自律を育む「ブルーム・タキソノミー」教育
ブルーム・タキソノミーという教育目標が、教育界では注目されています。
タキソノミーとは「分類学」という意味の単語で、1973年にアメリカの心理学者のベンジャミン・サミュエル・ブルームが考えた、教育目標の分類学です。
「認知領域」「情意領域」「精神運動領域」
3つの教育目標が設定されています。
おおまかにいうと、「自律」を育む教育です。
自律とは、自分の価値観に沿って意思決定することで、そのガイドラインことが「ブルーム・タキソノミー」ということです。
本書では「コロナ禍」を例に説明されています。
報告されている数値や状況を「理解」「応用」し、
自分の行動の周囲への影響を「分析」する。
どこまではよくてどこからがいけないのか判断する。
他者と意見交換をして、自分の行動が適切か「評価」する。
その自己決定は「創造」といえる。
現在の学校教育は、対面授業で先生から聞いたことを「記憶」して、定期テストで「理解」力を測っています。
問題によっては、教科書から覚えたことを「応用」し解くものもありますが、テストで偏差値を測れば一旦は終了。
テストの点数が高いほど一流大学に進み大企業に就職できるため、いつしかテストのための学習になっている状況。
よって、多くの学校では「分析」「評価」「創造」の段階までの教育を実践していない、と著者は指摘しています。
対照的に挙げられていたのがYoutuber。
まず、動画をつくることからスタートするので「応用」から始まります。
推測して実際にやってみる。
動画ができたら作品を分類し、他の動画を見比べて「分析」する。
構造を把握したり類推するうちにメタ認知できるようになり、編集を工夫しようとか、こうしたほうが視聴回数が伸びるんじゃないかとか、仮説を立てながら検証を進めていく。
それによってオリジナリティのある動画を「創造」することができる、ということです。
近年、Youtube人気は急上昇しており、大企業の管理職クラスの収入を稼ぐYoutuberも少なくはない現状です。
この流れはますます加速することが予測されます。
学校教育によって、幼少期からブルーム・タキソノミーに沿った学習ができれば、未知なる状況にも対応できる自律した大人になれるのではないでしょうか。
本書では、学校の問題として「ICTの遅れ」に関しても言及しており、ブルーム・タキソノミー教育を進めるにあたり欠かせないツールであると語られています。
その点については、また別のnoteでまとめていきたいと思います。
ご拝読ありがとうございました。
引き続きよろしくお願いいたします。