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青春の味

  

青春の味と言ってもたいしたものでなくて
ただの野菜炒め。
具はキャベツと人参と玉葱、もやしだけ。
味付けも味の素と塩だけ。

学校を出て始めて勤めたのは
食堂のおばちゃんまで含めても総勢130名程度の病院。
しかし医療には関わりの無い仕事だったので
病院に勤務している感覚は少なくて。
ドクターは、ほとんどがお坊ちゃん。
これまたお坊ちゃんの院長一人が旗を振って
騒ぎまくる昔の田舎中規模病院の典型。

そんなわけで、ドクターは皆お金に困っていることはなく
(当時は医大に合格しただけで田舎では銀行が挨拶に来た時代)
その他のスタッフは薄給。
夕食はかなりの割合で
面倒を見てくれていたドクターに連れられて食事。
彼は生まれてからそれまで外食といえば
それなりのお店しか行った事がなかったらしく
赤ちょうちんの一杯飲み屋が気に入ったようで。

飲み屋に関しては浮気をしない人らしく
いくのはいつも同じ店。
年の頃50くらいのママさんが一人で切り盛り。

そこででたのが野菜炒め。
「若い人は野菜が足りないんだから沢山食べなきゃだめだよ」
一人ごとに超大皿に山盛り。
それが美味かった。

わしわしと食べては日本酒をぐいぐい。
何度、店の中で撃沈したことか。

それを最近になって思い出して
その野菜炒めの味を再現にトライ。
野菜炒めは強い火と中華鍋と勢いでつくるもの。
家庭用の火力ではおぼつかないわけだが
頻繁に作っては「旨い旨い」
そんな貧相な料理が旨いって何故?

それは月並みだけど
青春の想い出が調味料になっているからでしょうね。
さて、今日も野菜炒め作りましょうかね。

今日は馬鹿な男子の想い出話でした。。。

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