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19-20ラ・リーガ レアル・マドリード対マジョルカ レビュー(2020/06/21)

こちら前節のレビューです。合わせてお読み頂けると嬉しいです!

さて、昨日は18時提出の化学のレポートで体力を使い果たしてしまいました。マジョルカ戦はいいやと思っていたのですがやはりTake Kuboが出るとなるとスルーするわけにもいきません。というわけで今回はなるべくコンパクトにまとめるつもりです。



戦前の予想

リーガ・エスパニョーラ第31節レアル・マドリード対マジョルカの一戦。マジョルカは前節残留争いをしているレガネスを相手に引き分け、降格圏の18位に沈む。

ちなみにレガネスの同点弾を決めたのはマドリーからレンタル移籍しているオスカル・ロドリゲス。今季のFK得点数がメッシに並ぶ(4点)など、久保と並びブレイク中の選手だ。

オスカルの話はさておき、マジョルカは4-4-24-1-4-1を基本フォーメーションとしている模様。後ろ5枚の布陣を採用することもある。どちらにせよ、力の差的に考えればマドリーがボールを保持して押し込みマジョルカはまず守備を固めてカウンターを狙うという構図になりそうだ。前線で時間を作れる久保はもはやマジョルカのキープレイヤーで、どこまでやれるのか楽しみである。

忘れてはいけないのが、マジョルカは今季マドリーに初めて土をつけた相手であるということだ。リーガ前半戦のマジョルカ戦のスタメンはこちら。

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・・・一体誰が守備するというのだろうか?カゼミーロが可哀想になる程の迷采配。そして今節はその守備の要カゼミーロが出場停止。これを踏まえてジダンはどうローテーションしていくのか。


配置の確認

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マドリーはバルベルデ、モドリッチのドブレピボーテを採用。クロースを休ませたいことを考えればこれは予想通り&ベストな選択だろう。2列目はベイル、アザール、好調ヴィニシウスという並び。アザールの中央起用が機能するかというところは一つ見所だろう。トップ下を作るならハメスを使ってみて欲しいと思う

対するマジョルカは5バック、というよりはWBが高い位置をとる3-5-2を採用。前節先制FKを決めたサルバ・セビージャの代わりにマドリーのカンテラ出身アレックス・フェバスを入れ、久保は2トップの一角に。


前半〜サイドを攻略せよ〜

キックオフしマドリーの攻め方を見る。マジョルカのプレスの強度はそこまで高くなく、守備時は後ろ5枚になりブロックを敷く。この際、縦方向にある程度のコンパクトさを保ち、2ライン間のスペースを消して中央を締める。ワイドに開くヴィニシウスにはRWBのポソがつく一方で、基本的に逆サイドのLWBラゴは本来WGをやる選手ということもあり攻撃的。対面するカルバハルを牽制する。守備時の5-3-2というシステムの構造上、中盤の横幅を3枚でカバーしなければならないため、マドリーは素早くサイドチェンジすることでWBの手前のスペースでフリーでボールを受けて前進を試みる。

マジョルカにとっても中央を締めているのだからサイドに誘導してハメようという意図はあったはずで、カルバハルのサイドはラゴを前に出しDFライン全体でスライド、メンディのサイドは久保に守備のサポートをさせることで前述のスペースをケアし徐々に距離を詰めてハメ込む。ブディミールは基本的に前線に残りつつ、中盤へのプレスバックを行う。

マドリーはモドリッチが左サイドに開いてビルドアップに加わり、メンディがHS(ハーフスペース)に侵入するなどしてサイドで数的優位を作る。また前節レアル・ソシエダ戦のレビューでベンゼマのCBピン留めによるヴィニシウスのアイソレーションについて述べたが、マジョルカはブロックを敷き、かつポソがヴィニシウスを警戒していたためサイド裏にはあまりスペースは生まれず。だがこのサイドにベンゼマやアザールが流れ、狭いスペースでのコンビネーションからサイド深い位置の攻略を目指す

前半6分の崩しの形。メンディの縦の運びからボールを受けたヴィニシウスが仕掛け、チャンネルランしたアザールにパスが通る。ゴール方向を向けず一度は下げるも、ここでラインを上げたマジョルカのサイド裏のスペースに2列目からメンディが出てモドリッチからフリーでボールを受ける。ファーへのクロスをベンゼマが合わせるも、GKレイナのナイスセーブにあった。

一方右サイドは、この流れで得たスローインでカルバハルからボールを受けたベイルが大きなストライドでフェバスを剥がし、強烈なミドルシュートを放つもこれもレイナがセーブ。ベイルはそこまでポゼッションに関与しなくとも、このシーンのように積極的にシュートを打ったりヴィニシウスのように縦に仕掛ける姿勢を見せたり、裏抜けの動きを繰り返したりするだけでも相手にとっては脅威になるはずだが、やはり覇気がないというか動きが少ないように感じる。守備はしてくれないと困るけれども、もっとゴールに近い位置でダイナミックにプレーして欲しい。

