続・成長する子供の夢
「駅と電車」シリーズの夢が二年ほど続いたある朝、娘が「長い夢を見たよ!」と起きてきました。
「B駅(自宅近くのターミナル駅)で迷子になる。仕方ないから、いつもおやつを買う駅ナカのお店の人に『C駅(自宅までタクシーでワンメーター程度)に行くには何番線にのったらいいですか』と教えてもらってC駅まで行って、いつものタクシーの運転手さん(小さい駅なので数名の方で回しています)に
『私は子供でお金がないから、おうちまでのタクシー代を貸してください。あとでお母さんから返しますから』とお願いして、おうちまで帰った。」
驚きました。
夢の中で娘は、自分に出来ることと出来ないことを的確に見分けて、ちゃんと助けを求めて、帰宅を果たしたのです。
この話を聞いて、まだまだおやすみマンのお世話になるような我が子には素晴らしい理性が備わっているのだ、と感じ入り、安心し、頼もしく思ったものです。
その夢から数日後、娘は幼稚園で年上のお友達に一生懸命折り紙で作ったペットを隠され捨てられました。
(なぜその子がしたと分かったかは割愛します)
娘は、丁度掌くらいのその作品に「ぐっぴー」と名前を付けて、幼稚園の先生のお許しも得て、一週間くらい大事に持ち歩いていたので、失くなったときは人生最大の大泣き、家に帰るのもやっとでした。
抱き締めて背中を撫でながら、まだ五歳になったばかりのこの子にどう話したものか、
「ぐっぴー(折り紙の名前)、冒険に出たのかな?」などとなだめようかと思いましたが、その年上の子には最近ちょいちょい意地悪をされている、と本人も先生も言っていたし、その子がぐっぴーについて何か知っている、ということも分かっている、私も下手なウソもつきたくない、と悩む中、その夢を思い出しました。
今のこの子なら分かるだろう。
そこで娘に、どうもそのお友達が大事なぐっぴーをこっそり持って帰ったようだ、と話しました。
そして、娘のような元気で目立つ子は、そういう意地悪をされることは珍しくない、 ママもパパもそうだった、今回もそういうことではないだろうか、と私の思うところを正直に話しました。
私「もうこういう思いをしたくない、と大人しくするのも作戦だけど、でも意地悪した子より、あなたの元気さや明るさが大好きなお友だち、先生たちの方が多いよ。それに、それであなたがしょんぼりしちゃったら、ちょっとその子の思う壺だよね」
娘「思う壺って『さくせんせいこー!』ってその子が喜ぶってこと?そんなのさいてー!」
私「そうだよね。まあでも、あの子は自分のしたことが分かってないんだと思うけどね。意地悪したなんて思ってないんだと思うよ。」
娘「…」
私「これからもこういうことはあるよ。ひどいときはおうちでしばらくお休みしたっていいと思う。でも自分を変えるのはだめ。負けるな!ママはそう思うよ。」
娘「…またぐっぴー作る!」
突如跳ね起きた娘は、鼻水を垂らしたままいそいそと折り紙を取り出し、結果色違いの新ぐっぴー八兄弟が出来上がりました(笑)
そこで満足した娘は、新しいぐっぴー達はおうち用にする、と宣言し、次の日から普通にまた幼稚園に楽しく通い始めました。
その年上のお友達はすぐに卒園してしまいましたし、子供のこと、きっとこの出来事は忘れてしまったでしょう。
それでいいと思います。
彼女は娘が生き方を選ぶ機会をくれたのだな、と思っています。
娘が自力で帰宅する夢は、私に娘の理性を知らせてくれました。
この夢を聞いたときは
「自分で考えて、大人に助けてもらって、ちゃんと帰れたんだね!あなたはすごいねえ!怖くなかったの?」
と答えたのを覚えています。
この夢を知っていたお陰で、娘の人生最初の難所を迎えた時、娘の強さ、賢さを信じて話し合うことができ、娘はそこから自分で「いつも通り元気に幼稚園に行く!」と自分の決心を作り出しました。
夢がその人そのものであることを体験させてもらった、かけがえのない思い出です。
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