xGで見るセルタの課題

なぜか勝ちきれない

アトレティック、ベティスと難敵相手に2連勝でようやく調子が上がってきたと思いきや、続くアトレチコ・マドリード戦では退場者が出ている相手に痛恨の失点を喫し惜敗した我らがセルタ。強敵とは言えホームで勝てそうな試合だっただけに、悔しい敗戦となりました。順位も14位に落ち降格ボーダーラインから勝ち点差は3と、一歩抜け出すチャンスを逃してしまいました。

アトレチコ戦もそうですが、今シーズンの試合を見ている中で感じたのは、勝ちゲームを勝ちきれない、僅差のゲームを落とす、などフラストレーションがたまる試合が多かったことです。

中でも、アスパス、あとはガブリ・ヴェイガくらいでしょうか、それ以外の攻撃陣のシュートがとにかく決まらない!チャンスがあっても活かせず、勝ち点を落としている印象でした。課題は決定力不足と思われます。

決定力の無さは主観に過ぎないのか

ところで、「決定力不足」とは非常に使い古された言い方ですが、本当に勝てない理由は決定力不足なのでしょうか。
往々にして自分の応援しているチームは贔屓目に見てしまい、チャンスを逃している印象が強く残ってしまうというのは否定できません。
そこで、決定力を客観的に示すことはできるのでしょうか。

ゴール期待値 xG

サッカーファンの間ではそこそこ認知されてきた用語ですが、「xG(Expected Goals)」という指標があります。
ある選手、またはチームがその試合であげる得点の期待値です。

xGの定義やモデルは算出しているページ、媒体によって異なります。
それぞれの内容については私は詳しくないですし、他の方の記事に考察しているものもあると思いますのでここでは深入りせずに割愛します。

一旦ここでは、「xGはゴール期待値を客観的に評価した指標」というコンセプトのみを前提として進めたいと思います。

コンセプト通り、xGの高いチーム・選手は得点を取る可能性が高かったことを示します。もちろんxGは高い方が良いのは間違いないです。
一方、逆に言うとxGに見合うゴール数をあげていないチーム・選手は決定力が低いということができるのではないでしょうか。

セルタのxG

以下は、第21節終了時点のラ・リーガ各チームの順位表とxGです。
上記の通りxGの算出方法等は様々ありますが、今回はunderstat.comというサイトを使用しました。

https://understat.com/ より

なお、xGA(Expected goals Against)は被ゴール期待値、xPTS(Expected Points)は勝ち点期待値です。

これを見ると、チーム別ではセルタのxGは23.47で20チーム中15位と順位相応です。チャンスを作る回数やチャンスの質で他チームを上回っているわけではなさそうです。また、実際の得点数との差も+1.47(xGの方が実際の得点よりも1.47点多い)と、xGほど取れてはいませんが大きな差はありません。よって、ゴール期待値は高いのに決定力不足で決定機を逃している、という仮説は当てはまらないことになります。逆に言うと、xGを上げていけば得点数はついてくるのではないでしょうか。

一方、xPTS(勝ち点期待値)は28.59で10位です。実際の勝ち点は23なので、5.59ポイントも落としていることになります。

ではなぜ勝ち点を落としているのかというと、失点に原因がありそうです。xGA(被ゴール期待値)は24.48点で、この数字自体はリーグ6位と比較的相手に与えるゴールチャンスは少ないことを示しています。ところが実際の被ゴール数は33点でxGAより8.52点も多く取られています。これはリーグワーストで、2番目に悪いのはアトレティックの3.57点ですから、いかに悪い数字かということがわかります。

まとめ

今回の考察では、勝ち点を落としている原因として以下のことが見えてきました。
・攻撃面ではxGに対するゴール数はそれほど少なくなく、決定力が原因ではないこと。
・得点数が少ないのはxG自体が低いためであること。
・守備面ではxGAが低いにもかかわらず多くの失点をしていること。
という状況が見えてきました。
こちらは決定機を逃し相手にワンチャンスを決められるというより、取られなくてよい失点、もったいない失点で勝ち点を落としているということが言えると思います。
特に、xPTSは上位と下位の差は実際の勝ち点ほど大きくなく、xPTSに対して勝ち点を多く稼ぐチーム=勝負強いチームというのでしょう。

今回はシーズンベースでセルタの状況を見てみましたが、各試合や選手ごとなどでみるとまた別の見え方がしてきますので、またの機会に紹介したいと思います。

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