少年ジャンプ2024年50号感想
2024年11月11日 発売
表紙 :あかね噺
巻頭カラー :あかね噺
センターカラー :悪祓士のキヨシくん
センターカラー :超巡!超条先輩
センターカラー :キルアオ
表紙は過去編に突入したあかね噺。付録も付いていて波に乗っている感じ。これだけ人気があればアニメ化しそうなものですが、未だに話を聞かないのはやはり「落語」というジャンルがアニメ化のハードルをあげているとかそういうのがあるんでしょうか。
右上のONE PIECEのカットには「エルバフ」の文字。これがあるだけで「最近ONE PIECE読んでなかったけどついにエルバフに着いたの!?」になる人もいそうですね。実際、アラバスタを読んでいた頃の自分に行ったら「本当にエルバフ行くんだ!!!」って盛り上がる気がする。
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あかね噺
第134席 何でもある
過去編は志ぐま視点ではなく、まさかの一生視点。この人の視点で話進むんだ!?っていうのが意外だったけど、今後あかねが師事する相手だと思うとこの辺りで胸の内を明かしておく必要があるのもわかります。
落語を初めて見る一生。どん底で見たそれがあまりに素晴らしく、運命の出会いだったように感じる……、という流れ自体は結構ベタ。ただ、そこに至る流れと演出力が素晴らしいので陳腐には感じない。地力の強さを感じました。
しかし、この一生のメンタルはかなり「主人公の器」じみているんですが、だからこそこれがどうして今の状態になったかっていうのが気になりますね。この「今でこそ悪役だが、かつては現主人公と同じ境遇にあった」みたいなキャラクターで思い出すのはONE PIECEのクロコダイル(ONE PIECE、そういうキャラクターいっぱいいる気がするけど)。そう思うとその後に来る一生にとっての「挫折(一生の立場だと『絶望』の方が近いかも)」のようなものが何だったのか、より気になりますね。
カラーページのレトロっぽい、かつレトロ映画っぽい感じちょっと前に見た気がするな……、と思ってましたが、そう言えば前にカグラバチもセンターカラーでやってましたね。あのカラーはアオリ文が強すぎてそっちの印象が強い。
魔男のイチ
第10狩 氷鮫の魔法④
イチの過去。イチ自体がそもそもヤバい男なのにそれを超えるヤバい男が出てきて笑ってしまった。そもそもイチのルーツなんだとしたらヤバくて正解ではありますね。
イチのルーツが人間だったこと自体かなり意外だったんですが、確かに個人で磨いた技術にしては完成度が高いなという印象もあったので言われれば納得できる。また、ここで「ミナカタ」さんを出しておくことで今後の話の広がりにもなって行くと思うので、話の広げ方の上手さも感じました。人間じゃない可能性もありそう。
イチの爽やかな笑顔に騙されそうになるものの、よく考えると「生きている相手をそのまま生け作りにする」って発想は相当ヤバいと思います。このさわやかさはトリコに通じるところもあったんですが、これは今回の相手がたまたま魚で、かつその課題解決方法が実質料理だったからでしょう。イチ(個人)のテーマが「自然との共存」「自然への感謝」みたいな感じなので似てくる部分があるのかもしれない。
このシーンでちゃんとクムギが怯えていることで「世界そのものの価値観が狂ってるわけじゃない」って示してくれているので丁寧ですね。私はこれからもクムギに感情移入していきます(というかそういう役割でPT入りしたんだろうな)。
活け作りにすることで有無を言わせずに負けを認めさせる流れかと思っていたら、氷鮫の魔法も喜んで負けを認めたので結構怖かった。いくら不死でもやっていいことと悪いことがあるんじゃないでしょうか。結果的にヤバいやつの方が多いマンガになっているのはおもしろかったです。
今回の事件で村人に被害がなかったということでまとめている辺り、基本的には「シビアな世界」というノリではなく、楽しいファンタジーってノリで進めるんだなというのも提示されていてよかったと思います。話が進んだらどうなるかわかりませんが、しばらくはコメディ寄りの作品だと思っていてよさそうですね。
