July82

映画のシーンに固執します。 ツイート、書き込み、知人へのメール、ほうぼうに書き散らした忘れたくない物を、ときどき結わえて放り込んでいます。

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最近の記事

ミニシアター再訪〈リヴィジテッド〉都市と映画の物語 1980-2023 大森さわこ

『ミニシアター再訪 都市と映画の物語 1980-2023』(大森さわこ)読了。 吉祥寺バウスシアターの終焉(2014年)から、いったん六本木にWAVEがニョキっと生えてきた頃(1983年)までページを戻り、そこからまたリビジテッドし直していたら読了まで3ヶ月もかかってしまった。おかげで毎週土曜の朝に近所の某大学構内にあるセガフレードカフェで読み耽る習慣ができたので、今後も別の本を抱えて習慣を続けようと思う。 ひとこと、とても有機的でフィジカルな本だった。この感触は著者が文字

    • トム・ウェイツを禁止します。

      “トム・ウェイツを禁止します” このフレーズは、映画ファンの間で合言葉のようになっています。 理由は明白です。トム・ウェイツの楽曲は「強すぎる」からです。 人は、トム・ウェイツの楽曲を聴くと、正気ではいられません。 ひとたびトム・ウェイツの楽曲が始まれば、あなたの魂は目の前の映画を逸脱し、此処ではないどこか、今ではないいつか、に連れ去られてしまうでしょう。その曲が鳴り止むまで、あなたは目の前の映画に戻ってくることはできません。 映画のシーンでかかるトム・ウェイツの楽曲に身

      • MOMOMETALを受けて

        F川さん ちょうど今日、ハードディスクを整理していて過去のステージをいくつか見てました。 2020の幕張2DAYS(実質ギャラクシーのレコ発、かつアベンジャーズの大団円)はやっぱり最高でした。 巫女としてノリに乗ったSU-の表情、MOAの仕草、過去最高の冗長なヘドバン儀式、KANOのキレ、RIHOもどうしてどうして、MOMOもこの頃からがっつりサポートしてたんだなあという感慨。 なによりNight Night Burn!、DA DA DANCE、Elevator Girl

        • 小田嶋 隆

          亡くなって5日、おれは本当にこの人が好きだったんだなぁという打ちのめされ方をしている。自分のツイッターを遡ると2012年あたりからせっせとリツイートを重ねていた。 ノンポリのボンクラである自分がよちよちと自治体や行政機関に物を申したりするようになったのも、震災の翌年、第二次安倍政権発足のこの年にもっとも盛んだった覚えがある。 武田砂鉄氏の核心をついた追悼文を読んでようやく収まりがつきそうだ。 “「反権力のコラムニスト」なんて見出しが並んでいたのだが、それはちょっと違う。

          フラッシュダンス覚え書き

          フラッシュダンスがもろもろ陳腐化している事はずーっと前にテレビで確認済のつもりで、時を超えるとすればジェニファー・ビールスの魅力のみ、むしろ他の要素が褪色している分だけそこが際立つのだろう、と勝手に結論づけて、ただただ懐かしむのみと出かけたところ、ダンスから何からまったく陳腐化しておらず、まーびっくりした。 「イケメン社長に見初められる場末のブルーカラー・ダンサー」という見た目シンデレラストーリー的構図でありながら徹頭徹尾主導権を握っているのはアレックス(ジェニファー)とい

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          こんなことたぶん二度は起こりませんよ、(評価:9)

