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まちづくりとベーカリー

ワークショップなどで、「町に欲しいお店は?」と町民の方に聞くと、必ず上位に挙がる「ベーカリー」。

朝、パン派の者としても、都農町に移住して数少ない不足があるとしたら、おいしいパン屋さんがないことでしょうか。

スーパーやコンビニでも購入できる身近なものですが、近年、天然酵母や国産小麦を用いたパンをつくるベーカリーが注目を集めており、遠いまちからわざわざ買いに来る人がいるのも当たり前に。


食の「素材」への関心の高まりから、魅力的なベーカリーが人を集める力となり、つまりは、まちづくりにとって必要不可欠な業態といえます。

まちに人を集める集客装置のひとつになるベーカリーの可能性を探ります。

1. 朝食は「パン派」が優勢

日本人の主食といえば「コメ」ですが、近年、1世帯あたりの年間支出額では、「コメ」を「パン」が上回っています

減少傾向にある「コメ」に比べて、「パン」への支出額は微増傾向で、日常における存在感の堅実ぶりを反映しているといえそうです。

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朝ごはんは「パン」か「ご飯」か。
家族内でも分かれることのある長年の論争?は、全体では「パン」に軍配が上がっています。

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お米を研いで炊飯器にセットして、炊けるのを待つコメに比べて、パンはそのまま食べられるので、生活機能が衰え始めた高齢者でも自分で食べやすいというのが大きな理由のようです。

コメ派の多い20代に比べ、30代でパン派が巻き返すのは、子育てなどで忙しくなり、用意がしやすいパンを選ぶ、という行動の現れでしょうか。

2. 定着しつつある高級志向

「消費支出」全体における、家庭で食べるパンの代表格「食パン」の消費額の割合「パンゲル係数」は、近年急上昇


「食費」の割合を示す「エンゲル係数」との乖離から、「高級」志向が高まっていると言えます。

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「高級食パン」という言葉を耳にするようになってからしばらく経ちますが、消費の傾向は底堅いものになっているようです。

「高級食パン景気指数」が示す消費の底堅さ

どんなパンであれば、高くても買おうと思われているのか。
こだわりのポイントはそれぞれありながら、素材へのこだわりは共通点。

【最新版】美味しい高級食パン16選!おすすめの生食パン専門店

3.地方で増えるこだわりのベーカリー

まちのパン屋さんの枠を超え、注目を集めるベーカリーが地方で増えています。

パンと日用品の店 わざわざ(長野県東御市)

毎日食べる日々の糧になる食事用のパンだけをつくるポリシーで、販売するのは薪窯で焼いた自家製酵母のカンパーニュと超⻑時間発酵の食パンの2種類だけ。

東京から移住した夫婦が経営。
Facebookのフォロワー数は4万を超え、instagramも5.4万超え

決して通いやすいとは言えない立地ながら、店名通り、わざわざ店を訪れる人が集まっています。

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日用品や食品はすべて、店主の夫婦が実際に使い普段口にしているもの。
わざわざの店に並べる価値基準は「自分たちが使って気持ち良く、食べておいしいと思えるものかどうか」。
商品選び、販売の考え方が多くの人の共感を集めているようです。

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タルマーリー(鳥取県智頭町)

地域の天然菌×天然水×自然栽培原料でつくったパンとクラフトビール、かつて保育園だった建物を改装したカフェで販売・提供・発信。

中国山地の山中ながら、大阪など都市部からも客が訪れるそう。

2008年、千葉県いすみ市で自家製酵母と国産小麦だけで発酵させるパンづくりから始まり、岡山県真庭市を経て、鳥取の智頭町に移り、今年で創業10周年。


長年重ねてきた経験と思いが詰まった店主の格さんの著書『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』(2013年/講談社)は文庫化され、中国や台湾、韓国でも広く読まれています。

宗像堂(沖縄県宜野湾市)

全国各地から客の訪れる沖縄の名店。実店舗の販売だけでなく、全国の百貨店にも商品を卸しています。

店主の宗像さんは、もともと微生物の研究者だったというやや異色の経歴の持ち主。

2017年からは店舗にほど近いところに「宗像発酵研究所」を開設、3時間ほどでパンづくりを体験できる「パン作り講座」も行っています。

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ベーカリー人気を受け、サブスク配送サービスも登場。
パンの冷凍EC販売で、実店舗だけではない収益源を確保できることも、地方でベーカリーが増えている一因のようです。

おいしいパン屋が地方に多い理由、サブスク配送サービスが人気に

人気のベーカリーは「美味しい」のはもちろんながら、天然酵母や国際小麦など、素材にもこだわっています。

小麦をめぐっては、「ポストハーベスト問題」と言われる、輸入の際に薬品で消毒を施すことで、残留農薬の数百倍もの影響を身体に与え、アレルギーの原因になっているという問題があります。

自分自身や子どもの安心・安全のために、天然酵母や国産小麦を使用したパンを選ぶ人も多いようですが、今後、子育て世代の移住・定住を獲得するには、まちにこだわりをもったベーカリーを有することはプラスになるはずです。

4.都農町出店はチャンス?

都農町は果樹の栽培が盛んな、くだもののまち。

季節のくだもので作るジャムは、パンとの相性はもちろんばっちり、パンと一緒に販売できる商品になりそうです。

パンの消費には地域差も。
宮崎は九州では比較的、パンの消費が多いようです。

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国の家計消費状況調査によると、お隣、鹿児島県との比較でも、パンへの消費支出額は宮崎県が上回りますが、ベーカリーの店舗数は少ないよう。見聞きする限り、都農町周辺にも、あまり話題になるお店はないようです。

わざわざ訪れてくれるお客さんを獲得する穴場として、都農町でベーカリーをつくりましょう!

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