絵の上手さと話をさっぱりまとめる原作力で、かなり安定した作品になっている印象。この辺りの印象は結構キルアオに近いものを感じます。このあといくつか魔法をGETしたあたりで大きな事件が……、って感じ(ジャンプ文脈)になりそう。
ONE PIECE
鬼の子ヤマトの金稲荷代参
vol.18「刀を盗んだ犯人を追え!!」
ここでスピード&お玉との共闘になるのは素直にいいですね。スピードに関しては能力を解除しない件で気が変わったりしてないか、結構気になっていたのでそのままの姿で見られてうれしい。お玉の血筋を知ってから見るとなおさら感慨深いな。
第1130話 〝呪いの王子〟
相変わらず人の話を聞かないルフィ。普段なら「ここでルフィがもうちょっと話を聞いていれば……」になるところなんですが、今回は相手があんまり話をしない方がよさそうな相手なので結果オーライですね。なんだかんだルフィは「聞くべき話」とそうでない話を選別しているように感じるんですが、それがご都合主義ではなく本人の気質に感じられる描き方になっているのが上手い。
巨人族の視点で人間を「人間族」って言うのはちょっと意外。あくまで自分たちが「人間」であり、人間族はあくまで「小さい人間」なんだと思ってました。そう思うとこの世界の標準的な大きさ基準は人間族に準じている可能性が高そうですね。メタ的な都合の可能性もありますが、ONE PIECEはその辺りちゃんと考えてある印象。
ロキが「6年間」捕まっている、というのはおそらく考察ポイントですが、私はあんまりちゃんと時系列を整理しながらこの作品を読んでいないので特に考察とかしないで読み進めます。どちらかと言えばここで「宝樹アダム」が出てきた方に興奮しました。
ONE PIECEは壮大な話なだけあって、今までにも神話を含めて色々なモチーフを使っていますが、ここまではっきりモチーフがわかりやすいのはめずらしい気がします。単に先生が北欧神話好きなのかエルバフが特別なのか……。個人的に北欧神話が好きなのでうれしい。そもそも北欧神話と言えば巨人族みたいなところもあるし、巨人族というモチーフ自体が北欧神話ベースだったのかなと思うとしっくりきますね。
「第一世界」って聞いたときはファイナルファンタジー14を思い出しましたが、北欧神話自体にそういう説があるらしい(調べた)。「九つの世界」と言われれば確かに聞いたことがある気がします。
その後の「シャンクスが腰抜けと言われてルフィが怒る」というくだりはセルフオマージュ感があってよかったですね。このオマージュを持ってくる辺り、エルバフのエピソードはめちゃくちゃ暖めてたものなんだろうなというのも感じました。また、「当時のルフィはシャンクスの名誉を守るための力がなかったけど、今は……?」という成長も感じられるエピソードでめちゃくちゃわくわくする。
ONE PIECEってつくづくONE PIECEが好きな人ほど楽しめる作品だなと思います。
ここで言われるまでシャンクスがまだエルバフに残ってる可能性について考えていませんでしたが、確かにその可能性もありますね。ルフィとシャンクスの再会というBIGBIGイベントがエルバフで……?にわかに盛り上がって来ました(個人的にはまだだと思うものの、なにがあってもおかしくないため……)。
現状味方陣営が散けてしまっていますが、ニアミスと言えばニアミスなので早々に合流するか、しなくてもそれぞれの陣営の動きが相互に影響するような展開になりそう。ハイルディンたちがルフィのために肉を用意してよろこんでるの、かわいい。
しかし今回のかわいいMVPは、サウロと再会するために髪型を変えるロビンでしょう。女性が髪型を変えるというイベントは様々な作品で使われる手法ですが、それがこんなに前向きなイベントとして描かれていることがうれしくて涙まで出てきた。なんか周りの人たちも「かわいーよ!」とか「そりゃ嬉しいなあいつも」とかめちゃくちゃやさしい。マジでフランキーの気持ちがわかる。
反面、倒れたサウロが心配ですが……、これはどうにか食べ過ぎとかそういうしょうもない理由であって欲しい気持ちがすごくなってきた。そうでありますように。
今回ロビンのスタイルが2年前に戻ったのを見て、最終回に向かってメンバーのビジュアルが初期ビジュアルに寄っていく演出とかあったら熱いな……とか思ったんですが、難しい人もいるので(主にゾロやフランキー)そういうのはなさそう。
