【展覧会】『大本山 相国寺と金閣・銀閣の名宝』
大分県立美術館(OPAM)にて開催中の『大本山 相国寺と金閣・銀閣の名宝』展を観に行きました。
プロフィール記事でも少し触れていますが…
大学時代、日本文化史学を専攻していて、週末になると寺社や美術館に通っていたくらい日本美術が好きだった私。
ですが、今ではそんな機会も少なくなり、今回8年ぶりくらいに一人で美術館を訪れました。
(最近は、美術館に行っても家族で楽しめる企画ばかり観ていました。)
臨済宗相国寺派の大本山であり、京都五山の一つである相国寺。
私の母校・同志社大学の隣にあり、在学中に何度か訪れました。
相国寺とその塔頭である鹿苑寺(金閣)や慈照寺(銀閣)、大光明寺の所属品が展示された本展覧会。
相国寺は画家・伊藤若冲と縁が深いため、今回若冲の作品を観ることができるのでは、と楽しみにしていました。
伊藤若冲との出会い
展覧会の話の前に、私と伊藤若冲との出会いについて書きたいと思います。
日本文化史学を専攻していた大学時代は、浮世絵、特に歌川国芳が好きでした。
辻惟雄先生の『奇想の系譜』を読んだことをきっかけに、伊藤若冲や長沢芦雪、曽我蕭白など江戸時代の奇想の画家の作品にも興味を持つように。
そして、ある展覧会で目にした若冲の『鳥獣花木図屏風』。
この屏風を前にすると、
視界が真っ白になり、
他のものが何も見えず聞こえず、
世界が私とこの屏風だけになったような、
そんな感覚になり…。
しばらくの間、屏風の前から動くことができなかったくらい引き込まれました。
それから、若冲の生い立ちや生き様も含め、彼の作品が好きになりました。
本展覧会での若冲作品
若冲と縁の深い相国寺には、かつて『動植綵絵(どうしょくさいえ)』が所蔵されていました。
今回観られるかな?とちょっと期待しましたが、現在は宮内庁管理とのことで展示はされておらず。
本展覧会で一際目を引いたのは、
『群鶏蔬菜図押絵貼屏風(ぐんけいそさいずおしえばりびょうぶ)』。
独立した12枚の絵から成る六曲一双の屏風。
鶏と蔬菜(=野菜)というのは、青物問屋生まれで鶏好きの若冲らしいテーマだなぁ、と。
鶏と野菜を描いたシンプルな絵なんだけど、そのどれもが構図がおしゃれ!
「そんなアングルから描く!?」ってくらい鶏のポースがユニークなものばかりで面白い。
若冲作品といえば、鮮やかな色彩が印象的ですが、この屏風は水墨画。黒い墨の濃淡で描かれています。
注目したいのが筋目描きという技法。
滲んだ墨同士が交わることなく、墨と墨の間白い線が残る。それを利用することによって、鶏の羽一枚一枚や胸の羽毛の質感を見事に表現しています。
鮮やかな色彩、大胆な構図、ユニークな画題…。
若冲作品といえば、そういった奇抜な印象を抱きがち。
ですが、『鳥獣花木図屏風』に見られる升目描きや水墨画に見られる筋目描きなど、緻密で繊細な技法こそが若冲作品の真髄といえるかもしれません。
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久しぶりの美術館で素晴らしい作品と出会い、充実したひとり時間を過ごすことができました。
今週末から『ポケモン化石博物館』展がはじまるので、次は親子で美術館を楽しんできます♪
最後までお読みいただき、ありがとうございました。