少年ジャンプ2024年34号感想
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2024年7月22日 発売
表紙 :ONE PIECE
巻頭カラー :ONE PIECE
センターカラー :夜桜さんちの大作戦
センターカラー :【読切】メメント・イン九龍
センターカラー :アオのハコ
表紙はONE PIECE。あまりよく知らなかったんですが、7月22日はONE PIECEの日ということで納得。27周年ってすごいですね。ルフィが真ん中なのはいつものことですが、普段ならゾロ・サンジ(とチョッパー)で構成されそうなところをルフィ+ナミ・ウソップ・チョッパーで飾っているのもなんだか新鮮。ちょっと「FILM GOLD」っぽさもあっていいですね。
※ この記事ではAmazonアソシエイトを利用しています。
そろそろ単行本へのリンクも最新のURLに差し替えたいな……、と思いつつ手が回っていません。
ONE PIECE
カラー
夏と言えば……「ナミさん!!!」と言わんばかりのでっかいナミさん+一味のイラスト。先生って書いているカラー絵の量が尋常ではないと思うんですが、毎回新鮮だなと感じられる構図・色使いのイラストを描いて下さるので本当にすごいなと思います。
第1121話 〝時代のうねり〟
思っていた以上にベガパンクがしゃべる。あれだけの総力戦を醸し出していた五老星がだんだんかわいそうになってくるレベルでほとんどの内容を聞いてしまったような気がします。そうなる程にベガパンクの頭脳と鉄巨人の力が五老星の予想を超えていたということなんでしょうが、それにしても「よくやった」の一言。五老星側に「別にしゃべられてもいいし」という余裕が一切ないのもいいですね。
また、希有な種族の存在が「歴史の因果による」と明言されたのは今回が初でしょうか。おそらくそうだろうとは思われていましたが(特にルナーリア族とか)、こうして世界の秘密の中核にがっつり食い込んでくることがわかると盛り上がりますね。魚人族は水中で暮らせるから、ルナーリア族は翼を持つからというところが多そうですが、バッカニア族、三つ目(族)、が空白の100年にどう関わってくるかが気になります。
今回のサブタイトルで「受け継がれる意志」「人の夢」「時代のうねり」が揃った!!!とのことで、SNSは大盛り上がりだった様子。最後の見開きもその盛り上がりに相応しい人選と迫力でした。この場にローとキッドがいないことが寂しいですが、これが最終章……、と思うと納得できるところもある。ドラゴンの下の人物が誰なのかわかった頃にまたこの回を読み返したら違う味わいがありそうですね。
あかね噺
第119席 一端の落語家
あかねの交友関係が広いことがよくわかるよい回でした。こういうときにしっかり女子会を挟んでくれるのもていねいでいいな~、と感じます。
昇進につき物入りということで父と資金についての話があったり、実質同期のひかる・からしとの交流があったり、「真打昇進」を軸にしながらも視野が狭くなりすぎない世界観の構築が見事。父が出してきたお金に関しては正直、親視点で見れば愛する子どものために貯めたものだと思うので気兼ねなく使ってあげて欲しいなと思ってしまうところがあるんですが、ここで断るだけでなく、「真打になったときは」と約束を新たにするのはいい落としどころだったように思います。
ひかる・からしは普通にいい感じなのでは?と思ってしまったのに、ひかる本人があかねへの激重感情を吐露することで否定する形になっているのがなんだかおもしろい。落語のこの辺の関係を理解できているわけではないんですが、またこの3人がメインになる話も読んでみたいと思わせてくれました。
そして、ここから修行回なのかな~、と思ったラストページで「独演会同日!」だったのには驚きました。これは大胆な構成だなと思いましたが、よくよく考えてみればここで修行を挟むとテンポが悪くなるのは明白なので、思い切った取捨選択はありですね。実際になにか描くべきことがあるなら回想という形も取れる(あかね噺の場合、落語に合わせて描写することもあり得る)。
にしてもあかねの父本人の口から「故人扱いしすぎ」という言葉が出てきたのは笑ってしまった。メタ視点じゃなくてもそういう扱いなんだ……。