アオのハコ
#172 目の前の〝今〟
もうウィンターカップ始まってる!?進みすぎると先輩が卒業しちゃうのもあり、もっとゆっくり進めて行くものだと思っていたので驚きました。これはこの作品がスポーツ1本ではないからこその進み方ですね。
スポーツパートに入る度に言っていますが、恋愛とスポーツものの両立がマジで上手い。今回の千夏と大喜のシーン辺りは下手に描くと「真剣にスポーツをやっていない」みたいになってしまうところだと思うんですが、全然そう見えないし……。キスはまだ、の焦らし方も2人の真面目さが伝わってきてよかったです。
しかし、この流れならしばらくは大会の話をやっていくのかと思っていたんですが……、ここで千夏父登場は大波乱過ぎない!?でも今までの話を考えるとそう悪い話ではなく、千夏が引っ越しを拒否してでも出たかった大会を見に来たとも取れますね。この作品はいわゆる毒親的な話はあまりしないような気もするので、意外と丸くおさまるかもしれない(そうなって欲しいという願望から来た感情かも)。
このマンガ、続けようと思えば大学編とか全然できる気がしてたんですが、この展開から考えるとある程度「終わり」を意識しているような気もしてきました。タイトルの意味からしても高校の話としてきっちりまとめてきそうな印象。
僕とロボコ
第209話 褒めとボンド
ロボコあるあるテーマ話、今週は折り紙がテーマか?と思っていたら全然違う方向に話が進んだのでびっくりした。折り紙からそこに進むことあるんだ。
調子に乗りすぎてしまう人の話って下手すると共感性羞恥みたいな(なんか本当は共感性羞恥ではない言葉があった気がする)感じになって、読んでてつらくなりそうだな……、と思っていたらその辺への言及は最低限だったので無事でした。確かに「調子に乗りすぎてしまう友人をどうにかする」がテーマだから調子に乗りすぎる前に止める話になるんですね。一本取られた気分だ。
凡人たち3人、常に仲がよすぎることを知っているから最終的にギスることはないという安心感があるのも読みやすさの1つですね。 「褒めたいけど、誉めすぎると調子に乗ってしまうからどうしよう」って思うことってあんまりない(多分それなら褒めることを諦める)。そこまでして「褒めたい!」と思える関係性は大切にして欲しいものです。
悪口風褒め言葉は意外と使える気がしなくもない(これはよく考えると褒め言葉、ではなくよく聞くと褒め言葉、であることに意味があると思う)。
悪祓士のキヨシくん
第20話 大魔王降臨
学校に大魔王が降臨。登場人物の様子から大変なことだというのはわかるものの、この作品における「強さランキング」みたいなものがはっきりわかっていないのでどのくらいの脅威なのかがいまいち伝わって来ないのがちょっと惜しい。
魔王<大魔王なのはわかるけど、大の有無でどれだけ強さが違うんだ?みたいな感じ。そもそもその地位的なものが魔界(?)側の基準だとすると「強さ」で決まっている名称なのかわからないので……(強さ基準だとは思う)。そう思うと、幽☆遊☆白書の「魔族の強さは霊界の基準で決めている」というアレはかなりわかりやすかったんですね(その代わりちょっとメタ都合っぽくなる)。
とはいえ現時点では「大魔王が来て大変!」ってことがわかればいいのでそんなにごちゃごちゃ言うところでもない。来週辺りに説明してくれる気もするし……。
この、一般人が「本気じゃなかったのに本物の災厄を呼んでしまう」みたいなのは悪気はないとは言え結構ヘイトを買う行為ではあるのでその辺をどうまとめるのかは結構興味があります。ちなみに怪異ものとかだと無残に死にますね。
大魔王、明日喰ロト(アスタロト)は笑ってしまった。そんな変換にすることあるんだ。大魔王は上位悪魔の名前のもじりで行くんでしょうか。このセンス、好きです。
今回はガッツリ戦闘回でした。大体こういうバトル+コメディものは最終的にバトル寄りになるっていうのは予想するまでもなかったですね。
アンデッドアンラック
No.230 不死不正義
先週から引き続きジュリアの物語。今まで謎だった1回目のループをここぞとばかりに出してくるのはアツい展開ですね。今まで結構さらっと出てくる割に謎だった「器」の概念もわかりそうで……、まだわからない!!!私がわからないだけか?
