【giftee】3分で読む企業分析 〜ギフト事業の中核はtoCにあらず〜
2019年9月に上場し、前期比売上倍増を達成しているgiftee。今回のテーマは「ギフトのオンライン化を目指すgifteeの成長を支えるのはtoB?」です。
【サービス】「ギフトのオンライン化。」だけじゃない
gifteeは、オンラインを通じてギフトを贈れるサービスを行っています。gifteeを使えば、実際に相手に会わなくても気軽にプレゼントをすることができます。
これだけでも素晴らしいイノベーションなので、自分はgifteeはこのCtoCサービスを軸にして成長しIPOを達成したのだと思っていました。しかし、決算・売上を見てみると、gifteeの真髄が見えてきました。
【売上】前期比倍増。法人売上が半数以上
gifteeの四半期売上は前期比倍増を達成しており、通期の売上は20億円に到達するのではないでしょうか。また、売上構成比を確認すると、法人向けのサービスが大きく拡大しており、売上の58%を占めていることが分かります。
では、gifteeが提供するtoBサービスとは何でしょうか。
【提供価値】企業のマーケティング支援
gifteeは、気軽にギフトが贈れるシステムを企業向けに作ることで、新しい簡単なプロモーションの手段を提供しているといえます。主な提供価値は以下の三つです。
① キャンペーンのコスト削減
② 当選者数の最大化
③ 段階的プロモーションの実現
保険など、単価の高い消費者向けの商品を販売する企業が主なクライアントとなっています。保険業では、元々商品券などを無料でプレゼントすることで顧客を獲得していました。このような、"オフラインでのプレゼントによって顧客獲得をする"という従来の仕組みをテクノロジーによって代替したというのがgifteeの本質といえます。
【競合・戦略】LINEの追随に打ち勝てるか
注意したい競合としてLINEが挙げられます。LINEギフトは、toC向けのgifteeと全く同じサービスといえると思います。LINEは大量の顧客基盤と、LINE payのために構築した各社飲食店などとの関係性があります。この非常に強敵といえるLINEに勝つことはできるのでしょうか。
結論としては、自分は勝てると思います。理由は経営資源の投下比率の違いです。ご存知の通り、LINEは非常に多種多様なサービスを持っています。LINEの決算を見ると、LINEの売上は半数以上が広告事業で占めており、次にマンガやMUSICといったコア事業が占め、その他の戦略事業で13%となっています。
LINE決算説明会資料
そして、戦略事業も、ショッピング、グルメ、トラベルといった事業が中心に紹介されており、ギフト事業は一度も出てきていません。LINE社は海外進出も行っており、ギフト事業の優先順位はかなり低いのではないでしょうか。
LINE決算説明会資料
このように、LINEがギフト事業に集中しにくい状況下で、gifteeが質の高いサービスを提供できていれば顧客の獲得が十分可能だと思います。
それではgifteeのサービスの質を見てみましょう。今回、実際にgifteeを使ってみましたが、LINEと同じかそれ以上の商品ラインナップとUXの高さがありました。
gifteeにおいてもギフトの送信はLINEに向けてできますし、決済に関しては、(LINEpay利用者でなければ)gifteeの方が簡単で分かりやすいと思います。LINEギフトやその他新興勢力が広まる前に、大規模なマーケティング施策を打ち、ギフトアプリとしてのユーザー獲得を拡大できれば、シェアを維持できるのではないでしょうか。また、そのための資金も上場によって得ていると思います。
今回実際に使ってみて、簡単なギフトをさくっと友人に送ることで、自分も気分が良くなるし、大変いいサービスだと感じました。しかしながら、実際問題、このような形態のプレゼントが当たり前になり人々に広がるかについては懐疑的な部分があります。
やはり、経営者としては、toBの対法人向けマーケティング事業をまずは伸ばす戦略をとるかと思いますが、同時にLINEギフトが広まる前に、toCで盤石な基盤を築く必要性があると思います。toB事業の戦略についても、また改めてまとめたいと思います。
【まとめ】
・オンラインプレゼントサービスgiftee
・倍増した売上の半数以上をtoB向けサービスが占める
・企業に新たなマーケティング支援を提供している
・LINEへも充分に勝機有り
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