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2月1日-2月21日 | とっとりとりどり 2025

とっとりとりどりについて

日本でも有数の民藝運動が盛んな鳥取。

島根とともに”山陰”と呼ばれ、その名の通り連なる山々と谷の織りなす陰が印象的な、海に囲まれた土地です。

自然豊かな風土から生まれ、土地の人々によって長く育まれてきた鳥取の手仕事は、柳宗悦の薫陶を受けた吉田璋也の民藝運動を土壌とし、今なお人々の暮らしに深く息づいています。

そんな鳥取の手仕事をご紹介する「とっとりとりどり」では、コロナ禍を経て数年ぶりの開催となった2023年より、私たちスタッフが実際に現地へ足を運ぶ中で出会った作り手の方やその手仕事をさまざまな視点からご紹介してきました。

木工や鍛冶、陶芸、染色、和紙、毎日の食卓に豊かさと喜びを与えてくれるおいしいもの。一日限定のパンや焼き菓子。ワークショップや喫茶、オリジナルのアイテム制作。見る・買うだけにとどまらない、足を運びたくなる鳥取の魅力を体験していただけるよう、回を重ねるごとに工夫を重ねてきました。

●過去の開催はこちら

今回は、これまでの展示ではお伝えしきれなかった現地での体験を元に冊子を制作するという、新たな試みを中心に展開します。

因州和紙伝承工房 かみんぐさじさんでのインタビュー、山里料理みたき園さんでのお仕事体験、そしてタルマーリーさんのパン工房見学と宿泊体験。冊子の中でご紹介するのは、私たちが何度も訪れ、場所と人そしてそこで生み出されるものに惹かれた中から、とくに自信を持っておすすめしたい場所です。

制作過程では、因州和紙を表紙と遊び紙、そして栞に使用。繊細な魅力をより楽しんでいただけるよう、栞の制作には当店で度々お世話になっている草木染め作家のharu nomuraさん、これまで同展でご紹介してきた苧麻糸の染織を行う草縁さんにご協力いただきました。(冊子は会期中、会場でご購入の方へお渡しさせていただきます)

展示では、因州和紙の持つ豊かな表情や、冊子づくりの過程、現地を訪れたときの様子もディスプレイやパネル、さらには映像としてじっくりとご覧いただける空間になる予定です。

毎年訪れる度に思いがけない出会いや数々の体験がありながら、お伝えすることの叶わなかったエピソードを、冊子と展示で楽しんでいただければと思います。

そして前回もご好評いただいた、手仕事の品々とともに、鳥取のパンと焼き菓子の販売や竹かごづくりのWSも開催します。

京都からもほど近い鳥取の地を、読んで、触れて、新たな体感とともに少しでも身近に感じていただけると嬉しいです。


因州和紙伝承工房 かみんぐさじ(和紙)

撮影:長谷裕太郎

鳥取県東部・因幡の国で1200年以上に渡り生産されてきた因州和紙。日本で初めて伝統的工芸品に指定されたというこの和紙は、きめが細かく滑らかな筆運びから書道用紙として親しまれてきました。

山々から流れる豊富な清流、原料となる楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)、そして若い職人さんを交えてつくられるかみんぐさじさんの手漉き和紙。過去の展示では、鳥取に縁のあるイラストレーター・西淑さん、当店ご近所の活版印刷所・りてん堂さんの協力を得て、当店オリジナルの懐紙を制作しました。

今回はかみんぐさじさんに全面協力いただき、因州和紙を冊子やディスプレイに使用。和紙の魅力を体感していただける三週間を楽しんでいただけると嬉しいです。日常でお使いいただける和紙を使ったファイルやノート、前回ご好評いただいた豆本や新たにハギレのセットもご紹介いたします。

https://www.sajiwashi.com @sajiwashi

草縁(糸・染織)

鳥取県の智頭町の伝統的建造物群保存地区・板井原集落。まるでタイムスリップをしたかような、自然のそのままの姿を残したその土地に、染織家・荒井よし子さんの染め織り工房があります。

苧麻(ちょま)とよばれる植物の繊維を引き出して糸をつくり、草木で染めて、それを織って布を作る、という沢山の手間と時間をかけてつくられる作品たち。築260年の古民家を少しずつ改修されたというその工房には、ずっと大切に使われてきたのであろう昔ながらの機織り機がありました。

以前は京都にお住まいだったという荒井さん。当時はなんと鴨川に自生している苧麻でも糸を紡いでらっしゃったそう!今回、会場では苧麻と草木染めの表情を楽しんでいただける素朴な糸を中心にご紹介します。冊子では綴じ糸と栞の糸をご担当いただきました。文字通り植物からつくられる、しなやかで素朴な味わいをお楽しみください。

https://souen.nature-studio.com/index.html @kusanoen

山里料理 みたき園(山里料理)

鳥取・智頭の芦津渓の大自然に包まれた「みたき園」。滝の流れや川のせせらぎ、森の葉音が響く中、広大な敷地には放し飼いのチャボや原木栽培のしいたけが広がります。

食材を育て、あるいは野山に入り採るところから手を掛けた、素朴で滋味豊かな山里料理を茅葺きの屋内でいただくことができる、自然豊かな心温まる場所。長い月日と人の手、そして自然の織りなす景色は「日本のふるさとの原風景」と呼びたくなるような魅力があります。

