【種牡馬四季報】イギリス/アイルランド 2024年上半期の種牡馬リーディング
競馬オタク・坂上明大が
四半期ごとに国内外の種牡馬事情を解説していきます。
~リーディングサイアー~
2022年のリーディングサイアーで、2023年は3位だったDubawiが2024年上半期はトップにカムバック。英オークス(芝12F)のEzeliya、英2000ギニー(芝8F)とサセックスS(芝8F)のNotable Speechなどが上半期の主なGI勝ち馬。Dubawiの後継種牡馬ではNight of Thunderが15位にランクイン。今シーズンはGI勝ち馬こそまだ出ていないが、明け3歳世代が好調でGIIエッジウッドS(芝8.5F)のDynamic PricingやGIIダンテS(芝10F)のEconomicsらが活躍している。
2023年2位Dark Angelは今年も堅調さを見せ2位をキープ。日本では高松宮記念を制したマッドクールの父として知られるが、それ以外にもクイーンエリザベス2世ジュビリーS(芝6F)のKhaadem、クイーンアンS(芝8F)のCharynが今シーズン既にGIを勝っており、スプリント~マイル路線で強い存在感を示している。Dark Angel同様Acclamationを父に持つMehmasは2014年生まれの若い種牡馬ながら今年の上半期14位にランクインしているように将来有望で、Dark AngelとMehmasの二頭には母の父がMachiavellianという共通点がある点が興味深い。
昨年7位のKingmanは順位を大きく上げて3位に躍進。3歳世代が好調で英1000ギニー(芝8F)のElmalkaと仏オークス(芝2100m)のSparkling Plentyといった若い牝馬の活躍が目立つ。
Kingmanと同じGreen Desert父系で、Galileoの弟でもあるSea the Starsは4位。英愛では今シーズンGI勝ち馬はまだ出ていないが、グッドウッドC(芝16F)2着やゴールドC(芝19F210y)3着のSweet WilliamがGI戦線で好走している。
2023年17位Camelotは順位が大幅に上昇して5位にランクイン。プリティポリーS(芝10F)の勝ち馬でキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(芝11F211y)2着のBluestockingを筆頭に愛ダービー(芝12F)のLos Angeles、コロネーションC(芝12F6y)のLuxembourgとGIでの活躍が目立つ上半期だった。Camelotは父がMontjeuだから上半期リーディングTOP20にランクインしているSadler's Wells系種牡馬の中では唯一Galileoを経由しておらず、非Galileo系のSadler's Wells系種牡馬として奮闘ぶりが目立っている。
当のGalileoは1998年生まれ、2021年に死亡していることから現役の産駒は晩年の生産馬ということになるが、それでも上半期6位にランクイン。昨シーズン5位から順位を一つ落とす形にはなったがアスコットゴールドC(芝20F)をKypriosが制している。後継種牡馬ではFrankelが9位、Gleneaglesが11位、Churchillが16位にランクインしており、3代父にGalileoの血を持つHavana Greyも13位に名を連ねている。
父系別では上位20頭中17頭がNorthern Dancer系、3頭がMr.Prospector系という偏りを見せている。Northern Dancer系の内訳はGalileo系が5頭、Storm Cat系が5頭、デインヒル系が2頭、Green Desert系が2頭、トライマイベスト系が2頭、Sadler's Wells系のMontjeuを経由するラインが1頭。Mr. Prospector系は2頭がDubawi系で、残る1頭がGone West系だ。
~リーディングブルードメアサイアー~
2020~2023年と4年続けてリーディングブルードメアサイアーの座に輝いたGalileoが今年の上半期もトップを堅持。2位Dansiliの1.5倍以上の賞金を稼いでおり、当面この部門はGalileoの一強状態が続くだろう。母の父Galileoで今シーズン上半期に活躍した馬の筆頭は英ダービー(芝12F6y)とエクリプスS(芝9F209y)の勝ち馬City of Troyだろう。City of Troyの父はダート競馬が主流のアメリカクラシック三冠馬Justifyで、Galileoの血のサポートがあってこその英ダービー制覇といえる。
2023年のリーディングブルードメアサイアーランキング3位だったDansiliは現在同部門で2位。日本では種牡馬ハービンジャーの父として知られ、短距離~マイル向きのスピードタイプの種牡馬が多いDanzig系種牡馬の中では異端の切れ味が持ち味の種牡馬。今年上半期の活躍馬では愛ダービー(芝12F)のLos Angeles、愛プリティポリーS(芝10F)のBluestockingらが母の父にDansiliの血を持っているが、この2頭には父がCamelotという共通点がある。
3位は昨年この部門で7位だったShamardal。今年のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(芝11F211y)の勝ち馬でドイツ産馬のGoliathがShamardalの血を母の父に持ち、ドバイターフ(芝1800m)のFacteur Chevalやパリ大賞(芝2400m)のSosieなど世界各地でShamardalの血を引く馬が大レースを制している。