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本気で取り組んだ、人生のハイライトだった
新しい作品から、1年ぶりの懐かしい感じがした。
阿部広太郎さんの著書『あの日、選ばれなかった君へ 新しい自分に生まれ変わるための7枚のメモ』を読んだ。
この本は阿部さんの「選ばれなかった」経験を、主語を「君」にして振り返りながら進む。阿部さん自身が「君」に呼びかけるような、そして読んでいる自分も同時に過去のことを思い出してしまうような作品だ。
自分は阿部さんの主宰する講座『企画でメシを食っていく(以下、企画メシ)』を受講していた。この本に出てくるからということもあるが、読みながら『企画メシ』のことを思い出さずにはいられなかった。
いまにも通じる10代の経験
この本は「君」の中学生時代の話から始まる。一人ぼっちの時間が多く孤独だった「君」が、熱意を持って取り組んだ理科のレポートで一番の評価を受ける。その瞬間に感じた人とのつながりで、もっと変わりたいと思うようになり、アメフト部に入部。そこからどんどん「君」が変わっていくという展開だ。
阿部さんの中で、この経験はとてつもなく大きいのだろうと思う。自分が受講していた『企画メシ』では、講師の皆さんにほぼ毎回の冒頭で、このような質問をしていた。
「10代の頃はどんな子どもでしたか?」
当時はこれを、自己紹介のひとつと捉えていた(阿部さんは質問の意図を説明していたような気もするが)。でもこの本を読んだいま、この質問をすることに改めて合点がいく。
「いまの自身を作り上げる根幹とも言える経験が、阿部さんは10代の頃にあった。講師の皆さんも同じく10代の頃に、そんな経験をしているのではないか。」
きっとそれを知りたくて、毎回この質問があったのだろう。
第1章には、こんな一節もある。
今の僕は、企画書をつくり、プレゼンテーションをするという仕事をしている。レポートを書いて褒められたこの経験がすべてのはじまりだと感じる。
さらには第1章に、企画生(『企画メシ』の受講生)であれば誰もが知っているであろう言葉が、見出しのひとつになっている。
課題をチャンスとして捉える
これは企画メシの初回に聞いた言葉で、また各回の講義の最後に課題が出るたび、阿部さんが口にしていた言葉だ。
第1章を読むだけで、自分が受けてきた講義のことをこんなにも思い出せる。つまりそれだけ、阿部さんの10代の経験はいまにも通じる大きなものだったのではないかと感じた。
「選ぶ」こと、そして「本気になる」こと
この本は「選ばれなかった」ことに焦点を当てている。自分もそんな経験は数えきれないほどある。阿部さんもここに挙げたのは「選ばれなかった」ことの一部だろう。
この本に書かれている「選ばれなかった」こととは何なのだろうか。ただ何もせず「選ばれなかった」ことではない。その前に「選ぶ」こと、そして「本気になる」ことがあると思う。
大学受験で志望校に全落ちした。けれどその前には難関志望校を受験することを選び、毎日机に向かって本気で勉強した。
大学のアメフト部でキャプテンになれなかった。けれどその前には高校での敗北の思い出を塗り替えることを選択し、日々本気で練習した。
ずっと仕事で評価されなかった。けれどその前には異動することを決意し、異動してからも講座を受け、広告賞にトライし続けた。
きっとその時すぐに選ばれていれば、それが人生のハイライトになったのかもしれない。でもどんなに全力を尽くそうと、選ばれない場面は必ずある。むしろ選ばれることのほうが稀な時すらある。
だからこそ「選ばれなかった」ことが自分の中に強く残る。全力を尽くしたにも関わらず、出来なかったことや足りなかったことのほうに目がいってしまう。
そこからどうするか。それがこの本で阿部さんの書いていることにつながるのだと思う。
阿部さんはこの本のことを「自己肯定本」とも言っている。
選ばれない中でも、自分が選んできたことをまず信じてあげること。
それが自分自身を肯定することだと思っている。
この一文を読んだときに、この本のタイトルは一部を抜き出してつけたもののように思えた。
本気で取り組んだ、人生のハイライトだった『あの日、選ばれなかった君へ』、選んだことを信じて自分の道を進め。
自分が読み終えたときに受け取ったメッセージは、これが一番大きかった。
『企画メシ』を受講していた時に、全ての課題に対して本気で取り組めたかというと、正直自信はない。手探りの中、時間に迫られて出した課題もあるし、講義で自分の提出した課題は評価に「選ばれなかった」。
でも(当時は)オンラインで受講ができるという、自分にとって千載一遇のチャンスで応募することを選んだし、いまは先輩・同期・後輩の企画生の動向を目にしながら自分の道で試行錯誤している。
この本から改めて受け取った阿部さんのメッセージで、また先に進めるようにしたい。