訪れた人々が昔話のふるさとのように懐かしく感じるのは、女将さんをはじめ、ここで働く人たちのあたたかなもてなしがあってこそ。足元の小さな花を愛でるように、ひとつひとつ心を込めた手仕事が訪れる人を迎えます。

今回は、これまでご好評いただいていた手仕込みのお味噌や、石臼挽きのきな粉を使った香ばしいきな粉クッキー、そして季節のうつろいを閉じ込めた琥珀糖をご用意いただきます。

朝のお仕事を体験させていただいた様子はパネルでもご紹介いたします。今年のとっとりとりどりを通して、ふるさとのなつかしさをより多くの方に感じていただければと思います。

https://ashidumitakien.jp @mitaki.en

大江啓司(竹細工)

いつも「とっとりとりどり」ではお世話になっている竹細工職人の大江さん。三度目となるWSは四角い竹かごを作ります。竹は鳥取では貴重な素材だそうですが、古くから暮らしの中で使われてきた歴史があります。使うほどに味わいを増し、美しさと実用性を兼ね備え、時とともに色艶深まる一生ものの魅力。展示販売では、暮らしの中に取り入れやすい小ぶりなものを中心にご紹介いたします。

2/15(土)13:00 - 17:00
竹細工職人 大江啓司さんに教わる
「竹で編むかごづくり」

竹細工職人・大江啓司さんに鳥取の貴重な竹を使ったかごづくりを教わります。自分の手で編めば愛着もひとしお。時とともに色艶深まる一生ものです。

使うほどに味わいを増し、美しさと実用性を兼ね備え、古くから暮らしの中で使われてきた竹。この機会にぜひ触れてみてください。出来上がったかごはお持ち帰りいただけます。

今回は、四角い竹かごを作ります。休憩時間に鳥取のお茶とお菓子をいただきながら、大江さんのお話も楽しんでくださいね。

鳥取の工芸品の魅力をより深く感じていただければ幸いです。

お申し込みはこちら

竹細工職人 大江啓司さんに教わる
「竹で編むかごづくり」
日時:2/15(土)13:00 - 17:00
   ¥7,000(鳥取のお茶・お菓子つき)
人数:7名
場所:恵文社一乗寺店 コテージ
持ちもの:エプロン・手ぬぐい・剪定はさみ
竹細工職人 大江啓司さん @hiroshioe

haru nomura(草木染め / 展示のみ)

展示やWSの開催のみならず、オリジナルブックカバーや栞の制作、メールマガジンへのご寄稿など、折に触れて恵文社に関わっていただいている草木染め作家のharu nomuraさん。今回、私たちの依頼に応えてくださり、和紙工房かみんぐさじさんの因州和紙で栞を作るため、和紙を染めていただけることになりました。紙ごとに異なる質感、繊細な色の豊かさ、和紙の表情、植物の生み出す美しさを展示でご覧いただけたらと思います。

https://haruka-nomura.info @haru_nomura

りてん堂(活版印刷 / 冊子制作)

冊子の表紙には当店ご近所、りてん堂さんの活版印刷を。落ち着いた色合いの趣ある表紙へと仕上げてくださいました。どうぞお楽しみに。

http://www.eonet.ne.jp/~retendo/ @retendo_graphic

2/1
HAKUSEN(焼き菓子)

東郷湖畔にお店を構えるカフェ・HAKUSENさんは、地元産のものを中心とした素材の焼き菓子が魅力。自分たちが心からおいしいと思える安心な素材から生まれたお菓子は、ご紹介する度にご好評をいただいてきました。そんなやさしいおいしさを今年もご紹介できることを嬉しく思います。冬季限定のレモンケーキも届きます。

http://hakusen-store.site @hakusen_matsuzaki

2/2
可笑しなお菓子屋 kinaco(焼き菓子)

大山の麓で“土ある暮らし” を感じてもらう場「食べれる森シュトレン」を運営する、可笑しなお菓子屋kinacoさん。からだにやさしいのに食べ応えのあるお菓子は毎回大人気。今回もどんなお菓子が届くかお楽しみに。

@suttoco.kinaco


2/15-16
コウボパン 小さじいち(パン)

15日の販売開始時間は未定です。
詳細は当日SNSにてご案内いたします。

大山で自家製酵母を起こし、地元の小麦を石臼で挽き、パンを焼く山のパン屋・コウボパン小さじいちさん。2014年の「とっとりとりどり」以来、当店ではすっかりおなじみとなりました。なんと今年でかれこれ十年以上のお付き合い。今回はWSや喫茶に代わり、2日に渡り小さじいちさんのパンをご用意します。

https://kosaji-1.com @kosajiichi

とっとりとりどり 2025
2025年2月1日-2月21日(※最終日は14時まで)
恵文社一乗寺店 アテリ

竹かごづくりWS
2025年2月15日 13:00-17:00
恵文社一乗寺店 コテージ

(岡本・藤林)

参考書籍・HP
『鳥取が好きだ。水丸の鳥取民芸案内』安西水丸(河出書房新社)
雑誌『民藝』(日本民藝協会)7月号(847号)「特集 式場隆三郎と吉田璋也 ふたりの医師と民藝運動」
吉田璋也の世界
Google Arts & Culture - 鳥取県の民藝 風土に根ざす、引き継がれる「用の美」のこころ
とっとりの手仕事 @tottori_teshigoto
とりのひと @_tori_no_hito

協力
鳥取県庁


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