【山下達郎のサブスク解禁を願う理由】…11月2日付イマオトについて
このエントリーでも言及したのですが、竹内まりやさんの夫である山下達郎さんの「クリスマス・イブ」は、一部サービス限定ながらサブスク解禁されています。山下達郎さんはサブスクを解禁しないと以前のインタビューで宣言しており、定番クリスマス曲の解禁は矛盾と言われておかしくないでしょう。
その山下さんによる「言えなかった言葉を」(アルバム『SPACY』(1977)収録)が、米のラッパー、コータ・ザ・フレンドがスタティック・セレクターおよびロジックをフィーチャーした「Blah」にてサンプリングされています。さらに、Spotifyによる世界の最新曲を網羅したプレイリスト【New Music Friday】11月1日更新回でも、「Blah」は73曲目にリストインしています。
サンプリングが権利関係をクリアしていなかったならば問題ですが、実は山下達郎さんの作品はプロデュースした曲を含め、多数サンプリングされていることがWhoSampledのデータベース(→こちら)で確認できます。となると、山下さんはサンプリングを許容しているというスタンスだと捉えていいのかもしれません。
ならば、海外でフィジカルリリースしていないならば尚の事、山下達郎さんが海外で満足に聴くことのできない状態は世界の音楽ファンに対し損失だと考えます。仮に山下さんが海外の音楽ファンを意識していないとしても、それこそ最新アルバムをリリースしたばかりのタイラー・ザ・クリエイターをはじめとする海外の歌手には山下さんさんのファンが多数いるはずです。
そして海外歌手による引用を機に海外の音楽ファンが山下達郎さんの音源を探したくとも、デジタル環境が不十分ゆえフィジカルを掘り当てる(Dig)以外の方法がほぼありません。このことが、たとえばシティポップムーブメントがより大きく拡がらなかった、もっといえば、大げさかもしれませんが日本の音楽が海外から信頼を得にくい理由でもあるのではと感じています。
歌手の意向は勿論大事ですが、日本の音楽業界はベテランや老舗芸能事務所の対応について違和感があるならば、問題提起と提案を積極的に、逃げることなく真正面から行う必要があるはずです(それが行われていたとして可視化されていなかったことも問題でしょう)。総出で解決すべきと以前から記しているのは、この考えが背景にあります。
日本で四半世紀以上活躍し、日本音楽界の至宝ともいえる方の作品が、日本のみならず世界で、フィジカルのみならずデジタルで、十分に享受できる状況になることを願っています。
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