人によって判断が異なる場合)テーマと分類
テーマで考えるとAとBは明確に違うものでも、実際にはグレーな範囲も出てきます。
今回は、そんな場合について、補足をしたいと思います。
都道府県別の集計をしたい場合
例えば、47都道府県ごとに問い合わせを集計したいとします。
こんな説明では、多分正確なデータは得られません。
誰もが分かってると思っているものほどバラバラになりがちなものである
分類として考えるときには、中心概念で捉えるのではなく、境界線を常にイメージしましょう。中心概念の共有が簡単なものほど、境界線の確認がおろそかになりがちです。
東京と神奈川が違うということを知らない人はいますか?と質問されて手を挙げる大人はいないでしょう。
でも考えてみてください。例えば「東京に行く!」と言って福岡から家出をした子が、実際にはまっすぐ神奈川に向かったとしても、誰も「嘘をつい!」たとは思いません。
しかし、問い合わせの集計上は、「東京に行く!」と言って家出をしたから「東京」で取るのか、最初から神奈川に行くつもりだったのだから「神奈川」で取るのか、東京ディズニーランドは「東京」で取るのか「千葉」で取るのか、などなどを決めておく必要があるのです。何のためにこの集計を取るのか、その目的が明確であればあるほど、正確な分類が出来上がります。
例えば、その土地にまつわる、どんな問い合わせが多いのかを集計したいなら、問い合わせ者が「東京」と言ったなら「東京」で取るほうがよいでしょう。
問い合わせが来たときに、どの資料を見たらよいかと紐づけたいなら、事実にもとづいて集計をしたほうがいいでしょう。
ディズニーランドについての資料を探すときに、東京のフォルダーを見ても時間の無駄です。
実際には、こういう分かりやすいものほど、人によって判断がぶれます。
この分類を理解してもらうために時間をとって研修する必要も、場合によってはあり得ます。
問い合わせ内容の分類のためだけとは限らない
ここまで、分類を入電内容のカテゴライズ用のものとして便宜上説明してきましたが、実際には行動を規定するもの全てにこの考え方が応用できます。
コールセンターの仕事には、「人が人に対応する」ことで臨機応変に、かつより良い対応を目指す部分と、性格も年代も考え方も様々な仲間が同じ行動を取らなければならない部分があります。
臨機応変な対応が求められる例として事柄Aと、事柄Bのみを案内する部署を再び例に取ります。
この部署には、AとBの問い合わせしかないので、2つのテンプレートを用いてお客さまからの問い合わせメールに返信していたとします。
AとBの2つが組み合わさった問い合わせのメールが届いた場合、人によってはテンプレートAを用いて加工するかもしれませんし、別の人はBを元に作成するかもしれません。
出来上がったものは別のメールですが、お客さまに満足頂けるなら、どちらでも構わないのです。
同じ行動が求められる部分としては、「Aについて説明する際には、aとbとcの3つの情報を漏れなく伝えなければならない」というようなものです。
「返品について説明するときには、購入後7日間以内で、未開封で、返送料がお客様負担になることを説明しなければいけない」というように、です。
コンプライアンスに関わる部分なども同じですね。
例えば「業務外で個人情報を見てはならない」という時の“業務外”とは何を指すのか。「許可なく持ち帰ってはならない」という時の“許可”とは誰の許可でどのように取るのか。
「人が人に対応する」ことで臨機応変に、かつより良い対応を目指す部分は「テーマ」で考える。
性格も年代も考え方も様々な仲間が同じ行動を取らなければならない部分は「分類」で考える。
両方の考え方を使いこなす。
以上、まとまりましたでしょうか
世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。