          キスを我慢せよ。 筋書きも役回りも知らされぬままいきなり物語の中に放り込まれた劇団ひとりが、セクシー女優たちとのキスシーンの誘惑を我慢とアドリブでかわしていく。キスの誘惑に負けてしまえばそこで終了。 欲望と使命のせめぎ合いに身をよじるひとりの葛藤をケラケラ楽しむあのどシンプルなTV企画が、劇場版2作目にして極上の劇場型エンターテインメントに化けた。 物語の主人公がいる。彼は何者かに利用されようとしている。そんな世界は巨大な何かに操られている。それをさらなる高みから見物する者がいる(コメンテーターのおぎやはぎとバナナマン)。しかし所詮それらはみな企画者の手の内にあり、さらに総ては我々観客の俯瞰に晒されている。これが本作を取り巻くブ厚い構造だ。 この重層的な支配構造はひとりを中心とした同心円上に拡がり、円の中心にいるひとりは「無力な被支配者」として弄ばれる。我々を含む各支配層はそれを笑っていればよかった。 ところがある時、ひとりの機転が放った痛快なアドリブが一気通貫に支配層をつんざき、この企画自体を揺るがすコトを起こした。いわば、たかが物語の主人公が、その世界を構築する枠組みである「企画」の胸ぐらをひっつかみ、腕力で物語に引きずり込んでしまったのだ! かくして企画はひしゃげて物語に織り込まれ、主人公の手のひらの上で結着してしまった!何だこのスペクタクル! 思うに、あのとき劇場で沸いた拍手は、最も安全な外周で安穏としていた観客の、「してやられた」心地よい敗北感からくる労いではなかったろうか。 こんなことたぶん二度は起こりませんよ、ぜひ劇場で体験を。 劇場で見る意味?それは、何これちょー面白いンだけど!と思ったその時、すぐ隣に顔を見合わせて同じ空気を分かち合える人たちがいるってことしか思いつかないけど、それが総てじゃないのかね。ともかく四の五の言ってたら公開終わっちゃいますよ? 実名レビューサイト Freak!! No.338:ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE2 サイキック・ラブ/2014年月10月某日 投稿文より転載

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          トイストーリー4のフォーキーとは

          https://youtu.be/LDXYRzerjzU トイ4を見たという映画的友人とのLINEのやりとりを転記。人と話すと考えがまとまるな。ネタバレとは思わないけど、内容、というかウッディの心情に触れてます。おれの思い込みだけどね。 2021/5/24/23:52 おれはね、フォーキーは、オモチャとは何か、自分は何者か、という問いに目覚めてしまったウッディの心が具現化した存在だと思っているよ。実際に具現化したものかはともかく、フォーキーにオモチャの根源の・ようなものを見て、オモチャとしての自分の核を改めて定義し確固たるものにしたい!オモチャとしての自分の価値を信じたい! ウッディのフォーキーに対する執着は尋常じゃないでしょ?その確たる説明もないままに。 ウッディはフォーキーの存在にすがるような思いで、フォーキーをゴミと認めたくなく、フォーキーがゴミならないよう必死に取り繕っているように見えたでしょ? 2021/5/25/0:04 なんであんな奴(フォーキー)のことそこまで気にするの?みたいに、周囲とウッディの温度差が激しかったよね。 あの娘が自分で作ったフォーキーは不細工なゴミ同然の出来損ない。でもそういうことじゃないんだよね、子供にとって大事なのは。それを目の当たりにしたウッディはちょうど自分の新しい持ち主であるその娘との関係を最初の持ち主であるアンディとの関係のように磐石にしようと四苦八苦中で、やりすぎくらいに持ち主に尽くすのに、響かず、アイデンティティがぐらぐら。自分はもうダメなのか、アンディの時のような関係はもう築けないのか。 ウッディのそんな心情を踏まえて見るとちょっとすごい。 俺もトイ4はいつか見直したいと思ってます。 2021/5/25/0:12 上手く行ってるかのように取り繕いながらも心の中は不安でいっぱいのウッディ。フォーキーに対しても保護者ヅラしてるけど、自分にないもの(かつては持っていたかもしれないもの)がフォーキーには備わってる気がして…。それが何なのかはわからない。でもきっととてつもなく大切なことで、今の自分に欠けている何かがそこにある気がしてならない! 2021/5/25/0:18 フォーキーが、自分はオモチャじゃない!居心地わるい!とすぐゴミ箱に飛び込もうとする行為が、オモチャとゴミという、紙一重なのにやたらとでかい振り幅で揺れているウッディの不安の現れに見えた。 2021/5/25/0:21 そんなフォーキーに振り回されるようにしてウッディが導かれたのが、宿主への希求が怨念のように渦巻く古道具屋を経由したあのラスト!と思えば、やっぱりフォーキーとはウッディの心の奥深くから湧いてきた悩みが化身となって、ウッディを進むべき道に導いたもしくはその決断を促した何がしかの「使い」に思えやしないだろうか!(おしまい) 【後記】 つまり、フォーキーは『ばしゃ馬さんとビッグマウス』で馬淵みち代を「夢」の出口に導いた天使、天童義美なのだね。 と、おれの好きな落としどころに収まった。

