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センサー万別-1-(光センサ前編)
光センサとは
光センサ(light sensor/optical sensor)は
"光を検出して電気信号に変換するデバイスの総称"
とありますが,光を検出するだけでなく,光のエネルギの大きさに応じてディテクトすることができます.ここでの”光”というのは,なにも可視光だけでなく電磁波一般をさします.
光センサの強みは検体を非接触で検出できることなど.
複雑なメカニカルな構造がいらないので手頃に便利に使えるセンサだと思います.
センサの分類
光電子増倍管 (本記事)
光導電セル (本記事)
フォトダイオード(後編にて)
これらの光センサの仕組みを記していきます.
光電子増倍管
光電子増倍管(PMT: Photomultiplier Tube)は外部光電効果を利用したセンサだ.
光電子増倍管といえばやはり”カミオカンデ”.
![筆者が岐阜で見つけたカミオカンデ光電子増倍管の(多分)レプリカ](https://assets.st-note.com/img/1735665436-PgJSpyKLV7HoUqs2Wwk04b9O.png?width=1200)
ちなみにカミオカンデの光電子増倍管は,チェレンコフ光を検出して間接的にニュートリノを検出するために使われてきた.チェレンコフ光のように微弱な光でも検出できるのが光電子増倍管の特徴です.
光電子増倍管の原理
![光電子増倍管の概略図](https://assets.st-note.com/img/1735666454-pnV4Q5AEGtIHy7rwmRSZsBg8.png?width=1200)
https://www.hamamatsu.com/jp/ja/product/optical-sensors/pmt/about_pmts.html
入射光による光電効果で放出された光電子がダイノード(ステンレスetc)に衝突し,二次電子が放出される.電子倍増部で繰り返されることで,最終ダイノードにて,初めの光電子よりも多くの電子を信号として検出することができる.よって入射光が微弱でも検出できるのだ.
振幅が増える(増幅)わけではなく粒の数が増えている(増倍)んですね.
光導電セル
光導電セルとは
光導電効果を利用した光センサ
光電効果ではなくて光導電効果です.ややこしい.
光導電効果(photo-conductive effect)とは
ざっくりいうと,光があたると半導体の抵抗値が下がる.
なかなかややこしい話なので(本人もそんなに理解してない),ざっくり説明します.
そもそも導体(金属)や半導体の電子のエネルギはこんな感じ.
![金属、および半導体・絶縁体のエネルギバンドの図](https://assets.st-note.com/img/1735669336-QDfuNt74omkdzV8PC9SjvURZ.png)
乱暴にいえば,伝導帯にある電子は回路を流れる.価電子帯にある電子は,原子側の電子(最外殻電子).禁制帯はその隙間(Band Gap).
金属に電流が流れるのは伝導帯と価電子帯が隣接していて,最外殻電子が自由電子として回路を流れるからと考えれば納得?
半導体はバンドギャップが小さいので,価電子帯にいる電子を元気づければ,伝導帯にあげられる(励起). "伝導帯にきた電子は回路を流れる”,というか,"伝導帯にきた電子は電位差(電圧)さえ与えればフローするので電流が流れる”
半導体の価電子帯にいる電子をどれくらい元気づければよいかというと,
バンドギャップ分のエネルギ $${E_g}$$ を超えるエネルギを持つ周波数( $${\nu>E_g /h }$$ )の光を照射すれよい.
CdS光導電セル
![自室に転がってたCdS光導電セルの写真](https://assets.st-note.com/img/1735671485-WLavXn0b8eYAOGTugJM5wChl.png?width=1200)
CdSセルは、分光感度が人間の視感度特性に近いことや、比較的大きな電流を流すことができること、さらには値段が低価格でもあるというメリットもあり、意外と多く使用されています
しかし,EUでは一部の例外を除いてカドミウムを使った電子部品は禁止されています(RoHS).
"The RoHS Directive currently restricts the use of ten substances: lead, cadmium, mercury, hexavalent chromium, polybrominated biphenyls (PBB) and polybrominated diphenyl ethers (PBDE), bis(2-ethylhexyl) phthalate (DEHP), butyl benzyl phthalate (BBP), dibutyl phthalate (DBP) and diisobutyl phthalate (DIBP)."
なので,その代用として,フォトダイオードが裾野を広げているとか…
フォトダイオード(後編にて)
後編へ続く...