娘の成長に落ちこむ夫
「勝手なことすんなよなぁ…。」
「あちゃぁ~~~~~。」
夫が帰宅し、一階の和室から娘のものが全て無くなっているのを見た時に、咄嗟に出た夫の一言です。
夫がいない間に、突然2階に娘の部屋を作りました。
居間の隣には和室があり、ずっと子供部屋として使っていました。
ふすまで仕切る事は出来るのですが、いつも解放していて、娘は必要なものを部屋から持ってきては居間で過ごし、勉強も遊びも家族と一緒でした。
夜寝る時も一緒で、朝から晩まで娘の顔を見て過ごす生活でした。
ところが、12才の誕生日を迎えて数日たった頃、「自分の部屋がほしい」と言いました。
あれほど頑なに部屋はいらないと言っていた娘が、突然の自立宣言。
夫が出張でいない時でしたが、「思い立ったが吉日」とばかりに翌日すぐ荷物の移動を始め、2階に娘の部屋を作りました。
一週間の出張から帰った夫は、和室から机が無くなっているのに気づき呆然。
「勝手なことすんなよなぁ…。」
寂しそうに言う夫。
あらためて和室を見ては、
「あちゃぁ~~~~~。」
と、うなだれます。
そして、追い打ちをかけるように言った
私の一言。
「もう、2階で一人で寝てるよ。」
ち~~~ん
完全にノックアウトです。
もうね、全身から悲しいの気持ちがあふれてるんです。
あんなに悲しい顔をした夫を見たのは初めてでした。
まるで、明日嫁ぐかのような寂しさに襲われています。
そこまでへこむなんてと、勝手に部屋を作って申し訳ない気持ちになってしまいました。
ちょっとしたサプライズのつもりだったのですが。
その日の夜、娘はいつも通り2階へ行き、取り残された夫と私。
夫婦二人だけで1階で寝ることになったのですが、その寂しいことと言ったら。
娘の気配がある事がどれだけ幸せなことだったかを、しみじみ感じた夜でした。
たとえどんなに蹴られても、ぐいぐい押されて壁に挟まれようとも、あの寝顔を見られるのなら、何度でも一緒に寝たい!
そう思う私達でした。
夫は、この寂しさに一夜でギブアップ。
「今日は、一緒に寝ない?」
「え、いいけど…。」
「お願いする時はなんて言うの?」
「一緒に寝てくれませんか?」
「いいよー。」
完全に上下関係逆転してる~( ´艸`)
夫がお願いしてくれたおかげで、
久々の3人川の字!
嬉しいのなんのって。
お願い、聞いてくれるのね!
夜中、ふと目を開けると、横に娘の寝顔。
無防備にぐっすり寝ている我が子が愛おしく、
幸せいっぱいな夜を過ごしました。
翌日、再び夫は1週間の出張へ出かけました。
しばらくすると、私もまた娘と一緒に寝たくなってしまいます。
勇気を出して誘ってみることにしました。
「今日、一緒に寝ない?」
「いいけど…」
「お願いする時は、なんて言うの?」
「… …一緒に寝て下さい。…お願いします。」
「いいよ!」
「お母さん、昔よく言っていたでしょう。」
「水!って言ったら、
お願いする時はなんて言うの?って。」
もう、娘には勝てないなと思う母でした。
思春期の娘に嫌がられないように、頑張って私も自立します。