【10】最終話~環菜が教えてくれたこと~
いよいよ最終話となります。
もう少しお付き合いくださいませ。
【9】はこちらからお読みいただけます☆⇊
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環菜は本当に強い子です。
出血しても
破水しても
臍の緒がでてしまっても、
最後の最後まで
元気な姿を見せてくれました。
「私は元気だよ!ママ大丈夫だよ!」
と応援してくれているようでした。
けれども
亡くなってしまった。
死産してから
2か月くらいたった頃でしょうか。
仕事は始められる状況ではなかったので、
1人で過ごす時間が多く、
よく図書館に行っていました。
グリーフケアの本を読んだり、
大切な人を亡くした人は
どうやって乗り越えていったのか、
知ること、考えることに
時間を費やしていました。
そして、
悲しみのどん底にいた私は、
とにかく紙に自分の感情を書きだしました。
この出来事は、
環菜が教えてくれたことは何か、
考えました。
環菜に教えてもらったこと、
それは
「ママは十分幸せなんだよ」ってこと。
当時、認知症である義理の父と同居し、
介護をしていました。
不妊治療をしてもなかなか妊娠できず、
やっとできたと思ったら流産。
周りと自分を比べて、
なんで私は介護をしてるんだろう。
赤ちゃんが産めないんだろうって
どんどん暗い気持ちになっていました。
環菜を妊娠してからも
自分が赤ちゃんを育てている姿が
想像できなかったんです。
この私の状態で
同居介護しながら
育児ってどうやってやるの?という思考が
頭の片隅にずっとありました。
当時の家で赤ちゃんと生活している姿が
見えてこなかったのです。
環菜は、
そんな私でも十分幸せがあることを
気づかせてくれました。
【大好きな人と結婚できて一緒にいれること。】
私は、夫のことが大好きで、
こんなにも好きな人と
結婚できたことは
本当に幸せなことだと思います。
『ママ。辛いことばかりじゃないよ?
大好きな人と一緒にいるよ?
それってすごいことだよ。
大丈夫大丈夫。』
と、環菜が言ってくれているような
気がしました。
そして
【住む家がある。
ずっと飼いたかった犬がいる。
ご飯が食べられる。
働ける場所がある。
不妊治療ができる環境がある。
大変なとき助けてくれる家族がいる。】
という当たり前すぎて気づかなかった
身近な感謝すべきことにも
気づくことができました。
それって実はすごくありがたいことだよね。
当たり前じゃないんだよね。
恵まれてるよね。
それから
『もっと自分を優先してもいいんだよ』
というメッセージも感じました。
環菜を妊娠する前から
自分の生活に不満ばかりでした。
「我が子を育てている自分」を想像するより
「介護で苦しんでいる自分」を
自分の中で勝手に大きくしていて、
苦しいことばかりに目を向けていました。
そうじゃない。
自分が喜ぶことを
もっとしていこうと思いました。
環菜を失って
悲しみのどん底にいたけれども
この出来事に対し
私なりに解釈できるようになってから
少しずつ、
本当に少しずつ、
悲しみが癒されていったように思います。
私は環菜の力強く生きる姿勢から
多くの気づきがあり、
私は自分の人生を自分らしく生きていいと、
思えることができました。
いつも
ネガティブばっかりだった私に
伝えるために
来てくれたのだと
私は思っています。
環菜がお空に帰って行って、
5年がたちました。(2024年現在)
菜の花が咲く頃になり、
飛んでいるたくさんの蝶々を見ると、
環菜がその中にいるような気がして
温かい気持ちになります。
9話(亡くなって数か月)では
自分の中にいるような気がしていましたが、
悲しみが一つ、
また一つと癒えていくと、
環菜は、
私の知らないどこかにいる時もあるし
私の近くに来てくれる時も
あるんじゃないかなと、
思うようになりました。
天使ママ自身が、
「今近くにいる気がする」とか、
「お空から見てくれてる」とか
なんとなく感じることは
きっとそうなんじゃないかなと
私は思ってます。
赤ちゃんはママを選んでくる、
とよく言われますよね。
赤ちゃんを、
大切に大切に大切に育てた時間、
一心同体だった特別な時間。
赤ちゃんにとっても
自分が選んだ大好きなママのお腹にこれて
幸せだと思う。
肉体はなくなっても
心は絶対繋がってる。
絆は永遠だと思います。
私は
環菜の母になれて
本当に嬉しい。
私を選んで来てくれて
ありがとう。
だいすき。
と伝えたいです。
本当に本当にありがとう。
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最後に・・・
【1】〜【10】にわたり、
『たくましく生きた19週間。
死産した赤ちゃんが教えてくれたこと』
をアップしました。
長いマガジンを読んでくださった
あなたに感謝です。
ありがとうございます。
ここまで自分の感情や時系列を話すことは
なかったので、
私の経験や環菜の存在を
この体験談を通して知っていただけること、
嬉しく思います。
死産して、
特別で大切な存在とのお別れは
私の中でとてつもなく大きな経験
となりました。
その出来事の意味を自分なりに考え、
肯定的な意味を見出せたとしても、
悲しみは完全には無くならないんですよね。
生きて産んであげたかったな、
成長した環菜を見たいなって、
今でも思います。
赤ちゃんの死という事実と
向かい合ったあの日、
真っ暗闇に突き落とされ、
どこに光があるのか、
どう光を探せばいいのか
分からなかった。
自分の中に確かにあった存在。
妊娠が分かった幸せな瞬間。
赤ちゃんと過ごした日々。
希望と喜びに満ちた日から、
一気に落とされる、
赤ちゃんとの別れという経験は、
永遠に忘れることはできないし、
忘れなくていいと思ってます。
私にとって
大切に持っていたい思い出だから。
悲しみの穴は
完全に塞がることはないけれど、
生きていけると、私は思います。
辛い時や寂しい時、
天使になった赤ちゃんは
ママの横に並んで手を繋いだり、
後ろから背中を押してくれたり
してくれているんじゃないかな。
ママの毎日が
しあわせいっぱい
豊かになることを望んで
見守ってくれていると思います。
私は、
悲しみのプロセスを
前に進んだり、
後ろに戻ったり、
行ったり来たりしながら、
進んできました。
そして
自分らしく生きて、
今ここにいます。
辛かったことも、
嬉しかったことも、
赤ちゃんとの思い出、
全部宝物として、
これからもずっと
持ち続けて行きます。
ーおしまいー
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最後までお読みいただき
ありがとうございました☆
ご感想や、
現在グリーフの最中にいる
天使ママさんの気持ちや
伝えたいことなど、
コメントいただけたら嬉しいです。
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