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【映画】ウトヤ島、7月22日

https://www.amazon.co.jp/ウトヤ島、7月22日-字幕版-アンドレア・バーンツェン/dp/B07YGX7Q9N/ref=sr_1_1?crid=LFCIBNER6H1H&keywords=ウトヤ島+7月22日&qid=1696402284&s=instant-video&sprefix=ウトヤ%2Cinstant-video%2C661&sr=1-1

(9/30の呟きから再構成&加筆しました)

ゾンビより怖い、マス・シューティングの事実を再現した1カット映画。
間延びするところもありますが、そこも含めてリアリズムを重視した作風です。
政治テロへの批判をこめていることは字幕でのみ表現していますが、制作者の意思は非常に力強いものがあると感じました。

情報が錯綜することで、事実以上に怖く感じてしまいパニックに追いやられていく感覚、被害者同士でモメてしまうことの恐ろしさ、守るものがあるという感情……
実際の事件が起きていたのと同じ時間の中に色々なものを詰め込んでいます。

外国(広く外国、つまり日本以外)の映画やドラマでは、政治的な議論を好む若者が時々描かれるように思いますが、日本の映画やドラマにはほとんどないのでは?
最近の日本の若者はとりわけ政治の話を避けるとよく言われますが、実際全然いないのか、いてもフィクションの中ではリアリティのない若者像になってしまうのか。

誰もが政治に関心を持たないからマス・シューティングも起きづらい。
だからいいだろ……
とは言えないですよね。
元首相が射殺される事件も起きた国であることは意識しないと。
と、いう思考を喚起する映画であったことが良かったです。

以下ネタバレ要素ありです。

衝撃的な結末ですが、こういうことが本当にあったのだと思うと、「胸糞」結末の最たるものとしての意義が感じられました。

ネタバレついでに脱線して……
胸糞結末で有名なフランク・ダラボンの『ミスト』ですが、あれもなかなか有意義な作品だと思ってます。
ホラー映画ではたくさんの人が死ぬけど、主人公は少なくとも映画の最後まで生き残っているわけで、劇中に出てくる死者は全員、主人公より先に死んだ人々。
それら早々に死んでしまった人を主人公にする映画があっても良いし、あるとすればそれはホラーというジャンルでしかできないこと。
それはホラーフォーマットで映画を作るひとつの意義だと思いました。

そんなに早く死んだわけではないけど、愚かな行動でひどい目に遭う人物という意味では、『ミスト』の主人公もホラー映画の前半に出てくる犠牲者とそう変わらないと思うわけです。
一部「主人公の判断は間違っていないのに悲劇に見舞われた」という感想もありますが私は全然そうは思わなくて、明らかに頭に血がのぼって、見込みもないのに現場から逃げ出した主人公は結構愚かだと思ってます。

でもホラーのほかにもあるわけですね、実録ものという映画ジャンルが。
それがこの『ウトヤ島、7月22日』というわけですね。


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