18分、CKのカウンターをカルバハルが阻止し、バルベルデが前線に残っていたモドリッチへワンタッチでパスを送ると、マジョルカが前掛かりになって空いた左のスペースにヴィニシウスが走り込みループシュート。貴重な先制点を決めた。

トップ下を任されたアザールは、前半6分のシーンのように随所でボールを引き出しリズムを作っていたが、何というかやはりドリブルが最大の魅力であるアザールのスタートポジションを中央にしてしまうと、サイドで発揮できる良さの半分くらいしか発揮できない印象。とはいえ、DFラインから2ライン間で楔を受けるのが困難とわかると、22分には相手中盤の表で受けたボールをそのままワンタッチでフリック。これを受けたヴィニシウスがベンゼマとのワンツーで狭いDFの隙間を抜け出し、またもやループシュートを放つもこれはクロスバー。アザールはこのフリックから中央を崩そうと意図するプレーを他にも何度も見せており、さすがの技術とアイデアだなと思った。ベンゼマが空けたスペースに斜めに飛び出したヴィニシウスだが、こういうプレーができるようになってくると彼はサイド一辺倒ではなくなりさらに怖い選手になると感じた。


前半〜カゼミーロ不在の影響と久保〜

マドリーはハイプレスをかけることなく4-4-2でブロックを敷いて守ることを選択。ジダンもカゼミーロがいない中で前プレしに行くのはリスクが高いと判断したのだろう。その選択もあってかマジョルカはカウンター狙いというよりはしっかり繋ぐ遅攻を選択。ラインも思ったより高かった。前2人(ベンゼマ、アザール)はやんわりとCBにプレスは行くものの省エネモード。主にAcイドリス・ババとフェバスが配給役となり、久保とダニ・ロドリゲスがライン間とブロックの外とを行き来しポジションを入れ替えながら中央への侵入を目指す。普段カゼミーロはAcとして中央に構え、まず中央への縦パスは通させず、両脇のスペースを使われた際はIHのプレスバックとCBの潰し、そしてCBの空けたスペースにカゼミーロが素早くカバーリングに行くことにより解決していた。この試合のマドリーはプレスもブロックもまあまあ緩く、簡単に中央やVo(ボランチ)の脇のスペースへの縦パスを通させてしまうシーンが目立った。久保はそこのギャップでパスを引き出し続けるが、パスが出ないと見るとブロックの外でボールを受け自ら運んで縦パスのコースを作り出す。またボールを絶妙にさらしながら出てきた相手の足よりわずかに先にボールに触れてかわすドリブルは秀逸だった。この日マドリーの選手は幾度も彼に対してファウルを犯した。

久保やロドリゲスが中央でパスを受けることにより、マドリーは中央をそれまでより意識せざるを得なくなる。そうした時にワイドのWBが空くことになり、とりわけ高い突破力を備える左のラゴが高い位置で貰ってクロスをあげたり(28分)、勝負を仕掛けカルバハルが振り切られシュートまで行かれる(11分)など、危ない場面をいくつか作られた。またボール保持時のババのポジショニング、前線との距離感が良くてセカンドボールを拾われることも多く、彼のミドルはクルトワがセーブ(9分)した。

28分のシーン。

とはいえ、(久保にライン間を使われつつも)本当に危険なエリアまで侵入されることはあまりなく、マドリーは無失点で前半を終える。


後半〜見所なし〜

後半はメンバー変更なし、立ち上がりは両チームとも前から強くプレスに行く。だがマジョルカのプレスはマドリーに問題を引き起こす程のものではなく、逆に51分には相手の高めのラインの裏に抜け出したヴィニシウスにモドリッチからのパスが通り、中に走り込んだベンゼマが左足でシュートを放つもこれは正面。

55分、またもやCKから相手のカウンターというところでハンドによるFKを獲得。蹴る気満々のカピタンが縦に落ちる完璧なシュートを沈め2点差に。マドリーのリーガでの直接FKのゴールは2019年1月のベティス戦終了間際にダニ・セバージョスが決めたゴール以来となった。ラモスが持ち上げられているが、正直この1年半確かに直接FKで決まる雰囲気が全くなく、普通に考えなければいけない問題である(ハメスが出ていればシーズンに3、4点決めそうだ)。