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          すばらしき世界

          ■TVマン 津乃田(マスコミ/世の中の好奇の目) ■弁護士 庄司夫婦(法) ■スーパー店主 松本(ご近所) ■区役所窓口 井口(行政) 登場人物に配されたそれらの職種に、これまで三上を疎み、切り捨て、弾き出してきた【社会を構成する要素】を見た。彼らはそれらを象徴する存在だ。 社会の要素を象る彼らが、偏見や、思い込みや、第一印象や、自分たちの持ち場を、少しだけ越えて手を差し伸べた。それが、今回三上に起こった素敵な事なのだ。 でも、まだまだだ。ぜんぜん足りない。心残りはある

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          エデンの東

          月例映画会/est 2006 本日お集まりの皆さん、ありがとうございました。 緊急事態宣言の延長が本格化する中、 天井が果てしなく高く、20分ごとにすべての空気が入れ替わる換気システムを完備した、世界で一番安全な映画館という場所で、 マスクに黙してひたすらに前方を見つめ続ける映画鑑賞というものに興じてきました。 参加した4名が仲良くひとつとびに並んで鑑賞した作品は、 伝説的な名画『エデンの東』/新宿ピカデリーでした。 マリリン・モンローと並ぶ、映画史に輝く永遠のアイコン、 ジェームズ・ディーンの生誕90周年を記念したリバイバル公開です(誕生日は2月8日)。 クラシック映画はとかく不勉強な私ですが、 実は映画音楽と試写会応募に明け暮れていた中学時代、父の通うテニスクラブに所属していたアナウンサー(名前失念)がパーソナリティのラジオ番組【文化放送シネサロン】の番組テーマ曲として、毎週2回(オープニングとエンディングに)聴いていたのが『エデンの東』の切なくも美しい旋律でした。 今回はその懐かしのスコアをスクリーンから全身に浴びるために観に行こうと思い立ったのです。                                      * 旧約聖書の『創世記』第四章に登場する兄弟「カインとアベル」を下敷きにしたスタインベックの原作を映画化したものだそうですが、 いやまさかこんな、愛が欲しいばかりのダメ男がひねていじけて拗らせて、 新農業ビジネスの立ち上げと兄の結婚という一縷の望みで再生しかけていた家族をかき回した挙句、完全崩壊させ、 そのくせ自分だけは独りよがりな愛を美しいテーマ曲とともに享受する(兄の婚約者を奪い、廃人寸前にまで陥れた父親の寵愛を独り占めにする)話だとは思いませんでした。正直びっくりだ。 それでも、自分本位で不恰好な姿を取り繕おうともしないディーンの哀愁漂う上目遣いは確かに可愛らしく、理屈を超えた魅力とは、演技力や演出だけでは得られないのだと思い知りました。 スターとはかくあるべし。というか、こういう映画を成立させるためにスターがいるんですね。 いじらしさ、と、いじましさは一文字ちがい。 ちなみに、映画本編で使われているスコアは、少しテンポが早く、若干軽薄さを覚えるもので、私が中学時代に聴き惚れていた気品溢れる流麗なアレとは別物だったこともまた、新鮮な驚きでした。 中学時代に聴き惚れていたアレ https://youtu.be/h1fOFlG5b2w いや、ことごとく目論見が外れ、はしご外されまくりでしたが、映画体験としては間違いなく楽しみました。 思い込みで高を括って見ないなんて、もったいないですね。 一気にディーンに興味が湧き、最低でも『理由なき反抗』と『ジャイアンツ』くらいは死ぬまでに見ておこうと誓いました。 結果として、得られなかったものに得たものが大きく、とても勉強になりましたということになります。 さて今月で月例映画会は16年目に入りました。 また来月。 まだまだ続けます。 2021年1月31日 Facebookへの書き込みを転記

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          Bestpics2020

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          フラッシュバック!オレアワード2020

