ランダム練習vsブロック練習 効果的な練習を行うための練習の複雑性は? 【文脈干渉効果】
数ヶ月ぶりにESOマガジンで執筆します、松本と申します。現在は九州のサッカークラブにて育成年代(小学生〜高校生)を対象にフィジカルコーチを務めています。
Keisuke Matsumoto
Twitter:DoKei56
今回の記事は運動学習をより効果的にするためのランダム練習とブロック練習に関してです。
ある運動や動作を習得したいとき、その運動を反復することで少しずつ習得していくことができます。
ランダム練習のメリットを理解した上で、うまく使いこなせれば運動指導や自分で運動の練習をする際により効果的に行えるかもしれません。
■ランダム練習は運動学習効果が高い?
ある運動を学習(練習)する際の方法としてブロック練習、ランダム練習と呼ばれる方法があります。
ある運動をA, B, Cの3パターンで練習したり、異なる種類のa, b, cという運動を練習したりする際に、ブロック練習とランダム練習では以下のような方法を取ります。
ブロック練習が一つ一つの課題をまとめて練習していくのに対して、ランダム練習ではA, B, Cをランダムに練習します。
完全なランダムではなく、各種類が規則的に繰り返されるシリアル練習(ABC ABC ABC・・・という順番)方法もあります。
例えばある運動A, B, Cを3種合計60回運動するとしたら、ブロック練習、ランダム練習、シリアル練習では以下のように練習します。
ランダム練習とブロック練習という異なる練習の方法を比較したとき、一般的にランダム練習はブロック練習よりも運動学習効果が高いとされています(1)。
それぞれの練習では下図のような特徴が見られます。
ブロック練習はその練習中には高いパフォーマンスを発揮できることが特徴です。しかし時間をおいて再度同じ運動を行ったときに練習時のパフォーマンスが保持されにくいです。
対してランダム練習では練習中のパフォーマンスが低いものの、練習後に同じ運動を行った時のパフォーマンスの保持が高いことや、同じ運動を条件や環境を変えて行った時にも練習効果が見られる(練習効果の転移)という特徴があります。
つまりランダム練習はブロック練習と比較して、より練習後にみられる運動学習効果が高いということです。
■ランダム練習と文脈干渉効果(Contextual interference effect)
これは文脈干渉効果(Contextual interference effect)と呼ばれる現象で説明されます。
文脈干渉効果が生じるようなランダム練習のような設定を高文脈干渉条件、文脈干渉効果の生じにくいブロック練習のような設定を低文脈干渉条件と言います。
文脈干渉効果が生じる理由として主要な仮説として以下の2つがあります(2, 3)。
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