう今まで何回も繰り返されてきた言葉ではあるが、バンド歴半年にさしかかって、一層重みを増してきた印象だ。
それどころか、ニューアルバムのサウンドはよりハードに、そしてキャッチーに完成度高くなっているところにも凄みを感じる。ここ何年かのアルバムに比べて、80年代後半ぐらいのサウンドに近くなっているんじゃないかとも思ってしまうのだ。まさにパワーアップというタイトルに相応しい1枚に仕上がっている。
こんな時代に、素晴らしいアルバムを聞かせてくれるバンドに称賛の拍手を贈りたい。早くライブもできるといいね。あまり来日しない彼らだが、生でバンドのサウンドに触れてみたい。