いつかの日。

今日は二限からの授業だったのだけれど、朝は五時に起きた。

いや実のところ、夜中に何度も目が覚めたのだけれど、それが昨晩はやくベッドに入ったからなのか、はたまた彼からの連絡が気になってかなのか はわからなかった。

だけど、たしかに私の枕元にはスマホがあって、私はそれを握りしめていた。

そんな朝の朝焼けはとても綺麗だった、この上なく。久しぶりに誰かへ空の写真を送った。理由は、綺麗だったから、ただそれだけだった。好きだから、あげる。
理屈なんてきっと難しいものはないけれど、きっと同じような仕組みなのだと思う。

五時五十九分、スマホがいつもの音とともに震えた。
彼からの着信、まだ寝ないんだろうか。

もしもし おはよ と出ると、彼は眠そうな声で おはよう と言った。
何度もおはようと言っていた。

眠たい時の彼の声は、酔った時と似ていて、きっとそういったところも私と似ているんだろうなと思う。

どうしたの まだ寝ないの？と聞くと、声が聞きたくって と言う彼。ずるいなぁと思う。ずるいよ、そういうの。そういうのは好きな子に言うもんなんだよ。きっとそういったら彼は、だって 好きだもん。なんて言うんだろうと思う。彼はそういう人。

好きにならないように、決して好きになんてならないように。ふふっ、ありがとうね とさらりとかわす。そうして、彼は安心したように うん と呟いて、そしてまた眠る。

寝息が聞こえる。

行ってくるね と、電話を切った。

彼はどんな夢を見るのだろう。

#エッセイ #過去の記憶