【展覧会】『生誕270年 長沢芦雪-若冲、応挙につづく天才画家-』
九州国立博物館で開催中の展覧会
『生誕270年 長沢芦雪-若冲、応挙につづく天才画家-』を観に行きました。
一昨年の相国寺展の記事でも触れていますが、
大学時代、日本文化史学を専攻していて、浮世絵(特に歌川国芳)が好きだった私。
辻惟雄先生の『奇想の系譜』を読んで、伊藤若冲や長沢芦雪、曽我蕭白などいろんな画家に興味を持つようになりました。
そんな私の趣味を理解してくれている夫が、「みんなで観に行こう」と福岡まで車を走らせてくれました。
九州国立博物館『長沢芦雪』展
長沢芦雪と『奇想の系譜』
前日に『奇想の系譜』の芦雪の章を読み直しました。
芦雪の紹介とともに、印象深いエピソードを。
長沢芦雪(ながさわ ろせつ)
宝暦4年(1754年)~寛政11年6月8日(1799年7月10日)
江戸時代の絵師。円山応挙の弟子。
芦雪、悪ガキすぎる…!
傍若無人な性格で(その性格ゆえに毒殺された説まである)3回も破門されているのに、それでも応挙が手放さなかったのは、やはり才能がすぐれていたんだろうなぁ…。
展覧会にて
九州国立博物館へ。
何度来ても、近代的なデザインの建物に圧倒されます。
建物に入るやいなや、知り合いのママさん一家に会いました。(お子さんは息子より1歳上)
地元じゃない所で、しかも美術館で会うなんてびっくり!
いきなり話が逸れたので閑話休題。
展覧会・前期の見所はやはり『虎図』!
前に奈良県立美術館で見て以来、10数年ぶりにお目にかかります。
襖6枚に渡ってダイナミックに描かれた虎。
ですが、その顔は虎というより猫のようで…。
実は、この襖絵の裏面には水辺で魚を狙う子猫が描かれています。
つまり、表の虎図は「魚から見た猫の姿(魚から見れば子猫も虎のように見える)」というわけ。
芦雪のユーモアが効いた傑作です。
今回は展示されていませんでしたが、私が好きなのは『白象黒牛図屏風』。
大胆な構図と、白黒・大小の対比が素晴らしい。
そして、黒牛の前にちょこんと座る白い犬が可愛い~♡
話が脱線しまくっていますが、もう一つ芦雪のエピソードを。
芦雪の作品に押されている落款(書や絵画に押す印鑑)。
なぜ「魚」の印なのかというと、
ということがあったからだそうです。
奔放な性格でありながら、応挙の作風を完璧に身につける確かな画力に加え、奇抜な発想を持つ芦雪。
人柄も才能もまさに「奇想の画家」だったんだと、展覧会を通して改めて感じました。
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夫と息子は様子はというと、夫は建物の撮影を楽しんでいましたが、息子は明らかに退屈していました。
私は幼少期、よく地元の美術館に連れて行ってもらっていました。(母の知り合いが勤めていて観覧券をいただいていたため)
当時は絵を見ても興味を惹かれず、退屈に思うこともありました。
ですが、家族で美術館に行った思い出や、展覧会で見た作品は、大人になった今でも覚えています。
今回は博物館でしたが、前の週はサッカーJリーグの試合を観に行きました。
いろんな所に行って、いろんなものを見て、いろんな経験をして、いろんな気持ちを味わって…。
そのひとつひとつが、息子の心を豊かにしてくれるといいなと思います。
太宰府天満宮
博物館から、動く歩道とエスカレーターで移動して太宰府天満宮へ。
本殿改修中のため、仮殿を拝観しました。
菅原道真公を慕う梅の木が大宰府まで飛んできた飛梅伝説から着想を得て、鎮守の杜の豊かな自然を再現するというコンセプトだそうです。
息子と太宰府遊園地で遊んでいると、もう夕暮れ。
参道の方もゆっくり散策したかったな。
大好きな芦雪の作品に触れられて、家族の時間を過ごせて、心が満たされた一日でした。