僕のヒーローアカデミア
No.428 笑顔が好きな女の子
2年生に上がったA組の姿をダイジェスト的にでも見せてくれるのがうれしいですね。かっちゃんは丸くなったのか、元々ここまでぐいぐい来られるのは苦手なのか、しっかり逃げた上に廊下を走っていたことを告げ口する始末で笑ってしまった。
街の復興も始まり、そろそろエピローグもきれいにまとまり始めるところ……、と思わせつつ、それでも残る「戦いの傷跡」をしっかり描こうとするところはいい意味で堀越先生らしさがあったと思います。どんな戦いがあったとしても、どんな想いがあったとしても、失われてしまったまま二度と戻らないものがある。
「全てを救うことができなかったヒーローの想い」がどこに帰着するのか、それはこの作品がずっと抱えてきたテーマだと思うので、それを出久とお茶子の対話で描くというのは納得。ラストなので心配することはないと思うものの、心配な気持ちにはなります。
ウィッチウォッチ
164 誕プレ王決定戦
最近ずっとハイレベルな話(おもしろすぎる話)が続いていて、ちょっと怖くなってきました。いいことなんですが、こんなにおもしろくていいんだ……、的な怖さがあります。
今回はニコの誕生日を巡る家庭内空耳ギャグ。こういうすれ違いギャグは乙木家定番ですが、バンがニコについていてくれることでギャグの幅も広がったような気がします。大人の女性視点でのツッコミがあることでおもしろくなるネタに手を出せるというか……。
また、ギャグ回でありながらニコが「17歳じゃない」ことを気にしている描写が出てきたこともあり、やっぱり最終的には17歳に戻っちゃうんだ……、って急に寂しくなってきました。最初は「これでしばらくラブコメはお預けだなあ」と残念がっていたのに、我ながら現金だな。
しかし、ギャグマンガにマジレスしても仕方ないですが、こういうのって本人に欲しいものをちゃんと聞いてプレゼントするのが一番では……。それをバンはわかっていてそうしている、という書き分けも上手かったですね。
カグラバチ
第42話 全部
ここでチヒロが神奈備に所属できない理由がしっかり語られているのがいいですね。
神奈備が組織である以上「全部は無理」という考えになることは理解できるし、その考えの基になっているのが戦争で使われた「妖刀」の威力、というのもわかりやすい(その上で全部救いたいと思っているのが戦争を知らない世代だというのも含めて)。この辺は神奈備だけではなく、柴さんが「無理」側なのも説得力があります。
ここでの緋雪の立場が「全部救いたい」側であり、同時にそれが難しいことも理解しているため、自分なりの義理を立てて動いているというのもよかった。登場人物の「信念」の描き方がていねいで好感が持てます。信念と言えば、京羅もまた楽座市への「信念」が描かれているキャラクターなのがいい。今回もとんでもない精神力を見せてくれていました。
今回の件でハクリが完全にチヒロ側になっていることからも、ハクリは今後も仲間としてやっていくんじゃないかと思えてうれしかったです。え、レギュラー入りしてくれるよね!?
夜桜さんちの大作戦
作戦235.龍の特ダネ
このまま各兄弟が「旦の策略によって因縁の相手と戦わざるを得なくなり、戦って勝つ」が続くと流石に飽きてしまうんじゃないかと思っていたんですが、2戦目でしっかり話を変えてきたので流石ですね。この分だともしかしたらタッグ戦とかになる組もある……、かな!?
しっかり旦を裏切っていた龍が得た情報により、旦がゲームのボスみたいな擬似的な不死を得ていることが判明。このやりとりをフーランとやっていたって当たり、夜桜家愛されてんな~~~、と思えてよかったです。
しかし、この情報によって旦を倒す難易度は上がってしまった。旦の子どもたち全員を殺害するという方法は残されているものの、流石にそれは後味が悪すぎるのでどうにかなって欲しいところです。現状考えられる抜け道としては、旦と子どもたちを繋いでいるソメイニンの糸を切断し、旦の移動先を塞いでからの討伐でしょうか。
しかし、開花春来に対して枯死冬来は素直にかっこいい。ジャンプマンガの良さってこれよ、これ、みたいな良さがありました。
ひまてん!