そして、やっぱりソウルの器が存在していなさそうなのが気になります。てっきり「不死」が対になると思ってたのに「死」が普通にいるし……。
設定が多いタイプのマンガはこういう設定開示回が輝きますね。ユニオンに「UN」が入っているのにも意味があるっていうのがなんか良かったです。
ただ、正直ストーリーの方はあんまりはっきり理解できた自信がなくて、「不正義の発現によって不死が発現」という状況から考えると「ヴィクトルにとって不死は正義ではない」≒「あのときヴィクトルは死のうとしていた(ジュイスを生かし、自分が死ぬことがヴィクトル正義だった)」みたいな解釈になるんでしょうか。もうちょっと噛み砕いたセリフが来ないとわからないかも。
実際今回わかったのって1回目のループをする瞬間だけなので、このシーンの前後がないとはっきりしないことは多いですね。正直その後のソウルとの会話もわからないところが多いので、来週以降の解説に期待。
また、これは個人的な感想ですが、ヴィクトルとジュリアのコンビは熱いけど、ジュリアはジュイスではなくて(?)、私はヴィクトルとジュイスに幸せになって欲しくて……、みたいな複雑な気持ちがあります。
SAKAMOTO DAYS
DAYS 189 大凶
ここでキレた(?)のがシンで、それを止めるのが平助って図になったのが意外だったんですが、よく考えてみるとシンは坂本を慕って商店に来てそのまま家族同然の存在になったので「坂本に出会って意識が変わった」というイベントを通過していないんですよね(徐々に変わっていったので「イベント」って感じじゃない)。
そう考えると平助がここで「天弓も変われるかも」というのは改めて納得。そう言えばウィッチウォッチの対魔女戦でも今回の平助っぽいことを言ったのは元々敵側だったケイゴでした。平助がいい奴すぎて元々敵だったことを忘れてしまう。
しかも「シンに銃を向けたくない」と言いつつ絶対当てないって当たり前に思っていそうな高スペックぶりが素晴らしくて、ここ最近の平助株の上がり方がエグい。
とはいえここはシンが浅慮過ぎとも言い難くて、シンは心を読めてしまう故に「天弓のガチのヤバさ」を感じ取ったんだろうなというのもあるんですよね。
「友だちと仲直りしたい」という気持ちでシンの言葉を愚直に守り、シンたちの様子を「いいな」と感じた天弓にはなにか事情がありそうに見えるのでどうにか坂本商店側について欲しいなという気持ちがあったんですが(なんかスラーがそこまで天弓に愛情がなさそうだったのもあって)、ネームドの看守の殺害シーンが描かれてしまってると思うと難しそう。
ただ、「殺連の人間を容赦なく殺す」は南雲もやってるのでその辺はあんまり関係ないかもしれません(南雲の方が今後しっぺ返しを食らう可能性はありますが)。そもそも坂本・シン・平助だって元々殺し屋だし……、とか考え始めるとよくわからなくなってくるのでこの辺は保留としておきましょう。
しかし、上手くいきそうに見えていた状況から一気に「もう取り返しがつかない」というこの落差。これは勝手な印象ですが、鈴木先生の癖なんだと思います。
超巡!超条先輩
第38話 生まれてきてくれてありがとう巡査長
普通に偶然だと思いますが、あかね噺が過去編でレトロ風巻頭カラーやってる号でレトロ風センターカラーが被ってて笑いました。こういうのが好きで本誌を読んでいるため、満足。
超巡の好みが絶対わかりそうなローボくんが充電中なのはいわゆるご都合主義感が強いですが、もともとギャグマンガだと「ああ、ここからめちゃくちゃになるんだな」っていうお約束的なおもしろさがありますね。
超巡の過去の拗らせ方がマジで思って多方向と違う。これに付き合ってくれてた人たちっていいやつなのかもしれない……、って好感度が上がってしまった。
「熱恥ずかしい」って単語、結構使い勝手よさそう(悪口)。
オチはギャグマンガ的なムーヴなんですが、これで誰にも悪気がないのがマジで気持ちの行き場所ないよな……、という感じですごい。超巡もなんだかんだうれしい体なのは超能力があるせいで全員本気だってわかるのもデカいんだろうな。
