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フェイクが本物になる日

昔、庭作りを始めて狭い我が庭にデザインの限界を感じていた頃。
実力が無いのを言い訳にしていた頃。

このあたりは車で1時間も走れば
山麓の広い土地が50万もあれば手に入ったので
野原のような庭を作りたくて買ってしまおうかと考えたり。
狭いけれど空き家になってしまった街なかの古い実家を壊して
遊び庭を作ろうかと考えてみたりしていた。
後者は本気で考えていて、知り合いの解体屋さんに
古い木材を融通して貰って古びて味わいのある作業小屋を
作って、フリーの不動産屋さんの「土は運び賃だけで
盛ってあげるよ」と言う話に乗りかけたり。

なんだかんだで時が少し過ぎた頃。
アート系やクリエイティブ系の材料のお店に行って
ぶらついていたらアートフラワーに出会った。
ちょっと衝撃だった。
とにかく美しく、本物とかフェイクとか
そんな事を乗り越えた存在感だった。
お値段も高かったので作家さんが作られたもの
だったのだろうけれど、それと比較して
自分の工夫の足りなさを思い知らされた。

以来、くだらない事は忘れて
ただ、花を愛する事が自分の喜びになった。
そしてnoteに描き始めた
想像上の花を描く<Série de fleurs imaginaires>の
シリーズにも繋がっていった。

今は種を蒔き発芽したらポットにあげて育て
狭いながらも大好きな花壇などに植え込んで
開花したら丁寧に手入れをして
種が取れるものは最後に採種して次のシーズンに備える。
そんな自然の循環と共に生きる事が生きがいとなった。

偽物の自分が少しだけ成長した
人生の瞬間だったのかもしれない。

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