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#017 飲食店における日別損益計算(日次決算)のすゝめ~後編~
お疲れ様です!なべパパです。
前回に続き、"日別損益計算"について整理していきたいと思います。
"日別損益計算"の有用性などについては以下をご覧ください。
1.日別損益計算のサンプル
実際の"日別損益計算"のサンプルを作成してみました。
ダウンロードできる方は確認してみてください。
サンプルとして、
・売上 月420万円
・原価率 35%
・地代家賃 40万円
の飲食店をイメージして作成しました。
※乱数で実績値作成しているので、あまり規則性なく実際の飲食店とはやや異なりますが、計算自体には支障はありませんので、あくまで参考に。
![](https://assets.st-note.com/img/1689331043721-V9wJNDEeBt.png?width=1200)
2.日別損益計算の方法
◆ 損益 = 売上 ー 経費
会計はまず大枠から理解することが大事です。
「損益 = 売上 ー 経費」
です。
例えば、個人事業主としてコンサルタント業を行い、クライアントの店舗をコンサルし、事務所など余計な経費をかけず、その身一つで毎月30万円を稼いでいたとしたら、
[売上]30万円 ー [経費]0万円 = [損益]30万円 です。
※実際は交通費や打合せ費用などがかかったりするので0円ではないですし、0円としない方が税務上有利です。
簡単な計算でも、企業の決算書であっても、基本的に「損益=売上ー経費」です。
この売上や経費の項目が複数になっているだけなのです。
![](https://assets.st-note.com/img/1689331138742-dBebp4PGYo.png?width=1200)
◆ 経費の内訳
サンプル通り飲食店の場合の主な経費について、まとめています。
店舗(や会社)によって、その科目(経費の名称)が無いものもありますし、逆に以下に無いものもあります。
また、同様の内容でも名称が無い場合やより詳細に書かれている場合もあります。
あくまで一例としてみてください。
・原価 … 材料費
・人件費 … 従業員給与や法定福利費、交通費など
・販促費 … 割引など
・広告宣伝費 … 広告費(ホットペッパーや折り込み広告)など
・地代家賃 … 店舗や事務所家賃
(・ロイヤリティ … FC加盟の場合。店名やメニュー使用料)
・水光熱費 … 電気・水道・ガス料金
・消耗品費 … 事務用品など
・雑費 … その他(ここは色々あります。店舗保全やクレジット手数料)
![](https://assets.st-note.com/img/1689331194510-DBux4zqCp3.png?width=1200)
◆ 日別損益計算における経費の算出方法
上記の経費の内訳を毎日・実数値で集計できれば、一番精度が高い"日別損益計算"となります。
しかし、実際には毎日集計できないものがあります。
そのため、下記の3項目に分けて、集計計算していくことになります。
・実数値 … 実際に使った費用を毎日集計できる値・又は集計する値
(サンプルでは、売上・人件費・販売費としています)
・日割り値 … 月請求のもの。月請求額予測を日数で割った値
(サンプルでは、広告宣伝費・地代家賃・水光熱費)
・推定値 … 売上に対するパーセンテージで推算した値
(サンプルでは、原価・ロイヤリティ・消耗品費・雑費)
![](https://assets.st-note.com/img/1689331240838-VgjX37XFuj.png?width=1200)
もちろん、集計方法があれば水光熱費を実数値で集計したり、人件費を推定値で仮置きしたりしても構いません。
サンプルでは、以下のように考えて設定しています。
・原価 … 毎日棚卸実施は厳しい。前月原価率を流用。
・人件費 … 勤怠が確定すれば、直接人件費(交通費や法定福利費除く)は集計可能。
・販促費 … レジ閉め時に当日利用金額集計可能。
・広告宣伝費 … 月請求なので日割り。
・地代家賃 … 月請求なので日割り。
・ロイヤリティ … 元々売上のパーセンテージ請求。定額なら日割り。
・水光熱費 … 営業時間一定であれば、前月と同等額。日割り。
・消耗品費 … 箸などがメインなので、相関する売上に対するパーセンテージで推算。実数値でも月請求に対する日割りでも可能。
・雑費 … 色々あるので、一旦売上パーセンテージで推算。過去データから毎月一定額なら日割りでも可。
最後に売上から各経費の合計を引けば損益計算完了です。
3.日別損益計算実施のポイント
最後に"日別損益計算"をする上で、大事なポイントを3つまとめていきます。
(1)毎日集計する
これが一番大事です。
5~10分程度で集計できる状態がベストです。
"日別損益計算"の目的は「企業が利益を上げているのか、それとも損失を出しているのかを判断すること」にあります。
1週間前の損益がわかっても意味がありません。
(改善までに既に1週間の時間が過ぎている、、、)
ですので、毎日集計してリアルタイムに数字把握することが最も重要です。
(2)こだわりすぎない
毎日集計するので、正確性にこだわるのはやめましょう。
1日売上が200,000円のお店に対して、
[実数値]棚卸を1時間して、72,000円(36%)
[推算値]原価率35%なので、70,000円(35%)
とするなら、推算値で1秒で推算した方が良いです。
毎日集計するから、細部までこだわりすぎない。
税務上必要な損益計算は、会計処理や税理士の先生としっかりした「損益計算書」を作成しましょう。
"日別損益計算"はそれなりに合っているレベルで大丈夫です。
(3)メンテンナンスする
最後に、半年~年1回"日別損益計算"の方法について見直しましょう。
「損益計算書」と比較して、過去算出してみた数値はどうでしょうか?
少しの面倒で数字が近づくなら、手間を増やしてみましょう。
逆に対して変わらないなら、手間を減らしましょう。
実際、(3)メンテナンスをしたことがあります。
「水光熱費」についてです。
ネット上でも情報ありますが、飲食店における水光熱費の適正値は「売上に対して5%」程度です。
コロナ前運営していた店舗についても、上の5%でパーセンテージで推算していましたが、コロナにより売上大幅減少。
とてもではありませんが、売上5%どころではありません。
見直してみたら、私が経験した店舗では、冷蔵冷凍庫が多く、営業しようがしまいが大きく変わらないことに気づきました(ほぼ固定費)。
そのため今では、過去請求金額を日割りする方法で水光熱費を推算する場合が多いです。
☆まとめ
・"日別損益計算"のサンプルを提供しています。まずは、作成して運用してみましょう。日別損益は、「損益 = 売上 - 経費」で計算できます。
・経費の例としては、原価、人件費、販促費、広告宣伝費、地代家賃、ロイヤリティ、水光熱費、消耗品費、雑費などが含まれます。これらの経費は実数値、日割り値、推定値の3つの方法で集計できます。
・"日別損益計算"を実施する際のポイントは、毎日集計すること、正確性にこだわりすぎないこと、定期的にメンテナンスを行うことです。これらのポイントを守ることで、企業が利益を上げているのか、それとも損失を出しているのかをリアルタイムに判断することが可能となります。