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ピントをあえて合わせない、という選択肢

カメラで写真を撮る際の基本は、被写体に対してピントを合わせることです。カメラを趣味にしている人でなくとも、ピントを合わせることは当たり前に行っているかと思います。

スマホの場合は自動でピントを合わせてくれますし、狙ったところにピントが来なければ、手で画面にタッチしてピントを合わせたりしますよね。

ただ、写真撮影においてピントを合わせることは基本であるというだけで、絶対のルールではありません。写真は現実世界をなるべく正確に記録するために開発されたものですから、本来の役割であればピントを外すというのはカメラの趣旨にそっていないと思われるかもしれません。

ただ、表現には基本はあっても"やってはいけない"というタブーのようなものはありませんので、表現者本人が納得すれば良いのだと思います。

マニュアルフォーカスにしてピントをあえてジャストの位置から少しずらすと、全体的にぼんやり・ふわっとした撮り方になるので、柔らかい印象になります。

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この写真は張り紙を被写体としています。実は微妙にピントを外しています。

この構図の場合、カメラ⇔張り紙と、カメラ⇔背景の距離の差が大きいので、ピントをジャストで合わせると背景から張り紙が浮き上がる感じになります。(いわゆる"良くボケる"というやつ)

しかし、あえてピントをジャストからずらすと、張り紙自体にも薄くボケがかかるため、背景と溶け合うような滑らかで柔らかい印象の写真になるのです。

僕はくっきりと浮き上がるような写真も好きですが、このように写真全体が滑らかにボケてゆるく溶け合っている感じがとても好きなのです。

ただ、あまりにジャストの位置から外しすぎると、ただのピンぼけ写真になってしまいます。ピントをあえて外すという行為も、実は微妙なコントロールが必要で僕もまだまだ鍛えている途中です。

基本を知ることは大変重要ですが、表現をする上ではたまに基本から外れてみるというのも面白いと思いました。白飛びや黒つぶれも基本NGですが、あえてそれを狙って撮影する表現方法もありますし、正解が無いという点が奥深くて面白いと感じます。

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