No.3 秘密の関係
高校生のラブコメなのに学校行かないのかな~とか言っていたんですが、3話でちゃんと登校してくれました。それはそうか。
1話で出会い、2話で家での関係、3話で学校での関係をしっかり描いてくれているので、どういう作品なのかというのがわかりやすくていいですね。後ほど感想を書く悪祓士のキヨシくんもそういうところがあるので、最近の方針なのかも知れません。
サブヒロインっぽい叶さんは思ったよりも早い段階で主人公達に関わって来そうな雰囲気。バチバチの主人公の取り合いという感じではなく、女子同士も仲良くなれそうなところに期待しています。タイトル的に正ヒロインが誰なのかははっきりしているため、無駄にギスギスするところを見たくないというのが本音。
このまま秘密を共有する仲良し3人組という方向で1つお願いしたいところ。
SAKAMOTO DAYS
DAYS 175 業
大筋は予想していた通りの展開でした。意外だったのは有月が赤尾を直接手にかけていたことと、坂本と戦ったのがその直後っぽかった辺り。そもそも麻樹に仕組まれた戦いだったということなので、南雲に情報が回ったのも麻樹の手によるものだったのかも知れません。
正直に言ってしまうと、個人的に坂本と南雲と赤尾の同期組が好きだったのでこの辺りのストーリーには上手く乗れなかったというのが本音です。有月の境遇はかわいそうではあるものの、キャラクターとしては赤尾死後の動きに一貫性がない感じがしました(アルカマルの皆を助ける前に死んでしまうつもりだったところや、鹿島との出会いのエピソードとの不整合さ、アルカマルの家族以外の仲間への冷淡さなど)。
この辺りは一番知りたかった「リオン人格はいつどうして生まれたのか?」辺りと同時に今後明かされていく可能性が高いので、その辺りに期待します。回想シーンのラストがリオン人格のものではなく、有月のものになっていたことも含め、このエピソードから現代軸にどう戻すのかが気になるところ。
【読切】メメント・イン九龍
町田麗弥
世界観がずば抜けていい読切でした。というか、個人的にこういう九龍系スラムみたいな世界観が好きなので(九龍ジェネリックロマンスとか好き)、個人的に刺さったというのが正しいかもしれません。
とはいえ、そういうごちゃついた舞台をしっかりと描写し、魅せる画力があるのは間違いなく、舞台に食われないキャラクター・ストーリーが描かれているのが好印象でした。
ラストの九龍城改装シーンは「そうはならんだろ!!!」ではあったんですが、マンガにおけるハッタリ、表現としては全然有りでした。マジで絵が上手くてびっくりした。
僕とロボコ
第194話 新編集長とロボコ
最近、ジャンププラスで「へっぽこ」を読んでいたため、脳内で今回のロボコの話と混じってめちゃくちゃになるところでした。
正直完全にメタネタ・楽屋ネタとして度を過ぎていると思うんですが、それでもしっかりおもしろいのがすごいですね。ギャグマンガっておもしろすぎると怖くなってくるんだな……。
アオのハコ
#158 勝負
先週、急に始まった(大喜は受ける必要が全くない)10本勝負。
とはいえ、このマンガは基本的に善人達による善人達の話なので、この謎勝負もしっかり落ちつくところに落ちつきました。コメディ的なエピソードを挟むことでヘイトをしっかり管理している印象を受けました。ここでしっかり「大喜が好かれている」エピソードとして昇華してしまうのも上手い。大喜をマンガキャラクター善人選手権に出したらかなりいいところまで行くんだろうなと思った回でした。学郎も結構いいところまで行くと思う。
対して、匡と菖蒲の関係は拗れていっているような、そうでもないような……。安定した主人公カップルに対して不安が大きすぎる。
悪祓士のキヨシくん
第5話 「高校生のキヨシくん」
まず最初に驚いたのは「エクソシストの学校を卒業してから普通の学校に行く選択肢ってあるんだ……」というところ。この辺は設定があるなら結構ちゃんと知りたいですね。とは言っても、この経歴でも望めば普通の生活ができるというのはいいことだと思います。本人が望めば、というよりは上司がそういうところに気が回る人なんだなって感じもある。
さらっと始まった学校編ですが、序盤というよりも中編の導入って感じ。ここからの流れってやろうと思えば結構つらい感じにできなくもないので、この章の行く末で方向性が決まるのかなというものあってドキドキします。この辺やっぱり最終的にバトルマンガになるマンガっぽさがある。いつまでコメディ路線で行くのかを見守るような気持ちですが、別に最後までコメディのままで行く可能性もある。
逃げ上手の若君
第165話 泣いた青鬼1338
今回のストーリーは1回読んだだけではマジで理解ができなかったので感想を書くにあたってもう一度読み返したんですが、それでも全然自信がない。
ただ、この「最終的に太平記と辻褄が合えばいい」という理論で史実に「書かれていない」部分を「書かれていないということは起きたかもしれない」という形で描かれる戦いというのは「そう来たか!!!」過ぎてめちゃくちゃ盛り上がって来ました。歴史物の特性上、予想外の展開ってなかなか書けないものだと思うので、それをこの形で描くのはシンプルに天才すぎてゾクゾクしますね。
この「最終的に辻褄が合えばいい」の理論、別作品だと大奥(よしながふみ)がそうでしたね。