60分に両指揮官が動く。マドリーはアザールを下げてクロースを投入。慣れ親しんだ4-3-3に変更し支配力を上げると共に安定を図る。試合前からプランにあった交代だろう。Acにはバルベルデが入る。一方のマジョルカは3枚替え。セビージャを入れ、ラゴを一列前に出して4-1-4-1に変更。点を取らなければ勝てないマジョルカは、DFの枚数を一枚減らしてラゴ頼みだったサイドを活性化させ、攻撃に厚みをもたらし点を奪いに行こうという目的だろう。久保はRSHに移動。

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マジョルカは久保が中寄りのポジションをとり前半同様ギャップでパスを受けて、空いたスペースにRSBポソが積極的な攻め上がりを見せるも、クロスの精度を欠きマドリーの脅威とはならない。

久保は62分に圧巻の3人抜きを披露。

マジョルカは久保がボールを持っても、動きが単調&3人目の動き出しが少ない。周りが止まってしまうため、単発的なクロスやミドルしか打てないず、セットしたマドリーは容易に守ることができた。

67分に攻守に精力的に動き疲労困憊のラゴを下げる。58分にカルバハルを剥がしてブディミールのヘディングをお膳立て(唯一と言っていいピンチ)するなど、正直この選手のドリブルが一番怖かったので、彼が下がってからはこちらもイスコ投入などでリスクを冒さずプレスをいなしながら時間が経過していく、という感じだった。互いに疲労もあり、試合はペースダウン。終盤に久保が鋭いドリブルからクロース、メンディに立て続けにイエローを出させるなど、存在感を発揮。しかし、特に見所もなくそのまま試合終了。正直マドリーとしては、崩して得点を奪ったわけでもなく、気付いたら2点取って勝ってたみたいな試合展開だった。

この試合で久保は数字上でも光るものを見せた。役割やポジションが違うといったことを考慮しつつも、既にバスケスやブラヒムより技術もインテリジェンスも上を行ってるように見える。ただマドリーのWGには馬力と得点力が求められ、インテリオールには守備力、献身性が求められるため、まだまだ道のりは長いとも思う。でもシンプルにすごい。

(語彙力の無さ)


試合結果

レアル・マドリード 2-0 マジョルカ
ヴィニシウス(18分)、セルヒオ・ラモス(55分)


出場選手

クルトワ:今シーズンリーガではここまで出場28試合中14試合でクリーンシート。サモラ賞受賞なるか。
カルバハル:ラゴに置き去りにされるという、やはり疲労しているのからしくないプレー。終盤の鍵は間違いなくナチョ、バスケスの復活だろう。
ヴァラン:ラモスが目立ちすぎてあんまり覚えてなくてごめんなさい。
ラモス:前節負傷退場したかと思いきや、何事も無かったかのようにFKを沈め今シーズン8点目。これはグリーズマンと同じ得点数である。
メンディ:“もう1人のLSB”としては、全盛期コエントラン以降最も信頼出来る存在。終盤に途中出場のサリビュルの突破を抑えたシーンなど、落ちないインテンシティは見事。
バルベルデ:デュエルの強さはさすがだが、不用意なロストもありVo、Acとしては状況判断に改善の余地あり。
モドリッチ:前二人の守備が緩く彼にしわ寄せが。累積で次節出場停止。ゆっくり休んで下さい。
ベイル:足を振れば怖さはあるものの、それも単発的。個人的にはやっぱりもっとゴリゴリ仕掛けて欲しい。
アザール:一定の機能性は見せたが、守備面を考慮すればやはり中央での起用はやめといた方が良さそう。
ヴィニシウス:先制点を決め両チーム最多となるタックル数6回を記録するなど、MOMと言って良いだろう。
ベンゼマ:得点こそなかったもののチャンスメイクで貢献。果たしてマリアーノに代役が務まるか。休ませたい。
クロース:彼がいるとビルドアップの安心感が違う。相手陣地で謎のスライディングを見せ久保を削りカードを貰う。
イスコ:中断明け初出場。すごい体重そう。毛量アップした新ヘアースタイルを披露。
アセンシオ:クロースのクロスにヘディングで合わせるも枠外。エリア内でのポジショニングはさすが。
ブラヒム:久々の出場から一度惜しい右足のシュートを放つ。個人的に彼のドリブルは好き。
マリアーノ:ハイボール誰も競ってないのに盛大にかぶってて面白かった。クラシコファーストタッチ弾の補正が切れぬうちに得点してもらいたいところ。
ジダン:トップ下作るならハメスを使う方が良いのではないか。次節は最下位エスパニョール相手なので、そろそろ本当にカルバハルを休ませてあげて。怪我したらオワリ。


データ提供元:https://www.whoscored.com/


全くコンパクトにまとまりませんでした。カルバハル並みに過労死しそうなので次節のレビューはお休みします。最下位相手なのできっと大丈夫でしょう。


最後までお読みいただきありがとうございました!

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