あたらしい憲法のはなし~十五 最高法規
新憲法ができたばかりの頃、政府は新憲法をどう思っていたのでしょうか。
当時の文部省が、中学校1年生用の社会科の教科書として発行した『あたらしい憲法のはなし』を少しずつ、じっくり読んでいきたいと思います。
太平洋戦争終結後の1947年8月2日に発行されたものの、1950年に副読本に格下げされ、1951年から使われなくなったそうです。
全部で十五章ありますので、一章ずつ青空文庫から転載していきます。
今回が最終章です。
(まとめ部分を太字にしました)
十五 最高法規
このおはなしのいちばんはじめに申しましたように、「最高法規」とは、國でいちばん高い位にある規則で、つまり憲法のことです。この最高法規としての憲法には、國の仕事のやりかたをきめた規則と、國民の基本的人権をきめた規則と、二つあることもおはなししました。この中で、國民の基本的人権は、これまでかるく考えられていましたので、憲法第九十七條は、おごそかなことばで、この基本的人権は、人間がながいあいだ力をつくしてえたものであり、これまでいろ/\のことにであってきたえあげられたものであるから、これからもけっして侵すことのできない永久の権利であると記しております。
憲法は、國の最高法規ですから、この憲法できめられてあることにあわないものは、法律でも、命令でも、なんでも、いっさい規則としての力がありません。これも憲法がはっきりきめています。
このように大事な憲法は、天皇陛下もこれをお守りになりますし、國務大臣も、國会の議員も、裁判官も、みなこれを守ってゆく義務があるのです。また、日本の國がほかの國ととりきめた約束(これを「條約」といいます)も、國と國とが交際してゆくについてできた規則(これを「國際法規」といいます)も、日本の國は、まごころから守ってゆくということを、憲法できめました。
みなさん、あたらしい憲法は、日本國民がつくった、日本國民の憲法です。これからさき、この憲法を守って、日本の國がさかえるようにしてゆこうではありませんか。
おわり
あなたは、これを読んで何を感じましたか?
そして、何を思うでしょうか。
自民党草案では
現行憲法から削除
現行憲法にあり、自民党草案では丸ごと削除された内容が下記です。
ここまで見てくれば、削除するのが当たり前としか言わざるを得ないほど当たり前です。
「自由獲得」などとんでもないし、それを「現在及び将来の国民に対し」「永久の権利として」認めるわけがありません。
憲法尊重義務は政府から国民へ
現行憲法では国民は憲法によって守られる立場でしたが、自民党草案では、国民こそ憲法に従わなければならないのです。
【現行憲法】
【自民党草案】
自民党草案では、この憲法を尊重しなければならないのは国民です。そして公務員は国民に憲法を守らせる義務を負います。
さらに、天皇または摂政はこの憲法を尊重する義務も擁護する義務もありません。
新憲法に変わったとき、天皇のお言葉はどのような意味を持つのでしょうか。
改正後、いつから施行される?
現行憲法では、「公布の日から起算して六箇月を経過した日から」と決められています。
しかし、自民党草案における施行期日は「平 成 ○ 年 ○ 月 ○ 日 か ら」と空欄になっています。
恐らくは六箇月も待てないと、通り次第施行したいのではないでしょうか。
あなたはどこへ投票しますか
この憲法が施行されることを何年も待ち望んでいた人もいると思います。
こんな内容だったのだと知って驚き、考えがまとまらない人もいると思います。
あたらしい憲法のはなし~八 國会にも記載しましたが、念のため再掲します。
【改憲に積極的な政党】 自民党、日本維新の会、国民民主党、NHK党など
【改憲に反対もしくは消極的な党】立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社民党など
※憲法改正は嫌だけど野党に任せるのは不安という人は、公明党なら期待が持てるかもしれません。
皆さん、権利をすてず、投票へ行きましょう。