見出し画像

LOAD / METALLICA

 『Load』はメタリカが1996年に発表したアルバムだ。25年前の6月4日にリリースということで、当時を振り返りながら何か書いてみる。

 前作のブラック・アルバムこと『Metallica(1991)』が世界的に大ヒットし、それを踏まえてのニューアルバム発表だった。

 そもそも僕は、メタルを聞き出した80年代には、スラッシュ・メタルが苦手だった。特にメタリカの名盤とされる『...And Justice for All(1988)』や『Master of Puppets(1986)』辺りの、スッカンスッカンと鳴り響くドラム、ザクザクとリズムを刻むギターがあまり好きではなかったのだ。

 それでもメタリカの話題は耳に入ってくるし、よく理解できないけどビッグなバンドなんだろうと思っていた。それは、『Metallica』がリリースされ、"Enter Sandman"が世界を席巻する様子をリアルタイムで目撃しながらも同じだった。

 とは言え、昔から理解できない音楽も聞いていればなんとかなるかもしれない、という思いでメタリカのアルバムも聞いていた。新しい音楽への探究心は旺盛だったのだ。

 そんな経緯で『Load』もリリースされて間もなく手に入れていたわけだが、1曲目の"Ain't My Bitch"を聞いて驚いた。メタリカは、前作のコンテンポラリーなヘヴィネスとは一線を画す、ストレートなメタルサウンドに変化していたのだ。(少なくとも僕の耳にはそう聞こえた)

 当時、メタリカのインタビューや解説記事などで度々見かけた、NWOBHMに影響を受けているというルーツはいまひとつ理解できていなかったのだが、このアルバムは最初の1曲を聞いただけでそれがわかった。(まあ、ぶっちゃけ"Blitzkrieg"っぽいよねってことなんだけど)

 アルバム全体も、それまでのスラッシュ・メタルでもなく、前作のようなヘヴィネスでもなく、もっとトラディショナルなロックの要素を含んでいて、個人的にはとてもわかりやすいサウンドだった。

 というわけで、『Load』は繰り返し聞いた。世の中には、急激とも思える路線変更(とは言え、それはメタリカのメンバーに内包されていた音楽性なのだが)に戸惑いを覚え、故に批判する向きもあった。実際、『Metallica』は1500万枚を超えて売り上げたが、『Load』はその1/3の500万枚程度に収まっている。

 このアルバム以降、僕もメタリカをよく聞くようになった。自分でも笑ってしまうが、以前のスラッシュ・メタル然としたアルバム群も聞くようになったのだ。自分にとっては、思わぬところで馴染みにくいスラッシュ・メタルへの橋渡しをしてくれた1枚だったというわけだ。


いいなと思ったら応援しよう!