![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/128803396/rectangle_large_type_2_d2a72e58a6849db44ac74526eb383572.png?width=1200)
呼吸生理と人工呼吸
今回は人工呼吸器の設定に関して勉強したのでまとめていきます。
正常な呼吸生理
人工呼吸を設定するにあたり、正常な呼吸を知っていることが重要です。実は人工呼吸器を使用している患者さんは必ずしも肺が悪い訳ではないからです。例えば手術中の患者さんは鎮静薬や筋弛緩薬によって呼吸の運動が止まっています。しかし、肺の機能は健常な方と変わらないので正常な呼吸のリズムを再現してあげれば良いのです。
吸気は1秒、呼気は2〜3秒
吸気、呼気、休止期を合わせると呼吸は1回5秒
呼吸数は1分間に12回から15回
一回換気量の目安は体重✖️10ml
このあたりを覚えておきましょう。
呼吸不全の種類
呼吸不全の原因にはいくつかの病態があります。適切な治療や介入のためには適切に鑑別を挙げていく必要があります。
換気血流ミスマッチ
肺胞では細胞に酸素を届けるために換気を行なっています。また、全身に動脈血を届けるために血流があります。
換気が行えている肺胞に血流があれば血液は酸素化されますが、換気が行えていない肺胞にいくら血流があっても血液は酸素化されません。
例えば肺炎は炎症が原因で肺胞の中が滲出液で水浸しになるため換気ができません。そのため水浸しの肺胞に血流が流れても酸素化されないので呼吸不全をきたす訳です。
シャント
シャントも前述した換気血流ミスマッチと理屈は同じです。
ただし、教科書によっては解剖学的なシャント、例えば心室中隔欠損症や肺動静脈瘻は狭義のシャントとして扱っています。
拡散障害
肺胞内の気体と肺胞の間を流れる毛細血管の間で酸素や二酸化炭素をやり取りするのが呼吸の肝です。この気体の移動は拡散という現象で起こっています。つまり、分圧が高い方から低い方へ気体分子が移動する訳です。そのため肺胞の壁は0.2μmと非常に薄くなっています。ただし、肺胞壁が厚くなる病態、例えば間質性肺炎があった場合は拡散障害によって酸素化が低下します。
拡散障害による呼吸不全の特徴は労作時の呼吸困難です。拡散障害では酸素が肺胞から血液に移動するまでに時間がかかるだけなので、労作時の血流が早い時に酸素化低下を来しやすいのが特徴です。
肺胞低換気
肺胞低換気はそもそも肺胞まで酸素が届いていない病態です。つまり、血流や拡散には問題がなく肺以外の問題であることが多いです。
その他の呼吸不全とは異なり高二酸化炭素血症となるのが特徴です。