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救急外来における薬剤性意識障害
意識障害の原因に薬剤があります。
若年の方のみならず高齢な方でも薬剤が原因の意識障害を呈することがあります。
睡眠薬の過量内服や特殊な中毒以外にも普段内服するような薬剤でも意識障害となることがあるので注意が必要です。
原因薬剤が判明している場合
救急外来では搬送時点で救急隊の方の情報収集によって原因薬剤が判明している可能性があります。
原因薬剤が判明している場合に重要なことは今後意識障害の程度が増悪するのか改善するのか予測することです。なぜなら今後の症状の経過が予測できれば入院が必要だった場合の対応が想定できるからです。
今後意識障害の増悪が想定される場合、仮に現在は気道閉塞がないとしても今後舌根沈下が出現し気道確保が必要となる可能性を考慮した対応や入院診療科の検討をする必要があるからです。
意識障害の原因薬物が判明している場合は、内服薬の量、内服した時刻、原因薬物の血中最高濃度到達時間、半減期を確認しましょう。
これらの情報があれば、救急外来での意識状態から入院後の意識状態が悪化するの改善するの予測することができます。
原因薬剤が判明していない場合
原因薬剤が判明していない場合、まずは、原因薬剤の推定が大事です。
身体所見から原因薬剤を想定するにはtoxidromeを確認します。重要なのはバイタルと瞳孔、腸蠕動、尿閉です。
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交感神経を賦活する薬剤はカフェインやコカインなどです。
交感神経を賦活するのでバイタルは頻脈で意識状態は興奮です。その他の身体所見としては散瞳しており、腸蠕動音は低下しています。
普段内服する薬剤で意識障害となる薬剤
明らかな過量内服の病歴がなくても普段内服している薬剤が意識障害の原因となることがあります。
普段便秘気味→酸化マグネシウム
双極性障害→リチウム
気管支喘息→テオフィリン
骨粗鬆症、慢性腎機能低下→ビタミンD製剤
ベンゾジアゼピン系の薬に対してフルマゼニルを使用するか
ベンゾジアゼピン系の薬剤では意識障害や呼吸抑制がかかります。拮抗薬にフルマゼニルがあるが、ベンゾジアゼピン系の薬剤を定期処方されており長期内服が予想される場合は離脱症状が出現することがあります。
また、三環系抗うつ薬などの痙攣誘発性のある薬剤を同時に内服している患者では痙攣を誘発してしまう可能性があります。
処置時に一時的に使用して過鎮静となった場合は使用が有効です。