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原理原則

GWに久しぶりに先輩に会った。僕の憧れの人だ。昼15時に合流。お互い現金を持たない(クレジットカードとPaypay頼み)主義であった事で、何気に現金対応のみのお店に苦しめられ、やっとの思いで見つけたお店で飲むビールはめちゃくちゃ美味しかった。

色々な話をした。細かいことは、2人だけの話として、そんな中で原理原則の話になった。それは昔、インターナル(社内MTG)の最中に、煮詰まった末に散歩をしている時、ふっと彼が僕に伝えた言葉。「けいちゃん(僕のこと)、結局物事の原理原則って変わらないんだよね」という言葉。何気に何かに煮詰まった時に思い出す。その時はまだ駆け出しのコンサルタントでピンと来れなかったが、今となってみるとその言葉の深みをヒシヒシとかんじる事が出来る。

原理原則、わかりそうでわかりにくい言葉かもしれない。少し、ここに備忘録として考えを書き留めておこうかなと思う。原理原則というと難しいことのように思うが、とてもシンプルだ。例えば、何かを新規事業的なことを考える場合、外してはならない論点は幾つかしか無い。ざっくり、以下の問いに答えられるかどうかが重要だ。

  1. 顧客理解:要するに誰が、何に、どれくらい困ってるのさ?

  2. 企業理解:その困りごとに、君だからこそ解決できる”ならでは”って何さ?

  3. 市場理解:ちなみに、それに困っている人、どれくらいいて、僕らはどれくらいの人を助けることを想定するの?

  4. 規制理解:その困りごと解決しようとすると誰かから怒られないよね?

  5. その他:やる!やめる!はどうやって決める?

一応、1〜5の中で、もう少し詳細にどのような視点を大切にしながら検討するかも書いておく(そうしないと、なんのこっちゃわからないかもしれないんで)

1. 顧客理解:要するに誰が、何に、どれくらい困ってるのさ?

  • 想定顧客は誰で、現在どのような課題を持っているか

  • 何故、その課題を想定顧客は”イマ”解決しなければならないのか。何故今までこの課題が解決されていないのか

  • その困りごとはお金を払ってでも解決したいレベルの課題か

  • 課題が解決すると、どのようなインパクトを顧客ももたらすのか。上記のメリットは定量的、定性的にどのようにして価値を測るか

  • この課題が解決された時の、顧客が持つ世界観とはどのようなものか

2.企業理解:その困りごとに、君だからこそ解決できる”ならでは”って何さ?

  • 自社は課題解決のソリューションとなるケイパビリティーを持っているか。そのケイパビリティーは他社と比較して明確な差別化要素が存在するか

  • 上記差別化要素を更に強化は、他企業と提携することで更に強化することができるか(その可能性はどの程度あるか)。他社はどのような戦略で、どのような差別化で市場獲得を狙っているか

  • 競合を圧倒できる手触り感のあるストーリーは存在するか

3.市場理解:ちなみに、それに困っている人、どれくらいいて、僕らはどれくらいの人を助けることを想定するの?

  • 上記の解決ニーズに対する最大市場はどの程度存在するか

  • 想定市場は将来的にどのような成長・衰退をすることを想定するか。また、その変化要因は何に起因するものか

  • 上記の獲得市場における変数は何か。どの程度の市場を取れると読むか

4.規制理解:その困りごと解決しようとすると誰かから怒られないよね?

  • 新規事業を検討する上でKnock out factorになりうる規制は存在するか

  • 当該事業を後押し、または逆風になりうる制度変更の予兆は見られるか

  • その他、乗り越えるべき規制は存在するか

5.その他:やる!やめる!はどうやって決める?

  • 本事業への参入基準・撤退基準は何か

  • どのようなKPIで成果を測るか

細かいことを挙げると色々とあるものの、ざっと考えるとこんなもんだろう(後から、付け加えるかもしれないが)。あれもこれも必要だと言ったらキリがない。世の中に数多(あまた)のほど、「検討したがり星人」が存在する。検討ばかりしていても何も成長がないのが実際のところだ。その時点では、やった気になっているが一歩も進んでもいないのだ。意思決定に必要なポイントを抑える力、そして意思決定をする力が重要なスキルである。原理原則を押さえることの重要さは、目まぐるしく変わっていく変化の中で、意思決定スピードを最大化するためでもある。そうしないと、単純に市場から取り残されていくのは明白だ。

この原理原則はあくまでもビジネスの一つである新規事業を題材したに過ぎない。小難しいこと、そうでないこと、色々なことがあるとは思うものの、重要なのは原理原則を見つけ出す、または読み解く力を身に付けることだ。この力をつけるため近道は「なぜ、なに」を徹底的に問い続けることにある。これを繰り返すことで、抑えるべきポイントを見つけ出す思考力が身に付く。

誰かが作ったフレームワークを使い回すのではなく、誰かが作った論点に支配されるのではなく、自分で目の前の課題に対して「なぜ、 なに」を問いかけてみると良い。

「発見」と似た、心躍る何かに会えることもある。

憧れの先輩と店を出た時はもうすっかり外は暗くなっていた。少し肌寒さが気持ちよく感じるのは、それ程、自分の中で心躍る時間であったというとの証明だった。

この心躍る感覚、実に原理原則を科学してみたい。

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