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【バトン企画】 #心に残るあのエピソードをあなたへ:おいで妖精の国に。

多分、傷つきやすいのに頑張ってしまうnoterの初瑠さんから
このバトンを受け取りました。

チェーンナーさんのバトン企画に参加できること嬉しく思います。
残念ながら「心に残る」ってのは柄でもないので
自分が泣いてしまったお話です。

追伸:
 最近の私のnoteは妖精のことばかりなので
 ちょっと変な奴ですが、このお話は実話です。
 世の中、ほんとうに不思議な事もありますから。


「この子、サボり癖があるので叱ってください」
彼のお母さんは言った。突然だった。

もともとメディア系の仕事をしていたのに
A社の人事総務の仕事を受託するから
その管理も兼務しろとの外資ならではの無理難題。
そこでは新規に障がい者を雇用して
清掃業務にあてるので、それも管理・担当をしろとの事。
まあ、外資なんて常識ハズレの事は日茶飯事だったので
仕事の受託後、即、採用面接開始。

「健常者と同じ扱いをしてください。
 もし駄目な事があったら、しっかり叱って下さい。
 そして電話を頂ければすぐに私も駆けつけます」
 面接に来た二十歳の知的障がいを持つ子のお母さん。

お母さんはとても真剣なのだが
彼はあちこちを見渡して何かを面白がっている顔。
大丈夫なのかと不安もありながら採用。
同時に採用した他数名の障がい者さん達は
仕事もなんとか落ち着いたものの
彼は真面目なのか、障がいが邪魔をしているのか
わかりにくい行動。

ある日、お昼ご飯を一緒に食べて
道路際の芝生に腰を下ろしてアイスを食べながら二人でおしゃべり。
と思ったら、突然こちらを真っ直ぐ向いて

「僕、嬉しいんです。ちゃんと自分の仕事を貰って。
 いつも誰かのお手伝いでつまらなかったんです」

きっと働きたい意欲はきちんとあったのだろう。
うん、なんとかなりそうだと思った次の日。

いつもその時間は、ある建物で掃除をしているはずが
どこを探してもいない。
かなりセキュリティーが厳しい会社だったので
「こりゃまずい」とばかり広い敷地を走り回って
探し回って探し回って、やっと見つけたのが
彼らに使って貰っている休憩室。

彼はのんびりと清掃の手順書を折り曲げながら遊んでいた。
「どうしてあそこの掃除をしていないの?」
お母さんの希望通りに叱っていたら

彼「今日は床が掃除をすると痛いって言っているので
  可哀想だからここで待っています」

もしかして、我々には聞こえてこない
モノの声を聴けているのか。
それともサボりなのか?

半分、分かったフリだったものの
「じゃぁ、床が痛くないっていったら掃除してあげるよね」

すると彼はわかってくれたんだとばかり
抱きついてきてワンワン泣き出した。
あれ?本当の事だったのか。

「僕のこと、誰もわかってくれなくて寂しかったんだよー」

何故か急にこの子の真剣さが伝わってきて
恥ずかしながら一緒に自分も泣き出してしまって。
狭い休憩室で二十歳の男子と五十歳の親父が抱き合って
泣いている姿は今思うと奇妙としか思えない風景だったけれど
とても、彼が愛おしくなった。

それから1年後、自分が諸事情で退社をする事になって
その旨の連絡をお母さんに電話。
すぐに駆けつけたお母さんと21歳になった息子そして私。
それぞれに、いろいろな思いがこみ上げてきて
例の狭い休憩室で3人の大泣き。

結局彼はサボりぐせがあるのではなくて
モノの声が聞こえて混乱していただけ。
でも、それを表現できなくて誤解され
彼なりに困っていていただけだったようです。
残念ながら彼とはそれきりですが
噂ではしっかり仕事が出来ているとの事。
3人で泣きあったのも少しは役にたったのかと思いました。

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心に残る想い出に相応しかったかどうかわかりませんが
バトンを渡された時に一番に思ったのが
今回の主人公の彼。
今、彼に話し相手がいれば嬉しいけれど。
なんならこっちの妖精の世界にきても
彼なら違和感がないのかと
バトンリレーのお話を頂いてから考えていました。

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このバトン。次はnoterのチズさんにお渡しします。

私の生まれは関東。親の仕事の関係で引っ越しも多かったけれど
東から北半分の寒い地域にしか縁がなく
温暖なイメージがある静岡に何故か憧れがあって
最近、そこにたまたま親戚ができた事で
その憧れの静岡が近しくなったと思ったら
静岡ご出身の(ご自分が書かれているのでいいですよね)チズさんと
noteで知り合いになって。
勝手に親近感を感じています。
子供の頃のお茶畑の心がほんわかするエピソードが一番好きです。

それではチズさん、ゆっくりとお話くださぁーい。

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