ATBPO - And The Band Played On - / NIGHT RANGER
ナイト・レンジャーのニューアルバムが思いの外よかった。しばらく繰り返し聞いている。
前作から4年ぶりということで、これぐらいベテランバンドになるとアルバムリリースの間隔も空きがちになるのが常ではあるが、キャリアの割にはいいペースで新譜を届けてくれているのがナイト・レンジャーというバンドだ。
特に前作『DON'T LET UP』は、突如脱退したギターのジョエル・ホークストラ(WHITESNAKEに参加)の穴を埋めるべく参加したケリ・ケリーのプレイも聞ける名盤でなかなかよかった。個人的にはジョエル・ホークストラもいいのだけど、L.A.メタル界隈で腕をふるってきたケリ・ケリーもブラッド・ギルスとの2枚看板でいい力関係のサウンドメイキングをしてくれるのではないかと思う。
と、話が脇道にそれた。ニューアルバムの『ATBPO』だ。最初のシングルカットで動画もアップされていた"Breakout"を聞いた瞬間に、これは期待できるアルバムだというインパクトがあった。
ツインギターの印象的なフレーズから始まるアップテンポなナンバー。そして哀愁を湛えた流麗なメロディが聞くものを魅了する。こういう曲が40年経った今でも普通に飛び出てくるところが素晴らしい。
アルバムはバリエーション豊かな楽曲に彩られている。次にPVが発表された"Bring It All Home To Me"は軽快なアメリカン・ロック。Baby, Baby...のリフレインでキャッチーな1曲に完成させている。それでいてギターのトリッキーなプレイも聴き逃がせないポイントだ。
他の曲も素晴らしいのだが、バンドはアルバムの発売と同時にYouTubeで全曲を公開している。時代は変わったと思わせるが、こうしてアルバムを買わない人にも曲を聞く機会を広げられるのはいいことだ。ぜひこの素晴らしいアルバムを聞いてみてほしい。
今回のアルバムは、それぞれのパートを録音し、メンバーがお互いの自宅スタジオで音を重ねて作り上げたということだ。スタジオに会して曲作りができないながらも、その分細部への作り込みがされたのだろうかということは考えられる完成度の高いアルバムになっている。
バンド自体は、最近ではいろいろ対策を行いながらライブ活動を始めているとのことで、今回のアルバムを聞いているとライブでも見てみたい、聞いてみたいバンドだ。実はNIGHT RANGERは今まで見たことがないのだ。
全開の来日公演が2019年。海外のアーティストがライブを行えるようになれば、また来日の機会もあるだろう。その日を、このパワフルなアルバムを聞きながら待ちたいものだ。