若者に洋楽を伝える最良のツールはTikTok?
現在の音楽チャートを語る上で、"動画発のヒット"は欠かせない要素です。コロナ禍でCDリリースが相次いで延期となったこと、自粛期間にスマートフォンに触れる機会が増えYouTube等の視聴時間が増えたことが、シングルCD未発売、また直近のリリースではない曲のヒットに結びついたと言えます。
そんな中、TikTokの影響力も大きく、歌ってみた動画だったり普段の生活やカップルの仲睦まじい姿等のBGMに用いられたことでバズが生まれ、ミュージックビデオやサブスク再生に波及する動きが新しいヒットの形として確立されています。YOASOBI「夜に駆ける」や瑛人「香水」はまさにその形ですね。
そのTikTokが、Spotifyに公式のプレイリストを用意しました。
毎週金曜更新されるトップ30、7月3日更新分を見て驚いたのは、リル・モジー「Blueberry Faygo」が13位に入っていること。アメリカでは7月4日付ビルボードソングスチャートで初めてトップ10入りを果たした曲なのです。
ヒップホップのプラットフォーム、リリカル・レモネードのコール・ベネットが手掛けたミュージックビデオ(サムネイルのジュースのパッケージがその印)も話題ですが、日本ではラジオよりまずTikTokで人気になっていることに驚きます。しかも10位には現在米で通算3週首位の座に就いているダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」もランクイン。
海外に比べヒップホップのチャート占有率が低い日本で、TikTokでバズを起こしているというのは凄いことではないでしょうか。
しかも先述した「Blueberry Faygo」、今から30年前にリリースされたR&Bクラシック、ジョニー・ギル「My, My, My」をサンプリングしているのですから、R&B好きの身にはたまりません。
これらの曲がなぜ日本のTikTokで流行っているのかは解りかねますし、曲の文脈やリリックの意味を知らずに使っているのかもしれませんが、しかしこれは嬉しい兆候。日本において洋楽のヒットは少ないことから、こういう火の付き方はまさに今なんだなと思うのです。ここから新旧の洋楽を掘っていく方が増えることを願ってやみません。