野球肘検診
昨日少年野球の野球肘検診のお手伝いに参加してきました。スポーツドクター を目指す身としては、実際のスポーツドクター の活動げできるのは嬉しい限りでした!
4年生から6年生までの肘の診察とエコーを行ったのですが、4年生と5年生は受け答えがまだまだ幼い印象でした。しかし、6年生になると一気に受け答えがしっかりして、子供の成長を感じました。子供と関わるのも良い経験でした。
野球肘(離断性骨軟骨炎と正式には呼びます)に関してまとめました。
野球肘検診 概要と目的
子どもたちが夢中になっている野球。楽しさと同時に、体への負担も伴うスポーツです。特に、投球を多く行う少年野球選手には「野球肘」と呼ばれる肘の障害が見られることがあります。この野球肘は医学的には「離断性骨軟骨炎」と呼ばれ、肘にかかる過度な負荷によって発生します。
野球肘とは?
野球肘は、肘の靭帯や軟骨が傷つくことがあり、これが進行すると選手生命に影響を与えることもあります。
検診の目的
早期発見: 野球肘は初期の段階であれば治療が比較的容易です。定期的な検診により、痛みが出る前に問題を特定し、適切な対策を講じることができます。
教育と啓発: 検診は、選手や保護者に対して、肘の健康に関する重要な情報を提供します。投球数の管理や休息の重要性を理解することで、怪我を予防する意識が高まります。
まとめ
野球肘検診は、子どもたちの健康を守り、安心して野球を楽しむための重要なステップです。定期的なチェックを受けることで、選手たちが怪我なく成長し、夢を追い続けられるようサポートしていきましょう。
野球肘 (baseball elbow) とは
患者は10歳から16歳の野球少年に多い。ピッチャーやキャッチャーなど投球回数が多いポジションによくみられます。小学生野球選手の2%に見られます。
症状は投球時や投球後の疼痛が主体で、投球を中止すると軽快します。疼痛が出現する部位によって分類がなされており、内側型・外側型・後方型があります。内側型と後方型は予後良好ですが、外側型は進行すると予後不良です。そのため、今回は外側型に関してまとめます。
外側型野球肘(上腕骨離断性骨軟骨炎: Osteochondritis dissecans)
投球動作時の腕橈関節への反復外力が誘引となり、上腕骨小頭が好発部位です。
検査
レントゲン:肘関節45°屈曲位正面でのtangential viewで病巣が描出されやすい
エコー:小頭関節軟骨や軟骨下骨の不整を捉える。低侵襲であり、エコー機械の小型化により検診などのスクリーニングに有効
離断性骨軟骨炎の病期分類(三浪の分類)
Ⅰ型:透亮期、投球禁止・局所安静で軟骨や軟骨下骨が修復される可能性が高い。投球禁止や局所安静の期間は6ヶ月程度が目安
Ⅱ型:分離期もⅠ型と同じような治療計画
Ⅲ型:遊離期は遊離骨片が出現し、観血的治療を要する
野球肘検診でのエコー
描出部位は内側側副靭帯(MCL)と離断性骨軟骨炎の好発部位である上腕骨小頭
MCL
上腕骨小頭(肘屈曲)の長軸と短軸
上腕骨小頭(肘伸展)の長軸と短軸