ミュージカル「FACTORY GIRLS 〜私の描く物語〜」に絡めた社畜のチラ裏
ミュージカルを観に行きました。「A new musical FACTORY GIRLS 〜私が描く物語〜」という作品です。
この演劇作品(長いので以下ファクガと呼びます)を観た人を前提にした文章です。
9割自分語りですが、ファクガが自分の経験を刺激して書きたくなったことを書いています。
ファクガは紡績工場で働く女性工員たちの話でした。
自然と、自分の労働経験を頭の片隅に意識しながら観劇していました。
自分の抱える違和感について上司に控えめに伝えてみても、
「でもなぁ、どこ行ってもそんなもんやで」
と言われるだけ。
「そうなのかなぁ」
「わたしがワガママなだけなのかなあ」
「わたしが未熟だからこんな風に思うのかなあ」
と思ってしまって、確かに違和感をキャッチしたはずなのに、自分の感覚に対する自信が萎えていく。
そのうち違和感を口にすることも怖くなる。
何かあっても「こんなもの」「これが普通」と思って黙り込む。
そんな経験を何度となくしてきたけれど、やっぱり自分が「おかしい」と感じた時は声を上げるべきだ。怖がらず。
劇を最後まで観て、そう思いました。
とても個人的な事情ですが転職が決まって先週が現職の最終出社日でした。
退社前の挨拶回りでとある女性管理職(他部署)とお話した時、
「うちは女が働きやすい職場じゃない」
「仕事を頑張りたいと思っている女にとって、仕事以外のストレスが多すぎる」
「女性活躍推進とか言ってるけどうわべだけ」
「そういう聞こえのいいこと言うのは余裕がある時だけで、都合が悪くなったらすぐハシゴ外す」
のような言葉をお聞きしました。
ファクガの観劇中ずっと、この人との会話が頭をぐるぐるしていました。
その人とよく似ているのはハリエットだけど、ハリエット以外の女工全員を見ても、その人のことを連想できました。
正直わたしもその人の発言と似たようなことをうっすら考えたことはありました。でも、冒頭に書いたような思考の流れで、「わたしが甘たれだから」
「会社ってこういう場所だから」
と思って自分ですぐに打ち消していました。
だからわたしよりだいぶ年上の方も同じ意見だと知って、驚きつつも嬉しかった。
その一方で、わたしが自ずと自分の考えを打ち消す方向に持っていくようにさせた現職の環境は、やっぱり良い環境とは言えない場所だったと思います。
協力的なポーズだけを取って相手の気勢を削ぎ、主張を無かったことにするのはいつの世も有効なやり方なんだろうな…と、劇中のスクーラー議員を見ても思います。
その女性管理職も転職を経てうちの会社に来た人でした。
転職後、絶対いちどは後悔する時が来るともおっしゃっていました。
そこで踏み止まるのか、再び方針転換するのか、それは自分で考えることだけど、少なくとも自分の場合は踏み止まったら新しい地平が見えてきて、仕事も少しずつ楽しくなってきた…と言っておられました。
他にも、世間話程度はするけれど大事なことなんか何一つ話したことのない他部署の女の先輩が、思った以上に別れを惜しんでくださり、面食らったりもしました。
(いろいろ思い至る文脈を省いて結論だけ言うと)やっぱり同じ環境で働く女の後輩であるわたしに、共感と連帯感を持ってくださっていたのだと思いました。
あの時は面食らったけれど、ファクガ観劇後の今、女の後輩に心を砕きたくなる気持ちはなんとなくわかります。
観劇中、
「旅立つの、怖いけれど」
「自分の人生を生きて」
「はみ出すことを避けながら生きてきたあの頃にはもう二度と戻りたくない」
「あなたもあなたの場所で戦いなさい」
「わたしはまだ変われるから」
等々、いろんな歌詞・セリフがまっすぐ心に刺さってきました。
わたしも彼女たちのようになりたいと思っています。
わたしと同世代、そしてわたしたちより若い人たちが、もっと楽に生きていけるようになってほしいとも。それは男も女も。
個人的な人生のタイミングと噛み合ったおかげもあり、わたしの中では貴重な観劇経験になりました。
この先何年も心に残る作品になると思います。
ぜひ再演をして、老若男女(ほんとうに老若男女、若い人にも年長の人にも、男にも女にも)のたくさんの人に観てほしい作品でした。
とりあえず再演と音源希望のアンケートは出しました☺️笑
乱文にお付き合い頂いた方、どうもありがとうございました。