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縦割り行政→公務員はけしからん!不毛な思考停止を今日終わらす(前編)


ずっと書きたいテーマがあった。公務員現役ではなかなかお伝えしづらいこと。退職したことだし!元公務員が公務員を(勝手に)レペゼンして「縦割り行政」についてお届けする。



公務員の代名詞でもある「縦割り」それは確かに存在する。度々のエアースポットに落ち入ることは、本当に申し訳なく思う一方で、よくよく考えると民間にも、「縦割り」は存在して、どこにでもあったりする。それでも、公務員の場合は、大々的にメディアに扱われてバッシングされたりする。一側面では仕方ないなと思ったり、偏重あるんじゃないかなとも思ったり。


でも、イメージが過激になりすぎて、



「やっぱ縦割りだもんな。公務員の仕事ってしょうもないよな。」
「公務員なんてお役所仕事だよ。」とか、



声やイメージが強くなりすぎたら、まちへの協力や協働への意欲もなくなってしまうかも知れない。もしかしたらいい人が公務員を敬遠する理由にもなるかも知れない。そんなことは、誰の得にもならない。めぐりめぐって、いいひとがパブリックの領域にいなくなることは、住民にブーメランがかえってくる可能性だってある。そんな状況は、コワイ。



この記事では、そもそもなぜ縦割りが生まれたのかを地方自治の文脈を紐解きながらお伝えしたい。目的は、公務員イメージの偏重を軽減し、職業観がフラットになったらというおもい。そして、公務員だろうが、民間だろうが、なんであろうが、まちの住民として、より豊かな地域や社会を協働して、一緒に作っていくマインドセットの一助にしたい、そんな願いからだ。



枕言葉が長くなるが聞いてほしい。そもそもこんなふうに思った背景には、公務員時代にさかのぼる。とある業務にて、窓口対応をしていたときに、いわれた言葉があった。


「お前の固い頭を豆腐みたいにしれくれようか。」
と罵倒された。




ロジカルで考えると間違えている対応ではなかった(と考えている。)が、やはりどうにも縦割りのポケットにハマってしまった上での感情的な言動だったと感じる。もちろん、縦割りは申し訳なかったのだけど、いわれた自分は大変なショックを受けた。


今回の記事は、固い頭を豆腐みたいにしれくれようかおじさんに向けてのアンサー、そして自分への弔いの意味もある。



※なるべくファクトベースに書く。ときおり主観も入ると思うが、事実と考察に注意してほしい。


そもそも、公務員を取り巻く現状


そもそも公務員ってなんなのか。市役所・警察・消防署・先生など職業を思い浮かべる人がいても、明確に区分できる人は多くないと思う。



ここでは簡単に国の仕事の管轄「国家公務員」県・市町村などの地方自治体の仕事の管轄「地方公務員」がいることをざっくりとだけお伝えする。なるたけ、地方公務員に焦点を当てたいが、データは混ざっているものが多かったりする。厳密に分けるのは非常に困難なので、ご容赦を。



さて一つの疑問。公務員は増えてるのだろうか。減っているのだろうか。世界の中では多いのだろうか、少ないのだろうか。


日本の公務員は減っている:人数の増減の歴史


webサイト公務員総研によると、令和2年度の公務員数は332.5万人国家公務員は58万人、地方公務員は273万人いる


令和2年度の公務員の予算定員全体の人数は国家公務員と地方公務員を総計して約332.5万人。その中で、国家公務員の人数は約58.6万人で、全公務員中の約17.6%程度地方公務員の人数は約273.9万人、全体の約82.4%程度。公務員の中で8割以上の方が「地方公務員」なので、地方公務員が高い割合を占めている。



人事院のデータを元にした公務員総研のサイトによると、平成12年に約113万人いた国家公務員は令和2年度には、約58.6人となっている。


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少し突っ込んだデータ、内閣官房・行政改革推進本部のサイトを見ると、国家公務員の一般職は、平成12年に約82万人いた。減少の大きくしめたのが、郵政民営化、国立大学、独立行政法人の法人化などでかなり減っている。純減として8万人ほど減っていると記載があるが、令和2年で一般職、約28.8万人。


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次に、地方公務員の数は、総務省によると、昭和40年から人数は増えて、平成6年でピークに達して、そのあとは減っていっているという状況になっている。(人数がサイトと総務省での数が若干違うのは、許せる範囲ということで。総務省のサイトは下記)


昭和40年、2,233千人
昭和50年、2,940千人
平成6年、3,282千人
令和2年、2,762千人



国家公務員も、地方公務員も減り続けている。
次は世界におけるに公務員数について。



世界の中で、日本の公務員数は少ない。




労働人口における公務員数をnippon.comから。


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出所:OECD “Employment in general government as a percentage of the labour force (2000 and 2008)”(Government at a Glance 2011所収)を元に作成。
注:ブラジル、南アフリカは2003年、ロシアは2005年、フランス、日本、ニュージーランド、ポルトガルは2006年、フィンランド、イスラエル、メキシコ、ポーランド、スウェーデンは2007年の数値。