しのびごと
第9話 ウミネコのショッピング
学園ものらしくどんどん学校行事が始まってうれしいですね。だからって体育祭を嫌がらなかったらキャラの弱さを指摘されるヨダカ、不憫。でも目立ちたくないのであればみんなに合わせる方がいいのは事実なのでそれはそう。
また、「嫌われる…!!」からの「好かれてもねぇくせに!」はだいぶオーバーキルだと思うんだけどそれどころじゃなくてあんまり気にしてなさそうな辺り、世間ズレしている故のギャグになっているのがよかったです。
ヒバリ編をやったことで予想はついていましたが、今度はもう一人の同僚の話。ヒバリに二面性があったからこっちもそうなんだろうな~とかのんきに思っていたらまた斜め方向の二面性でした。マンガだとそれなりにあるキャラ付けではあるんですが、外見とのギャップが大きいのでおもしろい。なんかもうすでにちょっと面白い人になってきたし……。
予想していたのは「実はヨダカをめっちゃライバル視している」だったんですが、抜け忍が想像以上の強さの中で味方陣営でギスギスされたら嫌なので、そうならなくてよかった。
しかしこのウミネコ、ヒロインよりもヨダカにいいとこ見せたいのが本当に面白い。
読み終えてからなんかだんだんこのマンガがかなり好きになっていることに気が付きました。具体的にどこが、というのは説明しにくいんですが好感度の高いマンガだと思います。
しかし、敵の「タバコ税が全部俺の収入になれねぇかなぁ~」がパワーワード過ぎる。もっともらえる税収あると思うよ。
ウィッチウォッチ
178 不知火久遠しか知らない苦悩
ついに怪しい先生の怪しい部分に触れる回。今までよくスルーしてたなと思いますが、これがいわゆるバイアスってヤツなのかもしれません。適当なこと言ってしまった。
少年が主役になる創作物では仕方がないところもあると思うんですが、モイちゃんが人よりも苦労しているのが気にならなかったと言えば嘘になるのでここで触れてくれたのは嬉しいですね。
マジで漏れ出してはいたものの、それを「変な人」として認識させているのは擬態としてかなり強いんじゃないかなと思います。なんかちょっと認識阻害能力めいたものを感じる。
なんとこのマンガも過去編に入りそうな雰囲気。私は作品におけるいわゆる「親世代エピソード」ってヤツにあまり乗れない方なんですが、やっぱり作者的にはそういうバックボーンって描きたくなるものなんでしょうか。ただ、ちゃんとその過去に興味を持てそうな引きをしているのは流石ですね。私もこんなことを書きつつ結構気にはなっています。ここからうろんミラージュに繋がっている、というのもフックとして秀逸。
余談ですが、マンガ家が週刊連載について語っているシーンは明らかに何者かが乗り移っていて面白かったです。作家さんが定期休みとか取りやすい感じにできないのかな~って心配になってしまう。でもこの辺も別にいい人は別にいいんだろうし難しいところですね。
逃げ上手の若君
第180話 籠城 1340
郎党みんなの成長が見られて嬉しいし、その対戦相手が初期からの因縁の相手っていうのもあまりに「オタクが好きなやつ」過ぎてすごい。何がすごいって、この対決が史実ってところですね。
実際にしっかり史実を調べたわけではないのでどれくらい演出を入れているのかはわかりませんが、こういう演出にできるくらいの史実は残っているっていうのがすごいし、そこに目をつけた松井先生もすごい。
郎党各自の見せ所を描いてからの「あのときの援軍」という流れも、「これ本当に史実なの!?」過ぎる。実際、アニメに合わせて(登場がぴったり合ってるわけではないですが、アニメの範囲に出てきた武将なので)この面子というのは意識してやっていると思うんですが……、史実と松井先生の構成力が噛み合った奇跡的な回だったと思います。美しさすら感じる。
すごかったな……、と思って読み終えたらアオリ文もよろこんでいたので微笑ましかったです。
ひまてん!
