見たことのない世界に、スモールステップで踏み出す(文化放送『ナニモノ!』)
「知らん国の、知らんルールの、知らんスポーツの、知らん決勝戦の話をされてるみたいな。」
深夜3時半、誰しもが寝静まっている中に響く、この人の例えツッコミは、やっぱり秀逸だ。
この人とは、作家・岸田奈美さん。
岸田さんがラジオに出演するというので、是非聴こうと思った。この日はお昼にTBSラジオ『週末ノオト』にも出演。
今までラジオ出演の経験が2~3度あり(聴けていないものもあるけれど)、全てゲストとしての出演だったはず。深夜に放送されるこの番組は、岸田さんがパーソナリティを務めるというので、それは聴かねばと。
とは言えド深夜、3時半からの放送。翌朝起きてからradikoのタイムフリーで後追いかなと。そう思っていたのに、深夜に突然目が覚めた。耳がかゆすぎて。
スマホを眺めると3時、こりゃもう聴けってことだろと。耳がかゆくなった自分グッジョブすぎる・・・・・・。
番組名は『ナニモノ!』。文化放送で、深夜3時半~4時まで放送されている。
次世代のパーソナリティを発掘するとともに、パーソナリティ自身が何者であるかを存分に語っていく、『自己紹介型ラジオ番組』というもの。2週ごとにパーソナリティが交代しながら進行する番組で、岸田さんは今週と来週の2週間を担当する。
初めて聴いた方、安心して最後まで聴いてください。
という岸田さんの第一声が、ラジオ番組には珍しいような、でもこの番組には合っている気がした。
ただ、始まってからはもう岸田奈美節。冒頭の例えツッコミはやっぱり面白い(サラリーマン2人が小声で話す、本人たちにしか分からない1mmも面白くない内輪の話を挙げてのものでした)。
100文字ですむ事を2000文字で伝えるラジオをテーマに、好き勝手喋りまくれる番組にしたい。と、岸田さんを知っている人にはお馴染みの自己紹介へと続き。
その後には曲紹介をするのが夢だった、と言ってKANさんの曲を紹介していたのだけど。なぜなら今まで出演した番組では、曲をカットするくらい喋り散らかしているからだと。
布団の中で「でしょうね!」と思わずこちらがツッコんでしまった。
曲明けではTwitterでバズッた話(「全財産を使って外車買ったら、えらいことになった」)。
そして、「岸田奈美のサイコロナニモノトーク」というコーナーに。
ご○げんようでお馴染みのサウンドに合わせてサイコロを振り、出目によって決まったテーマで話す、ベタなサイコロトーク。
ラジオ話と、年末年始で思い出した話の2つのテーマで岸田さんが話すのだけど。最後には他の出目だったらこんな話をしようと思ってた、と結局全部の出目についてちょいちょい聞けた形に。
キメラサンドとか「激濃酒」とか、それぞれのパワーワードも面白かったけど。何より話すのが楽しい、話したい!という岸田さんの感じが伝わってきた。
といったところで早くもエンディング。ここでも随所に例えを入れながら、次週のメール募集などをして、ラジオ番組らしく岸田さんの初パーソナリティは終わっていった。
30分一本、岸田さんの直球勝負だったこの番組。
デビューしたての大塚愛さんが担当していた、「オールナイトニッポンR」を思い出した。深夜同じ時間帯の放送で、関西弁で喋るのが共通していたからかな・・・・・・?大塚愛さんも、当時は自己紹介やフリートークが中心だった気がするのだけど、めちゃめちゃ喋るのにスルスル耳に入ってきた感じを覚えている。
来週も放送があるので、メールを送ってみようかな。
実は文化放送の番組を、これまであまり聴いたことがなかった。大変失礼だが文化放送のイメージとして、なんとなく「年齢層高め」「アニメ・声優好き」の方に刺さる番組が多いと感じていたからだ。
今や文化放送を代表する番組である「レコメン!」や、SMAP・嵐・KinKi Kidsなどジャニーズが担当する番組は聴いたことがある。それでも、TBSラジオやニッポン放送、TOKYO FM、J-WAVEなど「在京キー局」と言われる他のラジオ局と比べると、聴取経験は少なかった。
この『ナニモノ!』、すごく良い番組だと思う。次世代のパーソナリティを発掘する目的で、自己紹介と称して30分トークする。既に人気の有名人が担当する番組も面白いけれど、新しい可能性を探るような。リスナーにもまた新しい発見がありそうな。そんな30分だ。
普段は仕事上、深夜ラジオはほぼ聴けない。今後もタイミングが合えば、という聴き方になってしまうけど、深夜静まり返った中で自己紹介をしてもらうのは、面白そうだ。
そして岸田さん自身が、ラジオ好きで、ラジオ出演を切望している。
ファン・そしてラジオ好きとしては、同じくもっとラジオに出演してくれたらと思う。
一人でも、誰かとの掛け合いでも、トーク番組でも、何かテーマにそって進む番組でも。絶対面白いはずなんだけど。
岸田さんの声や話が、ラジオを通してもっと聴けるようになればと、それも楽しみだ。