また、社会実績図録から

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そもそも公務員の定義が各国違うので横並びで考えることは難しいことは前提においてほしい。けれど、世界的には日本の公務員数は多くない、むしろ、少ない。他のデータも参照したが、自分が確認したところでは「少ない」ことが読み取れた。2008年の労働人口における公務員数でいくとOECDの中で下から2番目だ。2019年の公務員の国際比較でも下の方にいる。



日本の公務員の数は世界的には少ない。ついでにいうと、女性の公務員の割合が、記載がある国の中では、低いこともよみとれる。(ここも突っ込みたいけど、ちょっと文脈外れてしまうので、また今度。。。)


公務員の仕事量は増えているのではないか、という考察




そもそも仕事量もどの範囲で、どの程度、どのようにはかるかはかなり壮大になる。定義はあまり気にせず、大まかに考察する。2003年の発行の「新地方自治入門」から引用する。



著者、岡本全勝さんは、本が出版された2002年、総務省総務課長だった。麻生政権では、内閣総理大臣秘書官に任命され、その後、復興庁統括官、内閣官房参与、となっている。

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岡本さんは、富山県魚津市を引き合いに出している。1954年、魚津市は人口46,651人に対して職員は220人だった。2002年、人口47,138人に対して職員481人。その間に変わった行政の機構図を見てほしい。



岡本さんは、この図からこう述べている。



このような組織が標準的ですが、当該市の規模や市長の方針で各市町村の組織は違ってきます。

中略

魚津市は、その後これまで市の区域は変わっていません。人口は横ばいです。でも、その間に、職員数は二百二十人から、約四百八十人と二倍異常になり、組織もこんなに増えています。仕事が増えたということです。



岡本さんは、魚津市の仕事量は増えた、という言及をしています。そこからだけどだと、市町村全体の発展に伴う仕事量が、魚津市と全く同じ構造となるとはいえない。が、少なくともプロセスは似通っているはず。そのことをふまえて、平成6年まで公務員の数が増えていったことを加味すると、公務員全体の仕事量は、増えたと考えられるのではないでしょうか。



実際、自分が2006年に入庁して以降、市役所の新しい仕事という認識が高まっていったものとして、婚活事業、移住定住事業、防災以外の空き家活用事業など、社会課題が市役所にどんどんふってきた感覚がある。



社会課題が増え、つまりは仕事の量は公務員に増える一方で、公務員の人数はどんどん減ってきている。どんなことが起きているか。


公務員のメンタルヘルスの悪化
  


仕事量は増えて、人数は減る。おまけに世間にもバッシングされる偏重があるならば、メンタルヘルスが悪くなるって容易に想像できる。一般財団法人「地方公務員安全衛生推進協会」の調査によると、10万人あたり1643人(全体の1・64%)。さらに、読売新聞によると、1999年は327人(同0・32%)だったので、20年で5倍に増えたとのこと。10万人あたりの計算なので、単純計算すぎるが、地方公務員は273万人、27倍だとしたら?とか考えるとこわくなる。調査自体が79万人を対象にしたものなので、全体となると数値が変わってくる可能性もあるにしても。

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国家公務員も忘れてはならない。読売新聞によると、国家公務員のメンタル不調によって1ヶ月以上休んだ人数が過去最多となったという。


人事院によると、メンタル不調で1か月以上休んだ国家公務員は、19年度は4186人(全体の1・51%)で、過去10年で人数、割合ともに最多だった。



公務員離れがもう起きている。




なりたい職業ランキングに毎回のようにランクするのが公務員。しかし、現実はどうだろう。公務員総研のサイトから参照するに、国家公務員を志望する人は近年、減っている。また、朝日新聞の記事を読むと「長時間労働を敬遠」などの考察とともに志望減少について言及してる。



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また、地方公務員はどうだろうか。総務省が行っている「地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果」(令和元年)によると、年々受験者数が減っていっている。


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人口減の時代なので、受験者数の絶対数が減っていることは志望者の数に影響することは前提としておいてほしい。
さて、日経新聞によると、受験者数全体は減少傾向だが、福祉や消防・警察は増えているとのこと。ということは、一般的な総合職や保育園の先生なんかの受験者が減っているのかもしれない。



ここまでの数値を考えると、公務員になろうとする人が多いっていうイメージは間違っている。なりたい職業ランキングまでのイメージまではいいけど、実際には選んでないっていうことがわかる。なりたいイメージはあるが、なろうとはしない。もしかしたら、黙っていても公務員を志望する時代は終わりなのかもしれない。



データを出して、公務員も大変なんです、ですから縦割りの話をちょっときいてください固い頭を豆腐にしれくれようかおじさん!っていうスタンスだった。が、予想以上に自分が心配していたことが別の角度からもう起きている気がした。



あらためて、自分の目的を再確認した。


公務員イメージの偏重を軽減し、職業観がフラットになったらという思い。そして、公務員だろうが、民間だろうが、なんであろうが、まちの住民として、より豊かな地域や社会を一緒に作っていくマインドセットの一助にしたい、そんな願いからこの記事を書く。




公務員の現状も把握したところで、地方自治の文脈に沿って「縦割り行政」について紐解く。




すみません、



文字数の関係で今日おわらすことができなかった。

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