No.18 林間学校の準備
今回の話で読んでいて「登場人物に嫌味な感じがしない」のがすごく読みやすいマンガだな~と再認識。複数ヒロインものでこの空気感を保てているのは素直にすごいと思います。
殿一の好みですが、以前昔のひまりもかわいいみたいなことを言ったのはなんだかんだひまりに気を使ってだったと思ってたんですが、この感じだとそもそも大人しい雰囲気の方が好みっぽいですね。ふ~ん……そういう感じなんだ……。
しかし、全部良い感じにまとまっているおかげで(せいで?)このマンガ、最終的に誰が正ヒロインになるのかマジでわからない。全員いい人だからこそハラハラしてるところもあります。これは女子同士の関係性もいいから余計に感じるのかもしれません。
タイトル的にはひまり一択なはずなのに、ここまで色々考えさせられているのもすごい。ひまりは最終的に恋愛対象ではなくいい相棒ポジションになる、っていうのも多様性としておもしろいと思うんですが、そういうのはやっぱり難しいんでしょうか。いわゆるマリッジトキシンの城崎みたいな……、ってところまで書いてから城崎は正ヒロインである可能性がまだ残っているような気もしてきました。あっちも気になる。
また、今回のテーマ「林間学校の準備」らしく、殿一の服が普通にオシャレに描かれていたのもよかったです。作中でセンスの善し悪しを視覚的に見せられているのは強いですね。
こうして見ると、殿一の態度が対ひまりと対ほのかで全然違うのもやっぱり気になる……。
カグラバチ
第57話 崩壊
このサブタイトルが出た瞬間から不穏でしたが、そこからの急展開には驚きました。
状況を整理すると「毘灼が狙ってるのは真打だけど、できれば他の妖刀も欲しい」って感じで動いている……、っぽい?そう言えば散々妖刀を狙ってきている癖に、その目的についてはいまいち印象が薄い気がしますね(これはあえてそうなってるんだと思う)。
現時点の戦いもそうなんですが、そもそもこの世界の歴史的にも「屍の上でまだ戦っている」という印象が強いこのマンガ、しっかりその重さを纏っているのがすごい。以前漆羽も言っていた通り、妖刀使いか否かでその命の重さに差が生まれてしまっているというのもその重さのひとつとしてしっかり機能してますね。だからこそ楽座市編でのチヒロとハクリの「全部」という決意がどれだけ尊く無謀なものだったのかがわかる。褒めてる感じになりましたが、味方がどんどん死んでいくのは普通につらい。
英雄についてはまだまだきな臭いところがある様子。その中心になっているのが「真打」というのは想像通り。チヒロにもまだ知らないことが多く、混乱している中でサラッと出てくる「座村と幽の協定」。この「重大な内容を重大だと気付かせずにサラッと書く」技術がすごい。しっかりセリフとして描かれているのに、視線誘導を上手く使って「座村はそう思ってるんだろうな」「だから三年前に幽と協定を結んだ」のセリフに気付きにくくなっている(と思う)。
ここで酌揺が出てきたと言うことは、漆羽は……?
最強妖刀契約者が妖刀ゲット!!!これで勝ち確だ!!!と思わせてからのこの展開はマジで人の心がない。この一連の流れをごく自然な空気感で描ききっているのが見事な回でした。
白卓 HAKUTAKU
HAKUTAKU.8 Happy?
