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【GⅠ血統史】2024年フェブラリーSは5年ぶりの内国産馬・ペプチドナイルが優勝!

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日本競馬の2024年最初のGⅠ馬に輝いたのはキングカメハメハ産駒のペプチドナイル。キングカメハメハ産駒のフェブラリーS制覇は初めてだが、Kingmambo父系としては昨年のレモンポップ(父Lemon Drop Kid)に続き2年連続のフェブラリーS制覇となった。

キングカメハメハは2019年に亡くなっており、現5歳世代がラストクロップ。5歳世代には2022年秋華賞馬スタニングローズなどがいるが、本馬が最後のGⅠ馬になる可能性は低くないだろう。

母の父はサンデーサイレンス系マンハッタンカフェ。フェブラリーSでは直仔グレープブランデーが2013年に勝利を挙げている。ただ、サンデーサイレンス父系のフェブラリーS制覇は2017年ゴールドドリーム(父ゴールドアリュール)が最後で、母父サンデーサイレンス系も2018年ノンコノユメ(母父アグネスタキオン)以来の勝利。サンデーサイレンスは1990年代以降の日本の血統地図をたった一頭で塗り替えた大種牡馬だが、Royal Charger系の爆発的な瞬発力が最大の持ち味なだけにダート戦は苦戦傾向だ。

ペプチドナイルはキングカメハメハ×マンハッタンカフェという日本の主流血統で、内国産馬では2019年以来、内国産種牡馬の産駒では2017年以来のフェブラリーS制覇となった。例年とは異なる血統馬が11番人気の下馬評を覆して2024年最初のGⅠ馬に輝いた形だ。

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2着馬ガイアフォースもサンデーサイレンス持ち。特に本馬はサンデーサイレンス父系キタサンブラックの産駒で、サンデーサイレンスの3×4のインブリードも併せ持つ。ただ、本馬は母ナターレが2011年戸塚記念勝ち馬で、馬体も手先が強い芝ダート兼用タイプだ。ソダシなどを出したクロフネの血を引く血統馬らしく、今後もマルチな活躍を見せてくれるだろう。

上半期のダート中距離路線はサウジC→ドバイワールドCが一般化しつつあり、近年のフェブラリーSは少々手薄な印象。同日に行われた3歳限定戦・ヒヤシンスSも南関競馬の整備により例年ほどのメンバーが集まらず。これまでのように強豪が一堂に会すことが少なくなることには少々寂しさを感じるが、今後も各馬が自身の得意な条件を選択する流れは続きそうだ。


≪坂上 明大(Sakagami Akihiro)≫
 1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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