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あかいりんご⑤|大人のおとぎ話|

これまでのお話はこちら

ストーリー・文:光川てる
絵・まとめ:keigoM

泉に浮かんだりんご。
ユラユラ、ユラユラ、ユラユラ・・ん?
んんー?広い!
海かと思うほど広い湖でした!!
川から流れ込む水と、地面から湧き出す水で大きな湖になっていたのです。
風も凪いで、蓮の葉の上でプカプカ浮かぶりんご。
前にも後ろにも進めません。
・・・・・・・・・・ザバ~!!

突然大きな島が湖から競り上がって来ました。
りんごはその島の上にちょこんと乗っています。

🍎「んー?なんだー?」 し・・・島が喋った!」

おや、よく見れば島ではなくて大きなカメでした。
この湖の主でしょうか。

🐢「んー?りんご?なんでこんなところにりんごが?」
     首を傾げました。
🐢「とにかく水の上じゃ、そのうち腐っちまう。
  そしたら食べることも目を出す事もできなくなる。
  わしが岸まで持っていってやろうかの。」

カメはそのまま岸に向かって泳ぎ出しました。
岸についたカメは甲羅を傾けて
コロンとりんごを地面に転がしました。

すると、今度は草むらからきつねが出てきて
りんごを背中に乗せてしまいました。

勢いで赤いりんごを預かったきつねは森のなかを歩きだしました。
🦊「フンフンフーン♪」
足取りも軽く鼻歌交じりでどんどん進んでいきます。

🦊「♪りんご、りんご、俺はりんごの運びやさん。
  俺の進むこの道が あかいりんごの進む道。
  紫色のりんごはどこに。幸せのあかいりんごが進んでく♪」

きつねは、赤いりんごの記憶からデタラメに歌を歌い出しました。

🦊「♪りんご、りんご、幸せのあかいりんごは紫りんごを探してる♪」

歌いながらどんどん進んでいきます。
しばらく歌いながら歩いていると 頭の上から声を掛けられました。

🧍「そこ行くきつねさん、その歌は本当かい?」

きつねが見上げると、妖精の騎士が木の枝に腰をかけていました。
きつねは訝しげに妖精騎士を見上げます。

🦊「誰だい?声を掛けるなら、まず自分が名乗りなよ。」

          🧍「これは失礼した。我が名はツェルン、この国の妖精王の騎士だ。突然お声掛けして申し訳ない。」

🦊「妖精のお城の騎士様が何の用だい?」

           🧍「そのりんごが、『幸せのあかいりんご』と言うのは本当かい?」

🦊「そうさ。さっき湖に浮かんでたのを亀さんが運んでたんだ。
  俺が預かって運んでるのさ。
  魔女に眠らされた妖精のお姫様を目覚めさせるのに
  『紫のりんご』をさがしてるみたいだ。
  さっきりんごが教えてくれたんだ。」

                 🧍「そ、そのあかいりんごを持って                        
           城に来てくれないか!
城の中庭には紫のりんごの木があるのだ!
そして王様はずっと、赤いりんごを探していたのだ!」

妖精騎士は、羽をパタパタと忙しく動かしています。
🦊「ちょっと待ってくれよ。
  このりんごは妖精姫のマレーネさんを目覚めさせるために
  旅を始めたんだぜ。他の目的のためには使えさせないぜ。」

        🧍「マレーナとは美しい歌声を持つ姫の事だろう?
         大丈夫だ。王様はその姫の事も探していたのだ!」

どういう事でしょう。
きつねは詳しい話を聞くために、お城に行ってみることにしました。

さてさて、これからお城で何が始まるのでしょうか。

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