ぼくとミミちゃん
ぼくとミミちゃん
ミミちゃんが、うちにやってきました。
ミミちゃんは、ちいさくて、とってもかわいい、めすのこねこ。
いつも、ミーミーないてる。
ミミちゃん、だいすき。
だって、ミミちゃん、ぜったいつめ、ださないんだもん。
ぼくがふざけて、あさ、かけぶとんのカバーのなかに、ミミちゃんいれても、ミーミー、かわいくないているだけ。
ぜったい、つめ、ださないんだから。
いつも、ぼくとミミちゃん、とってもなかよし。
あるひ、ぼくと、おかあさんと、ミミちゃんとで、ぼくのいえのまえの、どうろで、あそんでいました。
ミミちゃんは、どうろのはしっこで、おとなしく、うずくまって、ミーミー、ないていました。
そこへ、バイクが、おとをたててやってきました。
そして、ミミちゃんのしっぽをひいていきました。
ぼくは、
「ミミちゃんがしんじゃう!」
とさけび、ミミちゃんにだきつきました。
ミミちゃんは、ぜったいつめをださなかったミミちゃんは、ぼくのセーターにつめをたて、あのかわいいミミちゃんが、ものすごいかおつきで、すさまじいこえをあげ、ぼくのセーターに、けいれんしながらひっしにしがみつきます。
おかあさんがおおごえで、
「すぐにミミをはなしなさい!」
とさけびました。
ぼくは、いそいでミミちゃんをはなしました。
しばらく、ぼくとおかあさんは、いえのなかで、ミミちゃんのこえをきいていました。
やがて、それはやみました。
おかあさんは、ミミちゃんを、ちいさなはこのなかにいれ、おおきくひらかれたミミちゃんのめに、そっとてをあてました。
やがて、バイクにのってたおとこのひとが、あやまりにやってきました。
おかあさんは、ミミちゃんをやさしくなで、なきながら、
「わざとやったわけでは、ないのですもの。」
と、おとこのひとに、いいました。
それから、ぼくはまいにち、おとこのひとがもってきた、かつおぶしを、ミミちゃんがひかれた、どうろのすみに、まいてあげました。
「ミミちゃん、おいしい?」
といいながら。
これは、ぼくがさんさいだった、ふゆのときのおはなしです。
ぼくは、いっしょう、ミミちゃんのことをわすれません。
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