悲しいことに仕事の闇みたいな話が思いっきり出てしまった。ウィッチウォッチと合わせて読むとなかなか考えさせられてしまう。ジャンプでこの話題はちょっと重苦しい印象。
また、作中では馬鹿って言われてましたが「高すぎない偏差値の学校に行く」というのは、個人的には考えようによってはあり。まあ、あんまり考えなかったから馬鹿って言われたんだとは思いますが……。さすがに「少年」ジャンプだからか、進路の話は結構慎重よりの意見を「正」として描いている印象がありますね(前述したウィッチウォッチも同様)。
これは自分の職業から来る感情ですが、ゲーム作りにおいてプログラミング部分が軽視されている、という部分に触れてくれたのはかなりうれしい。どうしても裏方の仕事って感じが強いので、そこをどうマンガで描いていくのかに興味があります。
しかしこのマンガ、ジャンプ以外の別の媒体で長期連載をして欲しいなという気持ちがどんどん強くなりますね。ジャンプが悪いわけではないんですが、取り扱っている題材、短期打ち切りの可能性辺りからみると不安が大きいのも事実。マンガで分かるゲーム作り、みたいな感じでこう……、なんとかなりませんか!?私が必死になってどうするんだ。
話の内容としては今回の「作った人間が不幸かどうかなんてお前が決めんな」という正論パンチがガツンと決まったいい回だったと思います。
HUNTER×HUNTER
No.406◆神器
このマンガに関しては考えることが多すぎてもう考察とかできる段階にないため、簡単な感想だけ書いていこうと思います。出てくる登場人物がみんな私の100倍くらい頭がいい。
ただ、その複雑さをしっかり文字で説明してくれる所が個人的には好きです。読んでも結局よくわからないなとなることも少なくないんですが(ヒソカVSクロロ戦とか)、ちゃんと理屈があるんですよと示してくれるだけで安心感がある(好みが分かれるとは思います)。
念って作中で全部わかっているわけではないので、今でもぽろぽろと新情報が出てくるのがいいですね。今回だと「自分の大きさを含めて変化させられる能力は少ない」とかその辺り。念はめちゃくちゃ強いし、念を持っていない相手には絶大な能力だけど、念能力者同士での戦いとなると万能ではない、というのも上手い。割と相性勝負みたいなところがある。
ここで出てきた三種の神器の概念、もしかして王位継承戦を途中でやめられる可能性が出てきたってことですか?正直全然よくわかってないんですが、盛り上がっているのはわかります。
今まで同じ船の中でも別の物語として進んでいたものが1つの物語として交わりそうになっているのは普通に熱い展開。待っていたのはこれなので、今回の連載再開中に話が大きく動いてくれたらうれしいですね。クロロが1層に行ったらマジでめちゃくちゃになりそう。
キルアオ
page77 文化祭だコンカフェやんぞこの野郎
学園モノのマンガで文化祭をやるのはお約束ですが、やっぱりワクワクしますね。現在の連載陣で学園ものが少ないというのも理由のひとつかもしれません。同じ学園ものとしてはしのびごとが体育祭をやっていたので、体育祭と文化祭が同時に来ていておもしろい。
今回の敵……、は殺し屋関係ではなさそうな雰囲気。桜花も手を出さないつもりっぽいですが、息子(息子ではないかも)の方はまだわからない感じですね。
今回対立する幻獣組は3つ子。双子までならよく見る敵ですが、男女混じって3人っていうのはややめずらしい気がする。作中でも言われてますが、立ってるだけで目立つのも分かる。
夜桜さんちの大作戦
作戦250.分割
裏を、裏の裏を、さらに裏の裏の裏を、という感じになってくると一旦安心したのはさておき、どんどん太陽の安否が不安になってきますね。
そして太陽よりも心配になってきたのが長男。この戦い、死者も出始めているので本当に心配になってきました。最後まで1人で背負い込むのもアレなので、兄弟か灰辺りが助けてくれることを期待しています。今書いてて思いましたが、会長の「灰」って「はなさかじいさん」のいいおじいさんが枯れ木に灰をかけたら枯れ木に桜の花が咲いた、というのがモチーフになっているんでしょうか。だとしたら今が出番だと思うので会長、よろしくお願いします。
ここで旦の子どもが加勢してくれるのもアツいんですが、死亡フラグ過ぎてこっちはこっちで不安に。最後、どうにか大団円になって欲しい……!!!どうか大団円になって欲しい!!!
ラスト、夜桜の始まりと終わりが出会うっていう構図がすごくよかったです。
鵺の陰陽師
第73話 吏童大和
もはや藤乃家の女を守りたい人 VS 藤乃家の女を守りたい人になっちゃってる!!!
