麻雀店でチヤホヤされるために先輩巨乳女を丸裸にして撃破した話⑥
バイトの子に数名に誘われて、麻雀大会への参加することになりました。
他の麻雀店舗で開催している大会で、総勢36名参加。
なかなかの規模です。成績上位には賞金も出るそうです。
こちらは、わたしと男性バイト3名で参戦することになりました。
そしてなぜか、ピンクちゃんも応援と称してついてきていました。
普段は気を使って、麻雀が出来ないピンクちゃんの前では麻雀話を控えるメンバーですが、大会参加への興奮からか、開始までの時間は専ら麻雀についての会話でした。
おのずとピンクちゃんを除いて盛り上がる形となってしまいます。
珍しく彼女が、つまらなそうな表情を覗かせていた。そのように感じたのは、気のせいではないでしょう。
――――そんなに男からチヤホヤされたい?
ピンクちゃんに、その言葉を吐かれてから、まだあまり日は経っておりません。
あれから特になにかが起きたりは、ありませんでした。
ただピンクちゃんがわたしに話しかけてくる頻度は、少しだけ減ったような気がします。
うそです。全く話しかけてくれなくなってました。
つまり、無視です。
昔のお父さんや、あの女の人がわたしにしたように、無視をするってだけです。
それは大会当日も例外ではありません。
わたしが勇気を出して、会話の輪に入れないピンクちゃんに麻雀以外の話を振ってみても、
「…………」
と、顔を背けて押し黙ったままでした。
別に良いんですけどね。慣れてますし。
慣れてるけど、いろいろ思い出すから良くないんですけどね。
大会は36名を予選の9卓に分けて、それぞれで東南戦を行います。
50分打ち切りを3試合行い、全卓での総合得点上位4名で新たに卓を立てて決勝戦を行うようです。
観戦者や大会参加者でも早くに試合が終わった人は自由に後見が可能で、試合中の人もサイドテーブルに携帯電話を置いていたりなど、賞金が出る割にはいろいろとフリーダム感がいなめないものでした。
まあ麻雀店で運営している大会なんて、こんなものでしょう。
わたしたちはみんな、予選卓は別々でした。
ピンクちゃんは麻雀わからないながらも、チョロチョロとした感じで、みんなのまわりを回っています。
そして「頑張ってー」とか「負けるなー」とか。
そんな声援を送っていました。
わたし以外にですけれど。
今さらって感じですけが、確信です。
彼女は、最近みんなと打ち解けてきたわたしが気に入らないのでしょう。
そういえば、お父さんがわたしに麻雀の話をしてくれ始めたときの、あの人もそうでした。
はじめは地味で無害そうだったから優しくしてたけど、自分の地位を脅かすかもしれないとなった途端に、これです。
もともとそういった気質があることは気づいていましたが、あからさまに冷たくする態度には傷つきました。
どうせ裏でみんなに、わたしのあることないことを言うに決まってます。「まわりに色目使ってる」とか「〇〇くんの悪口言ってたよー」とか
『媚売ってるなよ』とか『あんたさえいなければ』とか『邪魔』とか。
荷物を隠されたり、仕事の連携をしてくれなかったり、女特有の陰湿なイジメをされたら、どうしましょう。
掃除や洗濯を押し付けて、うまく出来なかったら怒鳴りつけるのです。外傷が目立つ顔以外の部分をつねったり叩いたり。ご飯を抜いたりして。
だから女なんて嫌いなんです。いえ、これ全部ただのわたしの被害妄想なんですけどね。
だからわたしは、あの人が嫌いでした。血の繋がりなんて、なんの関係もないんだなって思わせる、あの人が。
ただピンクちゃんには、これから今まで以上に警戒しなくちゃなって思います。
あの人がわたしを無視し続けるから、わたしは居場所を求めてお父さんに媚を売るしかなかったんじゃないか。あの人はよく、わたしに生まれてこなければ良かったというが、それはわたしも同じだ。わたしもあなたのもとに生まれなかったらもう少し、まともな人生を送れただろう。
ピンクちゃんが今の男にチヤホヤされている環境が気に入ってると分かった以上、わたしは全力でその立場を奪いにいかなくては――――
立場の弱かったわたしにした散々な行いは絶対に忘れない。もう決して、あのころのような痛みは味わない。そのためにわたしはこの弱い立場を払拭するんだ。周りを男で固め、手出しできないところまで行く。そう決めた。だからわたしはあの家を出たんだ。唯一の男ウケする麻雀という利点を活かして、頑張るんだ。男にチヤホヤされるように、頑張るんだ。もうひとりぼっちは嫌だから。わたしには、それしか、自分の身を守る方法を知らないから。
――――そう思いました。
わたしの予選卓での成績は、3着―1着―1着。
なんと総合4位で決勝卓進出です!!
いっしょに参加した男性メンバーは全員予選落ちのようでした。
「おめでとう」「決勝も頑張れよ」みたいなことを言ってもらえるのかなと思っていたのですが、そんな言葉はありませんでした。
みんな、わたしに一瞥もなく、ピンクちゃんのもとへ集まります。
そして「おれ、頑張ったんだけどさ……」みたいなことを、口ぐちに言っていました。無念そうな、それでもやりきったみたいな表情を浮かべながら。
そんな彼らを励ますピンクちゃん。
「〇〇くん、惜しかったね」
「負けっちゃったけど、でも、格好良かったよ」
店内に、ひときわ高い声が響いていました。
なんか、あーいうのを見ると邪推してしまいます。
この大会にわたしを誘ってくれたのも、ただ単に女の子をメンバーに入れて、ピンクちゃんを誘いやすくしたかっただけなのだろうなって。
結局みんな彼女に格好良いところを見せたかっただけで、わたしのことなんかどうでもいいんだろうなって。
わたしとピンクちゃんの違いってなに?
わたしもあんなふうに、お姫様扱いされたいよ。
決勝戦は1回勝負。
佳境とも言える南場を迎えたときの、わたしは2着目でした。
トップ目の方に、ダメ押しのドラポンが入ります。
そのとき――――あのアカウントからの通知音が鳴りました。