電話の向こうに垣間見えるものが辛い時
電話をかけてくる人のうちには、客の立場を利用して不当な利益を得ようとする人も、残念ながらいます。
フリーダイヤルをいいことに話し相手を求めるお年寄りならば、あまりむげにはできません。業務に支障が出ないくらいは話を聞いてあげて、なるべく傷つけないように話を切り上げます。それでも、この電話が実は喜ばれていないことを、かけてくる方も分かっているんだろうなと感じられる瞬間が、時にあります。そんなときは、それでも話し相手になってほしいと思って電話をかけてくるその人に心の中では「ごめんね」と詫びつつ、明るくお礼を述べて電話を切ります。
その点、不良品だと偽って、定価よりも高い金銭をせしめようとする悪徳クレーマーなら心は楽です。何をすればよいか、何を言ってはいけないかは大体決まっていますし、あとは腹を据えて臨むだけです。
でも、悪徳クレーマーを目指しているのは分かるけれどもまだまだ未熟なその入電者が、若者、それも子どもに近いような声だったりすると、撃退しながらもやるせない気持ちになります。
そんな中でもやるせなかったのは、力のない笑顔で電話をくれた人でした。
「階段で転んでケガをしたので、予約は取り消してください」
……あなたが予約し、キャンセルしようとしているのは医療機関ですよ……。
<休憩コーナー>
きっと、何度も何度もその言い訳をして、もうその言い訳が状況にふさわしいかどうかを検討するのもやめてしまったのでしょう。
そう。わかっていても、私にはキャンセルを承ることしかできません。そして、電話を受けた人には何もできないことが、電話をした人も分かっている。
でもね、これだけは分かってほしいんです。
誰も自分のことに気付いていないと思っているかもしれませんが、気付いている人はいますよ。
決してあなたは一人じゃない。
それでは、また。
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世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。