こんなことやってる場合じゃないというのはそうなんですが、「人類が人外の強大な力に脅かされているとき、やっている場合ではない人間同士の争いをやっている」っていう世界観が好きなのでなかなか刺さりました。藤乃家は鏖に負けたら責任取ってくれるんだろうか。
学郎の言い分がかなりもっともだったので(部外者?貴方が俺を病院に向かわせたんでしょう!)、この展開で部外者側が正論言うことあるんだな、という謎の感動がありました。
大和の能力は使えば使うほど命を削るみたいなことを言っていた気がするので、「いいぞ!やれ!」という気持ちと、「マジでこんなことしてる場合じゃないのでは?」という気持ちがせめぎ合う不思議な回でした。絶対2人で藤乃家本家にカチコミかけた方がいい。
願いのアストロ
第29話 任したぜ
特殊能力もあるあるの「能力を底上げする薬」だ。やはりドーピングは強い。
氷室はここまで一貫してずっと嫌なヤツなのがすごいんですが、この期に及んで私怨でヒバルを狙ってくるレベルの嫌なヤツだと逆に読みやすい。嫌なヤツであれば嫌なヤツであるほど気兼ねなく倒せるし……。そもそも自分が「私情のために公務を利用している」自覚がある、自他ともに認めるクズってところが潔い。この辺は不良マンガマインドが強いですね。
ヒバルの行動原理って「すべてに対して善であれ」ではなく「義理を通せ、道理をわきまえろ」というところにあると思うんですが(この辺はカグラバチと比べると両者の行動原理がかなり違っているのでおもしろい)、それってワン……いや、任侠だな……という思考になるのもおもしろい。願いのアストロがONE PIECEに似てるんじゃなくて、双方が「任侠」の話をしている状況。舞台の違いがあってもマインドの共通点を感じる。
レリさんを救おうとするキンパ。透明能力でどうするんだろうと思っていたらかなり物理的に氷を削っていたのでおもしろかった。溶けてきたというよりは削っている。確かに、能力で凍らせただけで氷は氷なんだから削ればいいというのは灯台もと暗しって感じですね。
ここからキンパVS氷室は激アツ。能力の相性はあまりよくない戦いになると思いますが、そこからどうやって勝つか、というのは純粋に楽しみです。
笑顔で凍り付くヒバル、戦いが終わってもしばらくそのままでいて欲しいくらいおもしろい。
妖怪バスター村上
最終話 人違い
すごいサラッと最終話がやってきてしまい、悲しい。お疲れ様でした!!!
紅院くんの謎出世、クソ強妖怪の登場で「もしかしたら……」というのは感じていましたが寂しいものは寂しい。でも、巻末固定掲載のおかげで毎週掲載順位を見て一喜一憂みたいなことにならなかったので、それは精神安定上かなりよかったと思います。この固定枠常に欲しい。
紅院くんが出世するだけでなく、なんだかんだと心身共に成長していたのはうれしかったですね。多分、それを想定したあの1話だったというのもあると思うので、着地点には着いたという印象。しかし、それを上回る村上理論という展開もいい意味で通常運転でよかったです。
しかしこの山本のコントロール権のくだりはSAKAMOTO DAYSの「有月の体の主導権を赤尾が取ってしまえばいい」理論を思い出してちょっと変な方向で笑ってしまいました。まあでも確かに、山本&紅院の姿を見てから思い出すと「こいつらむちゃくちゃ言ってんな」感がすごい。
そもまま村上と山本だけでなく、紅院と山本まで心が通じ合ってるのもおもしろかったです。このマンガ、こういう「会って話してみれば意外と気が合う」みたいなノリでここまで来た感じがありますが、その過程を自然に(?)描いてるのがよかったです。
ラストは割と駆け足でまとめた雰囲気ですが、ギャグマンガだとそれも含めておもしろい部分はあるので(イチゴーキ!操縦中もそういうところがあった)、最後までおもしろく描いてくれたことに本当に感謝しています。
ちなみに、村上が成し遂げた「妖怪に『国籍・人権・居住権』を獲得させる」という行為はこういう他種族ものにおいてほとんどの作品で至れていないハッピーエンドに相当するものだとおもっているので、妖怪とも友だちになるスタンスの村上くんを主体とした物語としては最高の結末を迎えたんだな、と感慨深くもあります。村上のハッピーエンド力が強すぎる。
作品の完結は寂しいですが、単行本に書き下ろしがあるとのことなので、それを楽しみにしていようと思います。連載、本当にお疲れ様でした!!!
今週は時間がないのでここまで!!!