また、内容としても尊氏登場によってだいぶ旗色が悪くなってきた北畠顕家が心配。
鵺の陰陽師
第59話 2つの盡器
あ!!!一応外から助けが入るフラグ!!!よかったです。
今回は狂骨回で、幻妖VS幻妖の派手なバトルが見られたのがよかったです。それにしても序盤で出てきたのに全然格落ちしない狂骨はすごいですね。狂骨が代葉にきっちり懐いて(?)いる理由がなんだったのかあまり思い出せないため、活躍の度に「こいつが味方で良かった」という気持ちになります。
そこから「盡器を半分隠し持ってた」はズルでしょ!!!と思うものの、それに対応する形で代葉が覚醒するのはアツい。とはいえ、代葉1人で倒せる相手とも思えないため、四衲がいつ戻れるかというのが勝利への鍵になりそうですね。
アンデッドアンラック
No.215 Rehearsal
いい意味でいつものアンデラにテンションが戻ってきた感じ。否定能力の発現を防ぐためにみんなで和気藹々とミッションに望む感じはループ直後や学園編を思い出させてくれていいですね。ファッションショー自体は「やる」、本人の生き方を否定しない、という在り方が好きです。こういう緊張感はボクシング編以来かも。
風子とタチアナの友情はもちろんのこと、思った以上にチカラとタチアナがしっかりフラグを立てていて微笑ましい(ループ前は年の差があったと思うので……)。
願いのアストロ
第14話 バベルの決戦
派手なアストロが出てきたこともあり、今回で異能バトルものとして加速がかかった印象があります。ここでキンパがしっかり戦闘要員に組み込まれているのはいい意味でONE PIECEのナミ的なものを感じられてよかったです。
また、寅三はアストロがなくても無法だったのに、アストロが戻ってきてより無法になってしまった。こんな強い味方いていいんだ。
この章では多彩なアストロを見せるのがメインかなと思っていたんですが、ここで前回の「ヒバル派」の話から続けてテラスの掘り下げに入ったのがなかなか興味深いですね。
センターカラーもあるようでよかったです。
キルアオ
page 62 ラブラブ♡アルバム
本人同士が望まない恋愛関係を強いると、本人達がチベットスナギツネになってしまうという、カップリングオタクに警鐘を慣らしてくる回でしたね(全然違う)。
この所業、仲良しのコミュニティだからマジでギリギリ許された事案(多分ノレンも十三も部活に恩があるため聞いてくれてそう)すぎて正直結構ハラハラしました。とはいえ藤巻先生はその辺も気にかけて描いてるだろうなと言うのが感じられてよかったです。
また、十三とノレンに関しては「ここはフラグが立たないですよ!」というのをしっかりやってくれていて、結構ありがたい。その上で「いい友人」というラインを探っている感じが好印象。
超巡!超条先輩
第23話 世にも奇妙な巡査長
夏だからホラー回!!!とこの辺は結構ストレートにネタを回しているのがよかったです。最近の連載陣だとこの辺合わせられる作品が少なそうなので、そういう意味でもいい。
好みが分かれると思うんですが、私は怖い話が好きだけど苦手なので、個人的には「よく考えると本当に怖いことが起きている」オチではなかったのが助かりました。しかし、途中まで「ハセガワさん」を男性だと思い込んでいたため、ラストのコマで普通に驚きましたね。今後登場するのが(登場するのか?)楽しみです。
File1ってことはFile2があるんでしょうか。
極東ネクロマンス
第13話 魑魅
ラスボスと思わしき敵が「邪悪」以外のなにものでもなく、こういう純粋に「悪」だな、とわかる敵はそれはそれでよさがあるなと感じました。悪役側にも事情が……、という話も正義が一枚岩ではない深さを感じられて好きですが、こういう「マジで最悪」みたいな悪役に悪役としての魅力を持たせているのがお洒落な感じ。
この「悪」に至るセリフ回しもいい感じで、1話の耀司の「メランコリー」がこうやって繋がるんだなというのもよかったです。というか、この回収したってことはやっぱり終わりが近いんでしょうか……。、
チタリが巨大化することはもっと前々から宣伝しててもよかったんじゃないかと思います。巨女って結構需要のある特殊性癖だと思うので(需要がある特殊性癖って何?ではある)、こういうのはどんどん前に出してって欲しいところ。もう今からでも宣伝した方がいい。
さいくるびより
11話 妙な二人
この2人でラブコメみたいな回が来ると思っていなかったのと、それを久々の学校回でやると思ってなかったので、結構新鮮でした。
というか、前回に引き続きサイクを全然使わない回だったのも印象的(今回はクラスメイト視点というのもありそう)。この作品のテーマがあくまで「サイク」ではなく「日常」なんだなというのが感じられて、個人的には好きな回でした。
妖怪バスター村上
第6話 永眠
この流れで村上くんが死ぬこと、ある!?!?!?
めちゃくちゃびっくりしていたら、サブタイトルも「永眠」だったので二重にびっくり。メタ的にここで完全に死んでしまうことはないとは思うものの……、いやでもこのサブタイトルはヤバいやつかもしれん……。どうなっちゃうんだろう。
「納得しました。死にます」という台詞からはなんかこう、村上くんって相手を煽るためではなく(白択を除く)、単に聞きたいことを聞いていただけなんだな……、というのがわかったのもよかったです。