          〜作品賞〜  ■ベストピクチャー(外国映画) 01. フォードvsフェラーリ 02. パラサイト 半地下の家族 03. ブルータル・ジャスティス 04. 燃ゆる女の肖像 05. ワンダーウーマン1984 06. ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密 07. 赤い闇 スターリンの冷たい大地で 08. 屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ 09. ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒 10. SKIN/スキン 次:スキャンダル 次:82年生まれ、キム・ジヨン 次:ブックスマー

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          大林と花火と戦争の話

          花火師は、自分の花火が放つ色、夜空への広がり方、それを見上げる人々の表情までも思い描きながら花火を作る。でも戦時中に同じ火薬で爆弾を作らされていた時は、それがどこに落とされて、落とされた人々がいったいどんな顔をするのか、想像することなんてとてもできなかった。(大意) その台詞を聞いて、空から落ちて町中に火炎を広げる焼夷弾、という真逆の光景が浮かんだ。 落ちて広がる爆弾で死んだ人々を、登って広がる花火が追悼する。 真逆の力学で抗う尺玉に花火師が込めたもの。 三年前、大林宣彦の『この空の花-長岡花火物語』で、人々が花火に込めたひとかたならぬ念持を知った。 その年、真珠湾攻撃を指揮した山本五十六の故郷である長岡市が、真珠湾のあるホノルル市と姉妹都市を締結し、これからの平和を誓い合った。 そして戦後70年の終戦の日、真珠湾で長岡花火が打ち上げられた。日本軍の奇襲に遭った当時の敵国の犠牲者家族が招かれ、涙を流す姿がニュースで流れた。 今日の舞台『明日花』(あしたばな)の台詞は、そんな流れを決定づけるようなもので、この先、花火の見方を変えてしまうほどのものとして響いた。 これから打ち上げられる花火が、世界中に落とされた爆弾の数を超えてしまえばいい。 2015年8月28日Facebook投稿より(時制調整のため加筆修正) 日穏-bion- Vol. 7「明日花-あしたばな-」/劇場MOMO(中野)

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          ほんの37秒〈37Seconds〉【注意】主人公の気持ちに触れまくっています。

          出生時に起きた、たった37秒の不具合が、その後の人生では何倍にも大きな障害になっている。そう思い込んでいた。わたしは世間から隠されるように生きた。わたしは存在していなかった。 だけど一旦外に出てみたら、ほらやっぱり大したことなかった。外の世界で、わたしは何だってできた。電車に乗って、買い物をして、街を歩いて、友達を作り、セックスだってできた(最後まではいかなかったけど)。すべては「わたし次第」。必要なことはその時自分の意志で求め、得ることができた。そこでのわたしは誰の庇

          ほんの37秒〈37Seconds〉【注意】主人公の気持ちに触れまくっています。

          sCene_004:視線の先<桐島、部活やめるってよ>

          私の高校時代を支えてくれた小林じんこの漫画『風呂上がりの夜空に』(1984〜1987)は、「人は、好きな人が見ているものを見る」ことを教えてくれた。これは、控えめにいって人生で二番目くらいに大事なことである。好きな人を見る、のではなく、好きな人が見ているものを見る。その意味するところは時代を超えて、2012年の『桐島、部活やめるってよ』に受け継がれている。 #sCene

          sCene_004:視線の先<桐島、部活やめるってよ>

          sCene_003:サトエリのベストショット<腑抜けども、悲しみの愛を見せろ>

          おれの考えうる、サトエリの生涯ベストショット。 #sCene

          sCene_003:サトエリのベストショット<腑抜けども、悲しみの愛を見せろ>

          ダブルフィーチャー01

           『タンジェリン』と『牛の鈴音』 ハリウッドの裏街道にくすぶるトランスジェンダー娼婦たちのドラマと、韓国の農道を往来する老牛ドキュメンタリーが見せるラストの〈顔〉が、まったく同種の神々しさを湛えていた。 #おすすめ二本立て タンジェリン(ショーン・ベイカー)https://youtu.be/L0EyDD92msU 牛の鈴音(イ・チュンニョル)https://youtu.be/CiXVOY_k-K0

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